「馬鹿なッ!」(デュランダル議長)

 カガリの演説開始までは、手は打ってある、想定内だよ、という感じで神ポジションからの笑みを浮かべていたのが、ラクスの登場で作中で初めて想定外だよ!という感じで議長に動揺の表情が走るのが燃えました。
 それに伴って「真−偽」パートの作中テーマがクライマックスを迎えておりますな。つらくても「真」の方に目を向けるか、心地よい「偽」の方に耳を傾けるか。
 ラクス(真)−ミーア(偽)パートだけじゃなく、ムウ(真)−ネオ(偽)パートにも「真−偽」テーマをかぶせて描く構成でした。
 ネオの方は、ツラくても微かに残る「真(ムウ)」の方を偽れずにアークエンジェルに残るという、「真」よりの帰結だったんですが、ラクス−ミーアパートはどうなるんでしょうか。序盤のまだ議長がバリバリ作中正義最前線だった頃から、ミーアの声に傾倒していく民衆の描写だけはネガティブ描写っぽく描かれていたので、やっぱり「真」よね、というように着地するんでしょうか(カード的にも最終章までラクス(真)登場を引っ張ってきたように、「真」の方が後出しですし(後出しの方が勝つの法則))。「偽」でも自分で選んだ道ならそれもOKと、ミーアに救いを与えてやって欲しいような気もしますが。とにかくミーア物語の着地は楽しみです。

 ミーア物語に限らず、最終章まで物語を引っ張ってるのは今作キャラですな。前作主要4人組に関しては、キラは39話、カガリは40話、アスランは42話、そしてラクスが今回43話で始動して、物語は着地してる感じです。前作はこの4人の主要物語は第3クールまでに描き終えて、第4クールはバトルエンタメで、というような趣があったんですが、今作は前作組の物語も第4クールまで引っ張った上に、今作組の物語は最後の最後まで温存と、最後の最後まで緊張感で引っ張ってる感じです。

 今作組の代表のシンは、最終クールまできて未だに揺さぶられる存在です。思うに37話のアスランを討つ時といい、今回のアスランに向けての時といい、シンの紅い種割れは他のキャラの種割れと比べて発動時の描写に違った意味合いが付与されていて、思考容量がオーバーヒートした時に割れるような描写なんですよね。いずれの時も、アスランの説得によって異なる価値観に接触した時に、それを受け取り切れずに思考を停止して力による解決に転化、みたいな。決してカッコいいポジティブ描写というわけでもないんで、今回はそういった意味合いのシンの種割れよりも、前回で覚悟完了したアスランの種割れ(今作初です、長かった)が勝利。これはアスランの種割れがタメられていたのと同様に、シンの本当の意味でのカッコいい種割れもタメられているものと思いたいです。やっぱ、シン物語引っ張ってますからね。異なる価値観のシャワーにさらされ、それをシャットアウトしながら、すがるように思考しているという今のシンには共感できるものがあります。価値観が多様化した今の時代、こういう若者は沢山いるような気がします。アスランの「お前は本当は何が欲しかったんだ!」の台詞で守りたかった家族と守りたかったステラを思い出してるように(「真−偽」テーマでいえば、シンにとっての「真」)、着地点、回帰点は既に示されているんで、シンの最後の選択を是非とも盛り上げ演出で描いてほしいです。

 あとはルナマリアとメイリンも今作組で物語を引っ張ってますね。中盤の対比描写からタメられてる二人の関係ですが、これはお互いがお互いに着地するストロベリ姉妹エンドを期待したいんですがダメですか?色々とVSロゴスや→シンの感情に転化してる今のルナマリアも、今はアスランに寄り添うことしかできないメイリンも、お互いエンドならうまく着地できると思うんですが。姉妹好きの人も喜ぶし。

◇今週のカガリびっくり

・ジャックされまくる代表

 せっかく国の代表として一つ語ってやろうという場面がきたのに、ミーアによるジャック、あ、何か戻ったと思ったら、今度はラクスによるジャック。色々喋ること準備してたのに。

 議長−ラクス対立で『君は僕に似ている』のED導入は秀逸。40話ラストのシン−カガリ対立でのED導入もそうですが、反目する存在だからこそ……という場面で流れるこのEDはステキです。

◇次回サブタイ「二人のラクス」

 「言葉」「個人」「自由」「真実」、様々なテーマを担ってるのがラクスなんですが、ラクス回でどこまでが描かれるのか楽しみです。予告からしての久々のイザーク率いるジュール隊にも期待。

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