本日は漫画部門をお送りします。
一番悩んだ部門です。入れたかった漫画、多すぎ。
島本和彦『吼えろペン』
「それは違うと思いますが――その通りです!!」
今年の元旦に大人買いして以来、ぶっちゃけ今年一番ヘビーリピートで読んだ漫画がコレ。妙な中毒性、読んでるとなんだか島本和彦が言ってることが正しい気がしてくるなど、危険な漫画でもあります。エラいモノにハマってしまった。つい勢いで今年は島本和彦漫画買い漁ってしまった。ある意味1位なんですが、コレを1位に選ぶと本気で選んでるのか、ギャグで笑いを取ろうとして選んでるのか、閲覧者が迷う、等のリスクがあるので、5位くらいで。
本気で励まされることも多い漫画です。こんな日々莫大なエネルギーを燃焼させて生きてる漫画家という人種がいるのに、自分はのうのうと小エネで何やってんだ!みたいな感じでモティベイトされます。
感動?の最終巻は今月発売です。島本中毒者はお忘れ無きように。
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吼えろペン 第1巻
島本 和彦 サンデーGXコミックス 定価:¥ 560 Amazonで購入 |
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吼えろペン 第13巻(完)
島本 和彦 サンデーGXコミックス 定価:¥ 560 Amazonで購入 |
和月伸宏『武装錬金』
「もしもあの時…早坂の扉が閉ざされた時…すぐ外に武藤クンがいたら絶対に助けてくれたんだろうな…って」
うう、早坂姉弟編ってまだ今年なんですね……それでは、選ばないなんてことがあろうはずがない。感想は毎週のWJ感想で書いてるんで今更書くことはほとんどないんですが、斗貴子さん萌えもパピヨン萌えもさることながら、僕は主人公のカズキが大好きで読み続けています。何が正しいかが分からない時代だからこそ、今では偽善だとかキレイ言だとか一笑に付されがちになってしまった一昔前のヒーローが掲げた本当の“真っ直ぐさ”をカズキには貫き通して欲しい。そんな時代でアンケートが取れなくても、和月先生には和月先生の信じるヒーロー像を描ききって欲しい。早坂姉弟編ラストのカズキの「まだだ!!諦めるな先輩!!」は何かを諦めがちな昨今だからこそ胸に響きました。桜花助かって本当良かったなぁ……。
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武装錬金 第1巻
和月 伸宏 ジャンプコミックス 定価:¥ 410 Amazonで購入 |
CLAMP『XXXHOLiC』
「一度口から出てしまったものは返せない なかった事にはならない それがどれ程ヒトを縛るか分からず ヒトはその鎖を使い続けている 『コトバ』は生きているの そして、時には人の生き筋さえ縛る」
コトバの研究に一度は身をささげ、これからもずっと僕の中で大事な部分を占めるであろう「コトバ」の概念をテーマに煮詰めきった4巻収録のエピソードが出色過ぎ、かつツボ過ぎだったので文句無しで今年もランクイン。考え無しのアウトプットがはびこる昨今に、今僕が一番言ってやりたいことを大川さん(CLAMPのシナリオのヒト)が侑子さんを通して叩きつけてくれました。
そして、そんなネガティブ部分の断罪だけではなく、コトバの持つ救いの面も描いているのがステキ。妹のコトバにネガティブに縛られてしまったお姉さんを、四月一日のコトバがポジティブに縛り返し、最後は妹の縛りから脱却するお姉さん自身の自分自身を縛る覚悟のコトバ、「変わりたい」がCLAMPの視覚演出の元で炸裂。これを描ける漫画家はやはり希有だと思う。CLAMP スゲエ、やはり世界に誇れる一流漫画家集団です。
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XXXHOLiC 第1巻
CLAMP ヤンマガコミックス 定価:¥ 560 Amazonで購入 |
大場つぐみ/小畑 健『DEATH NOTE』
「こうなるとどいつもこいつも 殺した方が世の中の為になる奴ばかりに見えてくる」
WJ2004年1号より流星の如く新連載開始。第01話から話題高騰。爆発的な単行本売り上げ。今年は紛れもなくDEATH NOTEの1年だったのではないでしょうか。
僕も例にもれず大ハマり。これも詳しくは日々のWJ感想で書いてるので今更書くことはほとんどないんですが、第01話感想で僕はこんなことを書いてます。
