WJ感想記事の、第6巻相当部分をまとめてみました。
◇第46話「ハートシフト」

 変身ヒーローの変身とは、変わることではなく、逆説的に変わらないことなのだ、姿を変えることで変わらない心を輝かせるための変身なのだということを再認識。和月先生は本気でヒーローを描きにいってますな。まったくオリジナルなヒーロー像ってわけではなく、アメコミの系譜とか石ノ森章太郎の系譜とか、和月先生が好きなヒーローの系譜を踏まえた上で、コレが本当のヒーローだッッ!ってのを描きにいってるように思えます。敵と同じ能力を使っていること、異形であること、人間からは疎まれる存在であること、それでも人間を守ること、なんてヒーロー項目がひしひしとこの先描かれそうです。なんで、とりあえずはカズキの人間じゃなくなってしまった苦悩の話、人間一般から疎外される話は必ず描かれるハズ(これが辛苦の一つじゃないだろうか)。そして、おそらくカズキに向けられる疎外に、かつて蝶野に向けられていた疎外が絡むハズ。次章からの新展開に俄然期待。
 それと、今回はカズキと斗貴子さんのラヴ展開への始まりともとれそう。異形の者を私だけは愛してるっていうの王道だし。カズキと斗貴子さんの帰結も普通にラヴじゃなかろうか。「るろうに」も結局剣心と薫くっついたし、その辺りは和月先生はそんなに凝った変化球を投げる人ではないように思います。

◇第47話「戦闘終結」

 今話に出てきた登場人物はパピヨン含めて作品全体としてはカズキの味方って感じでしょうな(ムーンフェイス除く)。味方同士でギャグありで夢のような1話。ヴィクターの去り際の「辛苦」の台詞などから暗示される、この先の過酷展開の前置きとしてのL.X.E編完結の大団円話。
 あとは少し先に描かれるであろう、人間でなくなったカズキにまつわる苦悩、摩擦話に期待。技ありの心情描写を期待します。でもまあ、様々な苦悩、摩擦の末に描かれるであろう答えは、もう既にやる気出して読んでる人には伝わってる感がありますが。その辺りは物語の進行に合わせていずれ感想書きたいなと思ってます。

◇第48話「戦士の休息」

 斗貴子さんの「私にとっての仲間はキミと戦士長」、カズキの「俺にとっても共に戦う仲間は斗貴子さんとブラボー」のそれぞれの台詞が、おそらく仲間が欠けるor増える展開への暗示、伏線でしょうな。欠ける展開としては欠けるのはブラボーしかいなかったワケですが、あっさり帰ってきたんで、コレは増える方の伏線と予想。

 カズキの変身が「ヴィクター化」という術語で固定されてきてるんですが、ここはもっとカッコいい術語を考えて欲しいところ。というか多分和月先生考えてるだろうけれど。それできっと、「変身!○○○!」みたいなかけ声で変身ポーズ付で描写されるようになるハズ。

 単行本コメントより、鷲尾戦の後あたりでは、作者と担当は「読者はまだカズキに日常を離れて欲しくない」と判断したそうなんですが、今回からの新展開ではどうなるんでしょうか。いきなりカズキと斗貴子さんが街を離れる展開もアリだと思ってたんですが、今回を見るところもう少し和月先生いわく「日常の象徴」であるR.O.Dトリオやまひろとは離れない展開になりそう?

 あとは、サービスショット堪能しました。メインショットよりも、「わ もう一人出てきた!」のコマのまひろが可愛い。

◇第49話「新たなる任務」

 メタルコートでブラボーの表情が隠れてるのが上手いっス。この段階ではブラボーがどういう心情でいるか読者に伝わらないという。
 六週間、夏の終わりまでと物語が区切られました。コレは、以前一週間と区切られて最高のエンディングを描いた蝶野編があるので、期待したいです。

◇第50話「Say it not so, Bravo.」

 前回と今週と、めちゃめちゃイイと思うんですけど。掲載位置上がってるのと、次回巻頭カラーなのはついに一般読者にもこの良さが届いた?それとも単に一周年だから?

