WJ感想記事の、第1巻相当部分をまとめてみました。
◇第1話「新しい命」

 心を武装するという思想がカッチョいいです。道元先生の『A・O・N』に通じる心を見ました。それは不安なことなんですが。
 ワッキーはどこまでも比較されて生きていくんでしょうが、中年と少年だけでしばらく続いた前作よりはキャラクタの年齢、性別比からして今回の方が格段に楽しい。反面、第一話から完璧に物語りに飲み込まれた前々作よりはやはり初回として物足りない。
 ギミック武装練金は結構気にいりました。いろんな特殊能力を持つ練金が出てきて能力者バトルに持っていけばまさにジャンプって感じ。主人公はむしろ練金全身にまとう方向で。ヒロインも鎌全身から生やす方向で。
 敵の醜悪さ、少女の足に武器…など、梅澤先生と謎のシンクロを見せています。それは不安なことなんですが、和月先生も休業期間中精神的につらい面もあったと思うんで、宗教(アバル教)に救いを求めたと思えば納得が行きます。
 色々言ってみましたが、率直な所俺これ超好き。毎週の楽しみが増えたYO!

◇第2話「ミッドナイト・ラン」

 今週のジャンプで一番面白かった。コレ一押し。コレは続いて欲しい。槍型武装がカッコ良すぎるし、主人公も自然なカッコ良さで共感できる。槍持って駆け抜ける「突き破れ!俺の武装錬金!!」の見開きページがカッコ良すぎ。ああ、和月構図、和月コマ割、和月効果線だ!

◇第3話「ホムンクルスの正体」

 斗貴子さんとはまた美しいお名前で。今週は一番下に別枠で感想書きます。

 ◇

 他サイトの感想を読んでみても評価は高くない。確かにどこかで見たような話かもしれないし、面白さのエッセンスも薄いかもしれない。にもかかわらず僕はかなりこの作品に惹きこまれつつある。それは何故なんだろう?
 それは戦う理由にあるんだと思う。今回の主人公カズキの戦う理由は妹や友達といった「身近な人々を守るため」というものなんだけど、それが凄くイイ。
 戦う理由にはこういった「守る型」の他に「夢追い型」があると思う。典型的なのが「ワンピース」で、基本的に「海賊王になる」という夢のために戦っている。その他「シャーマンキングになる」とかこの前の「世界征服する」とかいうのもこの夢追い型の理由だ。
 夢追い型は確かに浪漫なんだけど、たまにそこまでして追わなくてもいいじゃんとも思ってしまう。それは僕が現実を持ち込みながら物語を読んでいるからかもしれない。夢のために戦うのは美しいのだけど、現実の場合その行為は身近なものを守ることと対立してしまうことが多々ある。漫画というのはそのあたりの矛盾を上手く捨象して抽象化されている物語なのだとシニカルに感じてしまう自分がどこかにいるのだ。現実と照らし合わせるとき、身近な現実を守りながら追えないような夢に、本当に価値があるのか?と思ってる自分がいるのだ。
 その点和月先生の前作「GUN BLAZE WEST」はモロに「夢追い型」の物語だった。そして和月先生は失敗してしまった。この作品が評価を得られなかった理由は人それぞれに色々あるだろうが、僕のように「わざわざGUN BLAZE WEST目指さなくてもいいじゃん」と思ってしまった人もいるんじゃないだろうか。和月先生が自分をどう省みたかは分からないけれど、今回「武装錬金」を「守り型」の物語として開始したのは、前作の失敗を踏まえて、「夢追い型」を魅力的に描く人はいっぱいいるけれど自分には「守り型」の方が合ってるのではないか?という賢明な判断があったのではなかろうか。その判断が正しいのは和月先生の傑作「るろうに剣心」を見れば分かる。アレは贖罪とか色々な要素が絡まって複雑だけれど、作品の核となる思想は二百二十四幕「真実」で剣心の心にフラッシュバックする「この剣一本でもこの瞳に止まる人々くらいならなんとか守れる」という「身近な人々を自分の力で守る」というまさに「守り型」の思想だったからだ。
 そんな「守り型」の物語に共感する僕だから、今回の「武装錬金」は面白い。でもやっぱり夢を追うことも大事なわけで、そのあたり複合系が一番面白いと思うし、現実でも今現在僕はそんな選択のもとで生きている。つまりカズキが妹や友人を守る中でなにかしら自分なりの理想を見つけ、それを追うために努力し、あるいは戦うという感じで今後物語が展開していってくれたら、僕にとっては非常に満足のいく大好きな作品の一つに成り得るんじゃないかということだ。

