WJ感想記事の、第8巻相当部分をまとめてみました。
◇第64話「EATER」

 「こんなもの喰わずともホレ 来るべき武藤との決着の時を想像すれば うっとり 」

 人食い断ちしてるパピヨンVSホムンクルスを食らう戦部、全てがこの前の剛太の「どっちが本当の化け物だ…」からテーマ的に繋がってます。最近の武装錬金は本当スゴイな。

 戦部の武装錬金特性の攻略法は、「高速・自動修復」につけ込むというものだったのですが、「高速・自動」の部分が前回では明かされてなかったので、前回時点で謎解きモノとして楽しむことは出来なかったことになります。でもまあ。そもそも謎解き漫画じゃないし、頭使ってるっぷりも見れたパピヨンがカッコいいんで全てヨシ。ラストの破壊ゴマがカッコいいんでヨシ。か、カッコイイよね?変態格好だけどカッコいいよね?何か感覚麻痺してきてる?

◇第65話「夜明けの墓場」

 前回、戦部は大仰に登場したわりにはやられキャラだったのかなーなんて思ってたんですが、今回そうでもないあたりが描写されてました。一応、1レベル上の重要度のキャラなんだ。

 そして、ブラボー登場ですよ。まったく予想してなかったんで(絶対火渡戦の後だと思ってた)、純粋に見開きでの登場に驚き&燃えました。

 これどうなるんだろう。ブラボーは和月先生の単行本コメント曰く超えるべき大人キャラなんですが、この前のバトルからカズキ側にプラス要因があるとすれば今回は斗貴子さんと剛太という仲間がいるという位ですよ。でも仲間と力を合わせて撃破じゃ一人の人間として超えたことにはならないっぽいし……。本当どうなるんだろう。

◇第66話「NO REGRET」

 「善でも悪でも 最後まで貫き通せた信念に 偽りなど何一つない」

 カズキとブラボー初対面時の印象的なブラボーの台詞ですが、巡りに巡ってこのシチェーションでこの台詞に回帰してるのが熱い。特に、ブラボーの「一人でも多くの命を守る その為なら俺は悪にでもなる!のブラボーの決意の部分が。
 最初の初対面シーンで上の台詞が出てきたときは、「悪でも」の部分が今ひとつ解釈仕切れなかったんですが、巡りに巡ってピタリとピースがハマりました。上手いなぁ、和月先生。

 あとは「闘うコトに悔いなどない!!」のサブタイの「NO REGRET」をかけた台詞からの5ページにわたるカズキVSブラボーのバトル絵が凄すぎ。これぞ、和月構図、和月効果線、和月バトル絵です。

◇斗貴子さん

 具体的に自身の身長の数字のデータなんかをあげながら説明してる辺りが、理路とした斗貴子さんらしくてカッコ良かった。その後は臓物をぶち撒けろとか全然理路としてない辺りも。

◇第67話「影の抜け道」

 剛太の斗貴子主義がすがすがしいです。

 カズキが普通に生きてれば遭遇しないような悩みを抱えて、様々な面で高みにいってしまった感があるので、こういう普通の人視点で楽しめる剛太は感情移入しやすい良いキャラです。

 惚れた女性を守りたいだけというのが、普通に生きてる読者にとっては共感しやすいです。

◇第68話「とりあえず――」

 あー、エンディングがキレイだ。

 「守りたいモノが一緒なんだから とりあえず……」

 必ず挿入されるであろうと前から僕が書いていた、剛太がカズキをワンステップ認める物語、ここに成就。しっかりとバトルに絡めて描いてる辺りがステキです。

 先週から描かれていた剛太の斗貴子原理主義が、「守りたいモノが……」のあの時のカズキの台詞とがっちりとかみ合うのがステキ。

 そこでかみ合った上で、

 「お前 戦友はいるか」

 の燃え台詞ですよ。

 剛太、というか剛太とカズキの物語が本格的に好きになってきました。二人の関係の変化を追っていくだけで、満腹に今の武装錬金は楽しめます。訪れるであろう二人の関係の帰結にも、今から期待です(斗貴子さんがキーになるんだとは思うけど)。

◇第69話「セカンドラウンド」

 「私達が間に合えば カズキに勝機はあるッ!!」

 やはりそうきましたか!