 まず、本当だ!前に「最後まで貫き通せた信念に……」の台詞を言ったときと同じ構図なんだ!(Qウェルさんの今号感想より)
 気づかなかった……そしてなんて心ニクイ演出なんだろう。

 今週、カズキという主人公を掘り下げ過ぎ。

 「でも今じゃない! 今はまだ諦めない!!」

 の台詞に、コアな武装錬金読者は、早坂姉弟編ラストの「まだだ!!諦めるな!!」を思い出してグッとキたはず。コレがカズキという主人公なのだと。

 そして、鷲尾戦の「だけどオレも蝶野も人間なんだ だから 死んでもやっちゃいけないコトと 死んでもやらなきゃいけないコトが あるんだ!!」や、結局蝶野編で他人を犠牲にして生きる蝶野に対立したように、カズキは本当に6週間後に人を犠牲にしなければ生きられない存在になってしまったら、(おそらくは)本当に自決するような意志を持ってる主人公だと既に語られているので、この場面は重い。
 僕的に武装錬金の核だと思う、蝶野編がまた絡んでくることになる展開なのがもの凄く熱い。蝶野編で蝶野に対して行ったカズキの説得が、今度はあの時の蝶野と同じ他人を犠牲にしない限り生きられない状況に自分が置かれたことで、全て自分にはね返ってくることになる。
 和月先生と言えばハッピーエンドの化身ですが、コレは悲しいエンドでも傑作だよなぁとまた思う(るろうにも、薫は死んだままでも大人読者には傑作だったのにとずっと思ってるんですが)。蝶野編のラストは、蝶野が死んだ後もカズキだけは蝶野を認識して覚えてるというモノだったので、カズキも死後にも残る関係性、記憶を残して6週後に死ぬというラストでも震えるほどに素晴らしいと思うんだけど。

◇第51話「Crimson Ocean」

 一周年。パピヨンが弾けた辺りから面白くなったという人が多そうだけど、去年の自分のWJ感想読むまでもなく僕は第01話目から好きでしたな。とりあえず和月氏の描く漫画が好きだったんで(るろうに大好きだし、GBWも当時WJ離れしていたにも関わらずコレだけは立ち読んでたほどには好きだった)。ストーリーの話ばかりしてるような気がしますが、絵も好き。バトル時の構図とかがスゲー好き。今週もチャージ時の三段コマ割とかスゲー好み。

 人気投票は、単行本の和月氏コメントから推測、そのコメント掲載時から特に順位が変動しそうなイベントは作中で起こってないってことで、斗貴子さんの圧勝のような気がしますが。というかホムンクルス蛙井とか、ギャグ以外で入れるヤツいないだろ。

 本編は、これまた単行本での和月氏コメント、「ブラボーは主人公のいつか乗り越えなければならない対象としての大人キャラに再チャレンジしたもの」って辺りが滲み出てる話ですな。届け→ブラボーの笑顔が入って→届けェェ、とか、深読みすると深いのかも。

◇第52話「再殺完了」

 石ノ森章太郎の系譜リスペクトの武装錬金からすると、十中八九「たった一つの命を捨てて 生まれ変わった不死身の体」のデビルマン展開じゃないかと思いますが。簡単には死ねない辺りの悲哀も入れてくる可能性があります。
 あんまり大きな展開はありませんでしたが、新キャラの剛太くんが魅力的になってきた感じ。編集さんとの間で、「そろそろ変態じゃない男キャラでも人気取って欲しいんですが」→「うん」みたいなやり取りがあったんじゃないかと想像。

◇第53話「夜が明けたら」

◇桜花再登場
 発売したばかりの四巻では桜花、秋水の再登場は展開次第なんて書いてましたが、さっそく登場。コレは、打ち切りにさえならなければ秋水も再登場確定ということですな。

