先日サイドバーの広告欄に追加してからじわじわと売れているのがこちら、ジェームス・W・ヤング氏の『アイデアのつくり方』。

 やっぱりね、60分で読める手軽な量に、手頃な値段、そして珠玉の内容ときたら手にして損はなかろうと、そんな一冊です。

 驚く無かれ、この本の原著が出たのは1940年ですよ。それから65年あまり、こうして読み継がれている「残っている」本なんですねー。でも中身を読めばその辺りは納得。内容の素晴らしさもさることながら、文章がめちゃめちゃ上手いのであります。これだけ密な内容を50ページ余りの短さに収めるには伝えたいコアの部分だけを簡潔に分かりやすく書き記す技法が必須なワケですが、そんな技法のお手本のような文章。その点だけでも一読の価値あり。

 内容の方は、50ページ余りの短い本なんで詳しく語っちゃうと全部語っちゃうことになるのでさらっとだけ紹介したいんですが、タイトル通り、「アイデアのつくり方」に関する技法の本です。

 どうも、「アイデア」というと、突然に閃きと共に光臨するようなイメージを持ってませんか?それゆえに、優れたアイデアというのは天才の特権!みたいなイメージ。

 そんな先入観を崩されたい、凡人でも適切なプロセスを踏めば優れたアイデアを生み出せる……そういうことを知りたい人は手に取ってみるが吉かと。

 ポイントは主に二つで、アイデアを生み出すのは、

 1.既存の要素の収集
 2.それらを関係づける努力

 ……なんてことが書かれています。「既存の要素の収集」って辺りが、凡人にも努力の余地を残してる感じがしますよね。

 この辺りは、よく言われる「膨大なインプット無くして良質なアウトプットはあり得ない」という話(最近では『ファウスト Vol.3』にて西尾維新氏なんかが言ってましたが)に繋がりますし、僕の個人的な経験からも大いに頷ける部分です。学会の査読通るようなアイデアのスパイスが効いたイイ論文が書けた時、いつだって最初は既存の論文や発表の情報収集からでした。

 別に論文を書いたり創作をしたりしなくても、「アイデア」が必要になってくる場面は普通に生きてても多々あると思うんですよ。自分のサイト持ってる人は、自サイトで何か面白いネタやりたいなーくらいのモチベーションでもイイと思うんです。

 そんな「アイデア」が必要になる折々に触れて、まずはそれを生み出す方法論を知るのが吉。そんな文脈でお勧めできる本です。ヤングのスゴい所は、一種のマニュアルみたいに「アイデアを生み出すプロセス」を分かりやすく段階別に記述してる点です。ヤングの提出してるマニュアルは、時代を超えて通じるマニュアルなんじゃないか。僕が読了した時感じたのはそんな雑想です。

 やはり、「残ってる」本ってのはイイねー。




アイデアのつくり方