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 ファーストOPのシン、キラ、アスランが夕日をバックに視線を合わせないカットに象徴され、作中でもこの三主人公が直接対話を行う時は夕日に「すれ違い」の記号を付して対話が行われるという演出がずーっとなされてたんですが(僕の感想で言う所の「夕日演出」)、ラストのラストは夕日ではなく朝日をバックに3主人公がすれ違いではなく、「理解」し合うという、理解の記号を付した「朝日演出」でしめられておりました。この象徴演出は美しいです。
 ◇

 「いくら吹き飛ばされても、僕らはまた花を植えるよ。きっと」(キラ)

 最終回の大部分の感想は最終回感想で書いたんで、追加されたアフターシーンをば。

 シンの物語、決着という感じでした。綺麗事を表面上は否定しながら、幼い頃はオーブを好きだった描写や、何よりステラとの戦場で銃を下ろし合うシーンに代表されるように、どこかでそんな綺麗事を欲しているという矛盾を抱えてるキャラとして描かれてきたシン。第08話で、

 「誤魔化せないのかも・・・、いくら綺麗に花が咲いても人はまた吹き飛ばす」(シン)

 と花を否定していたシンが、物語の最後に同じオーブの慰霊碑の前で「また花を植える」というキラの言葉に、手を取り、理解を示して、本当に欲していた場所にたどり着いてエンディング。この上なく綺麗なエンディングでした。

 また、シンとキラという、対極に対比され、だけど根本には似ている部分がある二人、そしてその間をいったり来たりするアスランという、三軸構造、僕が感想で何度も書いてきた、

 シン−アスラン−キラ

 という構図があったDESTINY。

 ラストに、やっぱり真ん中にいて両方の立場が分かるアスランが仲介役を果たして、シンとキラが対話を果たし、最後には対極にあった二人が理解を示すという、そしてそんな二人の関係は作中の言葉で多くを語るでなく、ラストにバックに流れる『君は僕に似ている』の歌詞が全てを語っているという言葉、楽曲、映像三拍子で完結感があるラストでした。SEEDは相互理解の物語。前作はカテゴリ依存という比較的単純な部分に根ざした齟齬からすれ違ったキラとアスランが和解するまでの物語でしたが、今作はより込み入った要素の対立から深刻に敵対してしまっていたシンとキラにフォーカスがあたりました。しかし、それでも何度も『君は僕に似ている』の歌詞を重ねてきたシーンの如く(カガリとシン、ラクスとミーアなど)、表面的に反目し合っても、その根底の共通部分がある限り相互理解は可能。運命についてなど、大きな話にも突入した今作でしたが、ファイナルシーンはSEEDの原点ともいうべき相互理解の部分に着地してしめられて本当に良かったと思います。シンとキラが向かい合って『君は僕に似ている』が流れ出すラストは何とも言えない完結感がありました。

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 あとは最終回感想の補足とか。

 最後の議長とキラが銃を向け合うシーンまで、「運命」VS「自由」は拮抗してるんだけど、その次のシーンにてやっぱり最後は「運命」は敗北したというラストなんですよね。二重に、「運命」は負けます。1つは、キラに個を受容されたレイが、キラを肯定して議長を撃つ帰結に至ったこと。クルーゼと同じ遺伝子を持つレイ。遺伝子で全て決まってしまうならレイもキラを否定するはずなんですが、そうはならなかった、遺伝子云々に根ざした「運命」の敗北その1(「選ばれた未来」、選んだのはレイという解釈が一番すっきりときます)。そして最後に議長の方もタリア艦長の「これが私達の運命だったのかも」の台詞に、「やめてくれ」と答えるんですよね。議長自身も、やっぱり運命で勝手に決められるのはごめんだったと答えているというシーンです。議長自身の口からも最後は運命云々はごめんだというのが語られて、「運命」の敗北その2。最終回のギリギリまで引っ張った「自由」VS「運命」の構図。やっぱり最後は「自由」が勝利したというラストだったのではないかと。

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 最後に「未完成の容認」という要素も一つこの作品にはあったのではないかと思いました。宇多田ヒカルの「光」という歌に「完成させないで」という歌詞があるんですが、完成は未確定の可能性の終わりをも意味する点でネガティブにも取れるという。議長は完成された世界を目指すのですが、それは未完成の可能性を容認する自由サイドに負けてしまいます。登場人物も未完成、未成熟なままで描かれ続けました。完成された考え、信念を持つAとBが対立し合うという話ではなく、未完成、未成熟なAとBが頭抱えて迷いながら時に対立し、時に理解し合い、という話でした。だからラストもこれで世界は平和になりました。めでたしめでたしという完成されたラストではなく、「一緒に戦おう」という、これからも未完成な世界で未完成な登場人物達が頑張って戦い続けていくんだ……そんな機微を残したラストなのだと思います。

 SEED時代からあしかけ3年あまり感想に付き合って頂いてありがとうございました。また何かの機会にお会いしましょう(^_^;
 それでは。

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