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 今年最後の更新はランゲージダイアリー的2006年ベスト活字部門編をお送りします。企画概要はこちら

 正直、選んでて一番テンションが上がったのがこの活字部門でした。至福の一時と言って良いです。読書家などそんなもの。来年も、素晴らしい活字の物語に出会えるといいなー。




第5位
J.R.R.トールキン『指輪物語〜王の帰還〜』


 かれはほーっと一つ深い息をつきました。「さあ、戻ってきただよ。」と、彼はいいました。

 ご存じファンタジー・オブ・ファンタジー。評論社文庫版全9冊を読破するのに足かけ3年くらいかかりました。今年、ついに最終章「王の帰還」を読了。世間の『ロード・オブ・ザ・リング』旋風など知るか!というタイミングに乾杯(;´Д`)
 凄まじく長いエピローグがこれでもかと紡がれるんですが、あー、やっぱりね。ファンタジー・オブ・ファンタジーたるこの作品は現代ファンタジーの価値観的にも王道の王道の大団円で締めくくられるんだなーと、しみじみと読み進めていて、ラスト数ページで驚愕。こんな、世界中で読み継がれてるファンタジー・オブ・ファンタジーのラストシーンが、こんなにも切ないものだったとは
 正直、現代のエンターテイメント性が高いファンタジーに慣れ親しんでる読者にはハードルが高い作品ですが(淡々とした世界観説明で1巻の半分とかいくし)、やはり(自称)読書家たるもの、一度は読んでおくべき作品かと思われます。作中言語を優れた体系で創り上げてしまうほどに言語学者でもあったトールキンに、個人的にも尊敬の眼差し。ファンタジー・オブ・ファンタジーの称号に、何も異論はないですぜ。

文庫 新版 指輪物語 全9巻セット




第4位
今野緒雪『マリア様がみてる 仮面のアクトレス』


 まだ手を離さないで、って言ったのに。
 自転車を支えていた令ちゃんの手が、絶妙なタイミングで離れた瞬間だった。

 相変わらず3ヶ月に1度の刊行というハイペース刊行で1年間清涼剤として働いてくれた『マリみて』ですが、「黄薔薇、真剣勝負」の美しさを取って、セレクトはこの『仮面のアクトレス』で。「黄薔薇、真剣勝負」は、短編部門オールタイムベストクラスです。長い間積み重ねてきた由乃と令の黄薔薇物語の一つの帰結を、わずか20ページちょいの短編、特にラストの2行で表現し切っているという凄まじさ。最初ラスト2行を読んだ時は、純粋な感動と共に、緒雪先生の技術力の高さにズキューンときました(なんだこの感銘表現は)。この2行にたどりつくために、ここまでの23冊読む価値あるよ。読んでる途中で黄薔薇はコメディ担当とか思うなよ。半分真実で、半分偽装だから!

マリア様がみてる (仮面のアクトレス)




第3位
ルイザ・メイ・オルコット『若草物語』


 彼が行ってしまうと、エーミーは小さなチャペルに行って、夕闇の中にすわって、さめざめと泣き、悲しみに胸を痛ませながら、ベスのためにお祈りをささげた。そしてあのやさしい小さな姉を失うことになったら、トルコ玉の指輪を百万もらったとて、なんの慰めにもならないのだと心の底から思ったのである。

 今年ついに読めたオールタイムベストクラスの1冊。個人的に崇拝の対象となるレベルの小説です。皆、名前は知ってるだろうし、アニメ見たり児童向けアブストラクト版は読んだことあると思うけど、是非、一度完訳の文庫で最初から最後まで読んで欲しい不朽の名作。序盤の四姉妹が織りなす(当時の)日常パートの魅力は勿論なんですが、やはりお父さんが戦地で病に倒れ一家の支えだった母が戦場に赴き、それと重なるようにベスが猩紅熱にかかる……という試練のクライマックスにて胸を打たれること必至です。その時、メグが、ジョーが、エーミーが、そしてローリーが起こす行動の一つ一つに、話す言葉の全てに、オルコットが少女小説の体裁を借りて発した「幸せとは何か」の答えが詰まってます。

若草物語〈上〉
若草物語〈下〉




第2位
谷川流『涼宮ハルヒの消失』


 ここで質問だ?キミならどちらを選ぶ?答えは明らかなはずだろう。それとも俺一人がそう思っているだけか?

 『涼宮ハルヒの憂鬱』のクライマックスでキョン(と読者)に問いかけられた問いが、逆方向から再びキョン(と読者)に問いかけられるという構造を持つ傑作。複数の現実の中で、じゃあ君はどう思ってるんだ?と問いかけられて『憂鬱』で一つ答えを選んだキョンですが、今作ではその選択のカウンターとなる選択肢が提示されて、再び選ばなくてはならなくなります。
 それでも選択を下すキョンが実はひたすらカッコいい一作。どんなに複数の現実を提示されても、選んだ選択にカウンターが提示されても、それでも自分の居たい場所、一緒に居たい人がちゃんと分かってるっていうのは本当にステキなことだと思いますです。

涼宮ハルヒの消失




第1位
竜騎士07『ひぐらしのなく頃に解』


 ――最後の奇跡が必要ですか?

 そしてオールタイムベストクラスの1作が今年の1位。各話固有の謎・テーマの他に、全話を通すと縦軸の謎・テーマが存在し、最終話でその縦軸の謎・テーマが明かされてサプライズという構造の作品は、昨今の多様化するミステリ(『ひぐらし』はミステリにはカウントできないと思うけど)に触れてきた読者にとってはさほど驚くことではないかもしれません(僕だったら「謎」の方は山田風太郎『明治断頭台』、「テーマ」の方は奈須きのこ『空の境界』とかね)。ただ、この作品は、その縦軸の仕込みが二重になってるのが凄いのです。1本目の縦軸の謎の解答・テーマの提示までは、「罪滅し編」まで読めばほとんどの人が分かるし、そうだったのか!と感動できます。それだけでも凄いし既に満足だったんですが、最終話の「祭囃し編」のファイナルクライマックスで、その裏に隠されたもう1本の縦軸の裏テーマが明かされます。それが明かされた瞬間、「出題編」4作から「解答編」3作、そして「祭囃し編」までが、だーっと一本のテーマで繋がる感覚が凄かった。そんな、全部に意味があって、全てはこのテーマを伝えたかったためだけに書かれた物語だったなんて!!!しかもそれが表面上は秘匿されたままここまで物語を紡いできたなんて!!!という感じ。
 ネタバレはできません。体感して下さい。燃えます。


ひぐらしのなく頃に祭(限定版)
ひぐらしのなく頃に祭(通常版)


 と、活字部門はこんな感じです。古典ファンタジー、現代少女小説、古典少女小説、現代ライトノベル、同人ノベルゲームと、実に統一感の無いラインナップでしたが、それくらい魂の命ずるままに読みあさったというのは良いことです。良いことなの!
 ただ、今年は少女創作の年と意識していたので、やっぱり一年を通して元気を与え続けてくれた『マリア様がみてる』シリーズには別格で感謝かな。今年は緒雪先生のサイン会にまで行ってきたし、この作品が無ければ、少女創作ブログも、オリジナル少女小説も無かった。今年の総括は『マリア様がみてる』最高ということで。マリみてありがとー。

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