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悪を主人公にそえる反少年誌的な試み、一昔前の社会哲学、倫理学を彷彿とさせる衒学、初っぱなからICPOなんかが出てきて大きい話を予感させつつ広げすぎの不安を感じさせないバランス感覚、良質なノベライズの序章を読んだような気分にさせてくれました。
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社会哲学、倫理学の辺りは最近怪しくなってきましたが、それでもどっぷりと惹き込まれる頭脳戦のエンタメ度数が突き抜けてるので、テンションは持続しています。どうなるんだ!?と毎週毎週次回が楽しみで、日曜日くらいになると早く続きが読みたくてそわそわしてくる。こんな新連載漫画には、ここしばらく出会えませんでした。まだ未読の方がもしいたら是非。
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DEATH NOTE 第1巻
大場 つぐみ/小畑 健 ジャンプコミックス 定価:¥ 410 Amazonで購入 |
日本橋ヨヲコ『G戦場ヘヴンズドア』
「望んだというよりはそう生きるしかなかった それこそが『人格』だよ」
上の都先生の台詞がどういう文脈で語られるのかを是非直接目撃して欲しい、今年度出会ったNo.1漫画がこちら。都先生のこのコトバとそれを深めているその背後にある物語に、幾度と無く僕自身の今年の物語を重ね合わせた漫画でした。如何に自分が温かい存在に守られていたのか、如何に自分にはそれが大事だったのか、そういうことに気付かせてくれる漫画です。詳しくは未だ言語化不能な漫画です。漫画は魂で描くのだなと、再認識させてくれた漫画でもあります。2位に選んだDEATH NOTEに比べれば遙かにマイナーな漫画ですが、是非。
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G戦場ヘヴンズドア 第1巻
日本橋 ヨヲコ IKKI COMICS 定価:¥ 590 Amazonで購入 |
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G戦場ヘヴンズドア 第2巻
日本橋 ヨヲコ IKKI COMICS 定価:¥ 590 Amazonで購入 |
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G戦場ヘヴンズドア 第3巻
日本橋 ヨヲコ IKKI COMICS 定価:¥ 590 Amazonで購入 |
とりあえずこんな所ですが、漫画部門は本当に迷いました。最後まで入れようか迷ったのは、岡野剛『未確認少年ゲドー』、緒方てい『キメラ』、榛野なな恵『パンテオン』、佐渡川準『無敵看板娘』、浦沢直樹『20世紀少年』など。『ツバサ』も入れたいけどCLAMP2作っていうのもなーとか、本当色々。選ばなかった作品に関しては、そのうち個別の記事で話題にでも。
以上、本日は漫画部門でした。次回は活字部門いきまーす。
『武装連金』が第一位ではないか、という予想は外したけれど、『吼えペン』五位入賞はそれに勝る喜びです……って、私の作品ではないんですけど(笑)。
>入れたかった漫画多過ぎ。
同感です。先述の武装錬金はもとより、漫画界の話題を一手に攫ったデスノート。第一ステージのあまりの熱狂ぶりに、S・B・R東京大会までが開催されたスティール・ボール・ラン。曹操対儒教を柱に新たなる三国志のスタンダードとして完成した蒼天航路。原作つきならば極上の演出力・構成力を発揮する浦沢直樹が手塚治虫の古典をリメイクしたプルートゥ……私にとっても今年は漫画豊作の年でした。
>本気で励まされることも多い漫画です。
これまた同感です! なぜなら私の今年の漫画部門第一位も島本和彦の作品なのですから。
「あなたはもう『壊れて』いるじゃないの!」
「壊れているものをさらに使ったら、戻るものももう戻らなくなるのよ!」
「矛盾して聞こえるかもしれないけれど、『逃げる』ことが唯一『前に進む道』であることがあるわ。ただしその道は、なぜかバカな男達の目には見えないのよ!!」
というわけで今年の第一位は島本和彦『ゲキトウ』。
軽症鬱病、心気障害、全般性不安障害、パニック発作。劣悪な職場条件によって、あと二歩で『壊れる』寸前であった今年の私を救ってくれたのは間違いなくこの漫画。この漫画を読んで以降、私は自分の健康と精神を切り売りするような仕事の仕方と縁を切りました。
読みたい本や書きたい話が、私にはまだ山のようにある。作中の台詞ではないが、私はまだ『壊れどき』ではない。三十間近のおっさんに、こんな単純なことを改めて認識させてくれたこの作品こそ、極めて個人的な理由ながら今年最高の漫画でした。
長文、乱文、失礼致しました。