「僕たちはまた話せる、いつでも」(キラ)

 対話、相互理解の前作の正義死なず。

 「発せられた言葉がそれを聞く人にそのまま届くとは限らない 受け取る側もまた自分なりに勝手に受け取るものだからね」(デュランダル議長)

 の言葉の性質を最大に利用して相互対話ではなく一方通行言語で世界を導いている(議長の言葉を議長の真意とは別に民衆が勝手に受け取るようにして世界を動かしている)議長という今作の正義全盛の前で、未だ前作の正義死なず。
 ラストの満ち足りた表情の議長のカットより、今まで今作の正義、現実サイド、議長サイドと呼んでいた側の趨勢が今話で頂点を極めました、が、ここで議長が平和を築いてめでたしめでたしで話が終了してもいい所を、まだ死にきれない前作の正義、理想サイド、ラクスサイドが逆襲の芽を残してる様を所々に挿入してるのが燃えます。

 ここから逆襲開始ですよ。最後の最後の結末をどうつけるのかは分かりませんが、最終話ちょっと前までの最クライマックスを、この議長サイドVS逆襲のラクスサイドの形で盛り上げるのは間違いないと思います。

 議長、勝った気モードでいますが、まだ本当の意味で想いを共有しあって行動に移った時のキラとアスランの強さを知らない。理想と現実を止揚させた時のカガリの強さを知らない。そして、まだ一番の脅威としてるラクスとのバトルは一度も行っていない。逆襲要因潜伏中です。上記前作主要メンバーの本気を前に、議長が動揺するシーンは是非見てみたい所。

 皮肉にもロゴスの人が「神のような人間などいない」という趣旨の発言をしていましたが、神ポジションから世界を作ろうとしている今作の議長VS前作ラストで「世界は誰かが作るものではない…」と語っているラクス。この二人の対決を最終クールまで持ち越してきたのは熱い。

◇新OP

 ガンダムのOPはアップテンポで激しい曲を!という先入観を無しで聴けば、普通にイイ曲だと思いました。

・アークエンジェルサイドVSミネルバサイド対比カット

 第2期OPではミネルバサイドにいたアスランが、アークエンジェルサイドに移ってきてる。この両サイド、二つの考え方の間での揺れをアスランを通して描いてきただけでも意味があった2〜3クールだと思っております。

・金色のMS

 バカっぽくて燃えます。アークエンジェルサイドっぽいんで、プリキュアMaxHeartにおけるシャイニールミナスみたいな感じでストライクフリーダムとインフィニットジャスティスにパワーを供給、キラとアスランが合体技……とか想像してみました。

・ドムトルーパーのパイロットは濃い

 パイロットにはキレイ顔を揃えてきてるSEEDシリーズの中で、なんですか、この三人!別な作品のキャラみたいじゃないですか!

・シンとルナマリア

 本編と合わせてここで言及しちゃいますが、背中合わせで視線を合わせないカットからも暗示されてるように、ポジティブカップルとは言い難く描写されてますよね。お互い負の部分を背負ってるのを埋め合わせるかのようにとりあえずくっついてみました、みたいな。このパターンは一段階関係の昇華が描かれてイイ感じのカップルになるか、悲劇的に終わるか(死別とか、単純に別れるとか)のどっちかじゃないかと思います。不動に描かれていて特に動きが無さそうなキラ−ラクスカップルよりは、展開を見守る分には面白そうです。

・議長とタリア艦長

 OP、EDと重要カップルで描写されてますね。確かに神、支配者の役割を全うしようとする議長をそこから離脱させるきっかけとなり得るのは作中ではタリア艦長だけだと思うんですよ。議長にも、このままいくのか、タリア艦長による変化がもたらされるのか?という、一つ、ラストクールの見所が出てきました。

◇バトルエンタメ

 はったり全開のバトルエンタメで燃えました。デストロイガンダム一刀両断とかあり得なくて熱い。

 前作のフリーダム初本格バトルはシューティングの魅力で魅せた感じですが、今回のデスティニー初本格バトルは斬撃の魅力で魅せた感じですね。とにかく斬る斬る斬る。ソードシルエットのギミックも使ってルナマリア、レイまで加わって、とにかく斬る、斬る、斬る(笑)。熱かったです。

◇今週の和み台詞

 「大丈夫だよ、アスラン、君、ちゃんと生きてる」(キラ)

 そりゃ、死んだと思ってたキラが最初に目の前に現れたらここはあの世かと思うよな。キラ、フォローしてました。

◇新ED

 最高のEDじゃないでしょうか。曲も勿論、斜めスクロール、ラストの同じポーズのラクスとミーア、その先のキラとアスラン、絵も最高です。これ、『君は僕に似ている』というタイトルを最初聞いた時はキラとシンの歌かなと思ったんですが、キラとアスランの歌の意味合いの方が大きいですよね。前作のファーストED『あんなに一緒だったのに』がキラとアスランの別離の歌だったのに対して、今作ラストEDの『君は僕に似ている』はキラとアスランが想いを共有して立ち向かっていく歌だという。

 ここまできてようやく結託したキラとアスランを中心に、議長の作ろうとする世界にあらがう自由サイドの歌みたいな。

 「何も知らない方が幸せというけど 僕はきっと満足しないはずだから 僕が選んだ今を生きたい それだけ」

 歌詞に共感です。やっぱり僕は自由サイドに共感しますよ。その方が楽だ、何も知らずに偽でもなんでも与えられた役割さえこなしてれば負荷も感じないと言われても、それでは満足できなさそう。やっぱり多少大変でも自分の意志で自由にやり方を選んで(真実かどうか)調べたり、探索したり、色々模索しながら漸進していきたいよ。

 曲発売したら買います。

◇次回サブタイ「天空のキラ」

 ついにきたストライクフリーダム搭乗回。

 新しい価値観、思想への昇華が描かれるというよりは、十中八九キラの「原点回帰」だと思います。ずっと行動原理になっていた「守る」とか、前作34話の個人、自由意志とか、その辺りに回帰しながら、相対的に落とされて一度はシンの今作の正義に破れて、でも、それでも!という捨てられないキラの原点に回帰しての搭乗だと思っております。

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