 前回でのブラボーのバトルからカズキがアドバンテージを得てる点は「仲間を得たこと」なんですよ。仲間と袂を分かったブラボーと、新たに仲間を得たカズキという対比。そこが決定要因になるというのは熱い。剛太絡みのストーリーでみっちり描いてくれていた部分だからコレは嬉しい。逆に今回のカズキの新技披露は何の伏線もなかったんでちょっとイマイチかな。少しでも練習してる描写とかあれば、それが破られた時の衝撃も倍化されたと思うんですが、さすがブラボー!みたいな感じで。

 そんな感じで、素直にダブルシルバースキン対策、及びどんなブラボー対策が飛び出すかを楽しみに待ちたいと思います。

◇第70話「大事な存在を死守せんとする強い意志」

 珠玉の1話

 今シリーズでは「敵−味方」の概念のシャッフルが一つのキーとして描かれていたんですが、それ以前にも武装錬金では立場は敵なんだけど、その敵をカズキは救いたいというシチェーションでのラストバトルが描かれてきました。

・VSパピヨン
 →蝶野をも救いたかったけど、斗貴子さんとの命の選択を迫られ、救えず
・VS早坂姉弟
 →蝶野の時は救えなかったけど、今度は桜花を救えた!

 と来て、最初の蝶野を救えなかった時にブラボーがカズキにかけた言葉が例の「善でも悪でも 最後まで貫き通せた信念に 偽りなど何一つない」なわけですよ。

 この「信念」の言葉が、今まさに三度目の「立場上は敵だけどカズキはその敵(ブラボー)を救いたい」という状況にあってかかってくるのがひたすら熱い。

 サブタイ「大事な存在を死守せんとする強い意志」が何度も使用されつつの、カズキの、

 信念 なんだ」

 の言葉。「信念」という言葉に二十三重の深みが加わって熱いことになっております。

 そして、救いたいブラボーがために咆吼するカズキ。次週最終回か!?ってな感じのクライマックスです。

◇第71話「EXCEL」

 作戦、知略型バトルだった斗貴子、剛太バトルの次がコレだったんで、ギャップで小細工無しの真向勝負展開は燃えました。カズキとブラボーは、この真っ向からの衝突が「らしい」ってのは武装錬金読者には十全に分かってると思うんで。

 でもって、

 「届け… 届けッ」

 のシーンが前回ブラボーと戦った時の第51話の「届け… 届けェェ!」のリフレインになってるのもファンにはたまらない。

 勿論物理的にSUNLIGHT HEARTがブラボーの本体に「届け」というだけじゃなく、尊敬すべき大人としてのブラボーに「届け」の意味合いも入ってるんでしょうな。

 和月先生が単行本コメントにて早くからコメントしていた、ブラボーはいつか越えるべき大人キャラ……というコメントに由来する物語、今話にてひとまず昇華です。

◇第72話「GONE INTO FLAME」

 最高話。

 和月哲学が凝縮された一話です。

 当人が死んだ後も、想いを継ぐ者がいれば……という、古くは「るろうに」の巴と剣心の死者と生者という関係性で描いたテーマ、今作では序盤の犠牲者の墓にカズキと斗貴子が手を合わせる描写から始まって、蝶野戦の時の「もしもお前が犠牲者に償うと誓うなら……」から始まるカズキの最後の説得の場面で描いたテーマ。

 なので、「死んだ人間のコトなんかとっとと切り捨てろ!」という火渡に対して、ブラボーが(というか和月先生が)頷くはずがない。「この子達を守るためならば――…」に凝縮されたブラボーの「守る」という信念(この言葉もこれでもかと深く掘り下げられてきました)、その想いを受け継ぐ者としての、ブラボー越えを果たしたカズキ。最後にカズキと斗貴子を「おれの過去の希望と…そして未来の希望…」と評した所で涙腺にキました。今話10回くらい読みました。死者と生者の垣根を越えるほどの過去から未来への想いの受け継ぎ。和月漫画の普遍テーマの一つが凝縮されていたと思います。

◇第73話「ここは任せて」

 エーっ。ブラボー生きてたー。

 ……と、この感覚を味わうのは武装錬金で二度目です。

 一度目は、無論対蝶野戦。あの時も和月死生観が炸裂しつつ感動的に蝶野死んでおいて、次の週には「蝶、サイコー!」で復活だったという。

 なんで、武装錬金はこういう漫画なのかなと、先週の感動は何だったの?感を再び味わいつつも納得。勿論文芸的なベクトルでは死んだままの方が明らかに「深い」話になるんですが、現にエンターテイメントとしてはパピヨンが生きてたおかげで武装錬金は何倍も面白くなった点は中々否定できない所。ブラボーも、生き残ったことによって作品がエンタメベクトルで面白くなってくれれば結果OKということで。何だかんだで傷ついた体を押してピンチの時に颯爽と助けに来るブラボーという図は想像すると燃えてしまいますしね。

 ただ先週はブラボー生存の伏線が無いなんて書いちゃったんですけど、実は微妙にありましたな。先週冒頭に出てくる黒服の男。この男にもうちょっと注目するべきだった。照星部隊という名称に、ブラボーらよりエラそうな黒服の男が描写されていたという伏線。強力な新キャラ登場でブラボーが助かるという展開は、そこから読もうと思えば読める展開でした。一応、作りは丁寧になっています。


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