◇第4話「ホムンクルス・寄生」

 期限は一週間、敵は三体+ボス。10週でも終われるようなミクロな話を作ってますね、今回は。でももっと続いて欲しい。
 槍は変形したりなんなりでいろいろ広がりを持たせられそう。口みたいな所が開いて波動砲を発射したりするようになるかも。

◇第5話「VS.蛙井(前編)」

 この掲載位置キタ!カズキ主人公として超好き。実直に基本から素振りする性格とか「未熟は百も承知」っていう謙虚な所とか。それでいて大事な部分で心に一貫した方向性を持ってるヤツ。蛙男認識からラストまでの流れは影ながら女性を守るために戦うという、ヒーローの王道を見せつけてくれた燃え場面でした。

◇第6話「VS.蛙井(後編)」

 ジャンプで今一番カッコいい男カズキ。「自分が痛いからこそ誰にも痛みを味あわせたくない」という所と「斗貴子さんがくれた命は自分を守るためじゃなく、他人を守るためのもの」という所マジ感動した。最終回くらいに回帰しそうな何のために闘うか宣言。

◇第7話「キミは少し 強くなった」

 ●斗貴子さん目突き
 ●バルキリースカートは足から着脱可能という衝撃展開。手で持ってるし。
 ●巻末コメント「次はセーラー服か!?!?」…本気です和月先生。

◇コミックス第1巻、発売時の感想

 「パピヨン蝶野登場。当時の担当さんに『このマスクはちょっとどうか…』と、当然と言えば当然の指摘をされて悩むも、友人やアシさん達の『GO!』の一言に勇気づけられて暴発。この時はまさかあんなコトになるとは夢にも思わず…。」

 夢にも思わなかったんだ!計算ずくじゃなかったんだ!

 こんな感じで相変わらず作者による素敵コメント満載の単行本です。というかマジ凄い。相変わらずの全キャラ解説に加えて、今回は「ライナーノート」と称した全話解説がついてます。凄まじいサービス精神。これで他の作品と同じ400円。コレは買いだ!

●カズキのコンセプトは『るろうに』の巻町操の男子高校生版
 言われてはじめてなるほどと思える事実。そういや『るろうに』の単行本コメントで操は気に入ってるって言ってました。

●斗貴子さんは恩田陸『六番目の小夜子』の津村小夜子の影響が
 なるほど。

 これ以上書くと作者コメントを全部紹介してしまいそうなので、あとは買って読んでくれい。他にも情報満載だから。
 ちなみにコンビニに入荷直前の午前三時くらいに買いにいったんだけど、入荷冊数は6冊。『こち亀』は12冊。まあ、来年には逆転ですかね。単行本発売でWJ内評価も上がるとみております。

●本編
 蛙井戦までを収録。蛙井戦、鷲尾戦とバトル篇は勢いが落ちたと言われることがあるんだけど、僕は両バトルともクライマックスで放たれるカズキの台詞超好きなんだよね。

 「痛いのも怖いのも我慢する コレは斗貴子さんがくれた新しい命… この新しい命に宿るのは自分を守るための力じゃない オマエ達からみんなの命を守るための 戦う力だ!!

 何気に、ここで最初にカズキにヒーロー性を見た。仮面ライダーみたいな、守る者としての本当に純粋なヒーロー性。かなり、少年漫画にふさわしい主人公のように思う。
 鷲尾戦の台詞もメラカッコいい、というか泣けるんだが、それはまた次巻で。

 あとはカズキが斗貴子さんと犠牲者に手を合わせるシーンが好きだなぁ。この死者を弔うシーンが、蝶野戦のカズキの最後の説得にかかってきて深い。2巻は蝶野戦決着まで収録してくれるのかな?あの3話のライナーノートはマジで楽しみ。1巻は出るのに随分かかったけど、是非是非ここからは2ヶ月ペースでどんどん発売していって頂きたい。


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