22話は燃え度が高かったんで、それを踏まえて今後の見所を2点ほど。
◇その1/シンはマユの携帯を捨てるのか、持ち続けるのか?
「マユの携帯」と「ステラからもらった物(あれは何?)」に、今後のシンの行動に象徴的に関わってくる記号性が含意されているのは確か。
1の場合だと、家族を奪った存在への憎しみを忘れられない過去の象徴という側面がある「マユの携帯」を捨てるということは、前作で言う所のキラを殺された(と思った)カガリがアスランを許し、トールを殺されたミリアリアがアスランを許した……というような「憎しみの連鎖」を断ち切るエンドにシンが辿り着くエンド。家族を奪った存在への憎しみを断ち切って、ステラと紡ぎ出す新しい「何か」のためにシンは力を振るう……というエンド。これはこれで、前作の流れを踏まえていて、物語の構造的には美しいと思う。
が、僕的には2もかなり熱いと思う。
今話のネオの、記憶にまつわる、
「記憶ってのはあった方が幸せなのか、無い方が幸せなのか、時々考えてしまうなぁ」(ネオ)
の台詞が意味深。記憶を失ってシンのハンカチを忘れるステラと、ステラから貰った物を大事に妹の携帯の隣にしまうシンという絵には明らかに対比がありましたが、そこにはステラの方は忘れてしまうのに対して、シンの方は忘れないというのが強く強調されていると読むこともできます。つまり、シンの方はマユの携帯(憎しみ)も含めて、忘れないで突き進んでいくという展開への示唆。シンが前作のキラやラクスに対するカウンターヒーローというのは大分確定してきたので、憎しみを断ち切るキラやラクスらに対して、憎しみも忘れないまま突き進んでいくシンという展開もかなり熱い。
けど、OPのファーストカットのシンとステラはシンが携帯を手放してステラの手を取ってるように見える(つまり1)んだよなー。さてさて、どういう展開になるのか。見所その1です。
◇その2/アークエンジェルサイドとミネルバサイドが止揚されていく可能性
ようやく前作で描かれた正しさをそのまま受け継いだアークエンジェルサイドと、その正しさのカウンターから入って主に「力が必要」という新たな正しさを掲げてるミネルバサイドとの接触が今話で描かれたばかりなのにまだ時期尚早という気はしますが、2サイドの今は対立気味の正義が止揚されていく展開への伏線は既に大分張られているように思います。開戦自のカガリとシンが同じリアクションを取る描写なんかもそうですが、とりあえず重要なのは、「だが!強すぎる力はまた争いを呼ぶ!」(カガリ)と力に懐疑的な「理想」サイドのアークエンジェルサイドも、理想をかかげる一方でキラとフリーダムガンダムという作中最強の力を持っていると、どこか「現実」を欲している点と、「力がなけりゃ守りたいものも守れない」と力重視で「現実」サイドのミネルバサイドも、12話や今話で描かれたようにシンが実は心のどこかでオーブの理念を肯定したがってるというように、どこか「理想」を欲している点と、双方それぞれに欠落があって、そこをお互いが埋め合わせる可能性がある点でしょう。
なんで、単純な共闘という形で止揚が描かれるのか、あるいは思想的にバラバラのまま両方とも終戦という目的、方向性だけが重なるという展開になるのかは分かりませんが、後半クールで両サイドが重なっていくというのは、今までの伏線から読むには王道の展開でしょう。そこまで思うからこそ、ここで一時対立してしまう今週、来週の話は燃えなワケです。この最初の対立から何らかの過程で両サイドが重なっていく流れの描き方が、今後の見所の一つです。
僕的には、『るろうに剣心』で言うならキラは剣心エンド、シンは斉藤エンドがカッコいい終わり方だと思う。キラはキレイ言のような理想を掲げ続け、シンはダーティーヒーローとして去っていくみたいな。
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今の段階では好きではないですが本音としては去って欲しくないです。フレイが死んでしまっている分生きて未来(あした)をつかんで欲しいですが、シンの犠牲によって人形だったステラが人間として生きる事が出来る様になるというのは一つの展開として燃えるかも知れません。Xアストレイでプレアがカナードを命と引き換えに変えた様に。
僕が思うにキラってDアストレイでの切り裂きエドの様に「最初のきっかけ」だと思うのですよ。現実世界でいうと堀江貴文社長。狂気が現実と一体化しかけてるレッドゾーンなコズミック・イラ世界(実際は私達の世界も大差無いのが辛い…)だからこそバカみたいに理想を語るヤツが出てくるし、居るべきなんだよなぁと。SEED世界の理想を語るバカの筆頭であるロウが火星旅行でお休み中なのでキラやラクスには頑張ってほしいなぁと。