◇敵、味方が明らかになってきた回
 早坂姉弟編より、桜花、秋水は味方化。パピヨンはライバル役だろうけどテーマ的には味方。斗貴子さんは言わずもがなで味方。で、多分この好感度から剛太くんも味方化。でも剛太くんはワンクッション必要なんで、多分カズキを認めるイベントが一つ入る(単純に一回戦うのかも)。
 で、気になるブラボーラインだけど、過去の咎を見つめる剣心に犠牲者に手を合わせるカズキ&斗貴子さんと、和月作品では過去との関係性を大事にする人物が作中正義となるので、「武藤少年の死をちゃんと子供達に弔わせてあげたかった 違う?」の辺りから、ブラボーも最終的には正義サイド決定。逆に「まだ引きずっているのか」と軽視する火渡は多分敵サイド。

 そんな感じでちょっと味方多め。今後敵が何人か新登場するとみた。じゃないと、秋水とか、来ても戦う相手がいないし。

◇第54話「一心同体」

 あ、何か分かる>「生憎俺は他人を利用するのは大好きだが利用されるのは大嫌いなんでね」
 ラヴラヴなカズキ−斗貴子コンビよりもこっちの利用しつつされつつのパピヨン−桜花コンビの方が見てて面白いかも。どっちも腹黒でかつちょっと見方を変えるとたちまちギャグキャラになる辺りが。まあ、丁度蝶野編の時と立場が逆になってるラヴラヴ組も好きですが。「キミのコト 少し気に入った」から始まって、今週ではお互いにここまで言わせる仲になってるという。そこに至るまでの関係を丁寧に描いてきたので、唐突な感じがせずちゃんと納得できるあたりが、やっぱ和月先生良い。

◇コミックス第6巻、発売時の感想

 「キミが死ぬ時が 私が死ぬ時だ!」(斗貴子)

 1〜5巻分の物語の中でカズキ−斗貴子さんの絆は揺るがないものになっているという描写を所々に描いておいて、斗貴子さんはここまで言ってくれる「仲間」なんだ!というこの台詞がクライマックス第54話「一心同体」で飛び出します。このシーン、超感動。

 まとめて読んで、この再殺部隊編は随分前から「仲間」がテーマなんだと認識させられました。序盤の海水浴の打ち合わせの場面あたりから、R.O.Dトリオらを「キミは本当にイイ仲間を持ったな」と斗貴子さんが評する場面なんかを「仲間」がキーになる前フリとして入れておいて、そこから「仲間」であったブラボーとの離別、そして「既に」絆が構築されている「仲間」である斗貴子さんの仲間物語を描いておいて、そこから今度は現在連載で進行中の「これからの」絆の構築過程、「仲間」までの道のりが描かれている剛太の仲間物語へと移行していくワケですよ。

 なんで、本巻のヴィクターの紹介項で和月先生が書いてる、「ヴィクターになくてカズキに有るモノがこの先の二人の分岐点になることでしょう」の言葉の解釈は、「仲間」、あるいは「仲間を呼ぶようなカズキの特性」がヴィクターとカズキを分けるんじゃないかと予想。

 他、細々とした所箇条書き。

・ムーン・フェイスは再登場伏線あったんですね。
・第54話で斗貴子さんが口にする「一縷の望み」という表現は『るろうに剣心』を思い出します。縁を救えるかもしれない巴の日記帳が同じく「一縷の望み」と表現されていたのを覚えています。やっぱり、似たような展開の場で自然に出てくるその作家固有の表現ってあるよね。
・相変わらずライナーノートの元ネタ暴露部分は、そんなの分かるか!というモノばっかで熱い。「斗貴子さんの水着の胸のマークはゲッター2の額とお揃い」とか、そんなの分からないよ!

 というかまとめて読むと面白さ倍化ですわ。武装錬金、面白ッ!


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