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 「朝は来ますよ」(シャーリー・フェネット)

 前回第13話「シャーリーと銃口」の感想記事では120を超えるトラックバックを頂き、4000PV/WEEKあまりを達成できました。皆さんご協力ありがとうございましたm(_ _)m。当ブログの感想記事は管理人在住地域の放映日(金曜深夜)以降になりますが、今回も早い放映の地域にお住まいの方のために、早めにTBできるよう記事は立てておきます。今回もふるってトラックバック頂けたら幸いです。引き続きトラックバックセンターとしてご利用下さい。
 <追記:感想書きましたー>
 ◇



<以下、本編感想>

 すごい30分弱でした。見終わった後しばらく放心してたよ。

 おさらいとして、この『コードギアス 反逆のルルーシュ』という作品の登場人物は、基本的に二面性/多面性を持っていて、ある一面を秘匿しながら生きているという点。

  ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア−ルルーシュ・ランペルージ−ゼロ

 という三面性を持ちながらランペルージとしてはゼロの側面を秘匿し、ゼロとしてはランペルージの側面を秘匿しながら活動してる主人公のルルーシュが代表ですね。

 で、ランペルージとしてのルルーシュにはシャーリーというヒロインが、ゼロというルルーシュにはカレンというヒロインがいて、ランペルージとゼロの両方の側面を知っているヒロインとしてC・C(シーツー)が……という風にキャラクターが配置されてる構図を持っている作品だというのも復習。

 で、ランペルージの側面のヒロインであるシャーリーに、秘匿していたゼロとしての側面をルルーシュが知られてしまった!秘匿しながらバランスを取っていた三面の一角が崩壊してしまった!という所までが前回の引き。で、この事実は、これまで作中では希有な存在として二面性を持たない存在として描かれてきたシャーリーが、父の敵のゼロとしてのルルーシュを知ってしまったシャーリーと、これまで通りにルルーシュが好きなシャーリーという二面性を持ってしまった展開だということができます。

 と、前回ここまで仕込まれた所で、思考を読むという、二面性/多面性を暴力的に無効化してしまうギアスの持ち主、新キャラマオの登場ですよ!

 考えてみれば満を持しての登場。これが出てきてしまっては、秘匿していた側面も一撃で暴かれてしまいます。ニーナなんかは、マオにかかったら秘匿していた写真でオ○ニー(アドセンス対策に伏せ字)してしまうほどの想いをユーフェミア様に抱いてるという一面も白日のもとに晒されてしまいます。これは危険だ(笑)。

 (笑)とか書いてますが、かなりテーマ上の重要ポイント。この多面性のテーマは、stage11「ナリタ攻防戦」の感想で書いた通り、「雪」を多面性ゆえにアイデンティティがロストしてしまってる状態の比喩にして、それでも「綺麗だ」とルルーシュに言わせることで、多面性を持ってたっていいじゃない?的なことが一つこれまでに作中で語られているんですが、一方で、そういった二面性を持ってないリヴァルなんかが、非常に前向きなイメージで描かれていたりもしています(前回の、ネットの掲示板(普通、秘匿性、二面性が出やすい)で黒の騎士団を支持する旨の書き込みをしていたことを、秘匿せずにオープンにして謝ってるシーンなど)。

 多面性/二面性はあった方がいいのか、無かった方がいいのか?

 僕はどっちかというと、これまで多面性の中から一面を自分の意志で選んで、多面性が解消される。つまりはリヴァル的な方がポジティブメッセージで描かれるのかな、なんても思ってたんですが、今回のマオのシャーリーへの追いつめっぷりを見ると、そうとも言えない気がしてきました。

 前回二面性を獲得してしまったシャーリーが、その二面性を今回マオの思考を読む能力によって秘匿できずに次次と明かされていってしまうんですが、かなり追い込まれていましたよね。なんか、このシーンは二面性が解消されてるポジティブシーンとは受け取りがたい感じ。やっぱ、人間誰しも二面性、多面性は持っていて、秘匿しておきたい想いも抱えていますよ。秘匿してるからこそオープンになった時のカタルシスもあれど、秘匿してるからこそ保たれてる心の平安や社会のバランスもあるような気がします。このテーマ、どういう風に着地させるのか本当に楽しみになってきました。

 そして、ラストシーン。ルルーシュ・ランペルージとしての一面。まあ、「日常」と言ってもさしつかえないでしょう。その象徴であったシャーリーへの、ルルーシュという存在を忘れさせるためのギアス使用。ルルーシュ自らがランペルージという日常の側面に別れを告げて、その対価にシャーリーの平穏な日常を守ってあげた場面。

 前回のミレイ先輩の、

 「シャーリー、待ってるからね、いつもの生徒会室で」

 の台詞と、それに対応する今回のスザクの、

 「(変わったことは)あるよ、君(ルルーシュ)がいない」

 の台詞が悲しく響きます。

 シャーリーは「いつもの」の生徒会には戻って来れなかった。前々回のミレイ先輩の「変わらないものなんて、何処にもないのだから」が予言していた通り、生徒会は(ルルーシュがいなくなるということで)「変わって」しまった。

 異様に切なく、そしてついに始まった生徒会の風景の崩壊展開。

 だけど、ルルーシュを忘れてしまったシャーリーが、

 「朝は来ますよ」

 と言っている点と、「終わりにするため」ではなく「区切りをつけたかったのだと思う」と言ってる点が希望です。夜に突入と言える、生徒会の風景の崩壊展開ですが、最終的には朝が来るんじゃないかなぁ。というか来てほしいなぁ。上述した多面性のテーマの着地も、あるいはこのワンシーンのような気がする。シャーリーが持ってしまった二面性をルルーシュが消してあげた場面だったわけですが、二面性が消えても(どの側面とかを超越して)残る想いがあるとか、そんな着地なんじゃないかなぁ(それなら一面でも多面でも否定されないし)。そんな残った想いでシャーリーが「朝は来ますよ」と語ってくれて、それゆえに、最終的には生徒会の風景で見せてた各キャラの優しい顔の側面は消えなかったという着地。ルルーシュが、自分が行く修羅の道のためというよりは、人を殺してしまった(と思いこんでる)シャーリーの心の負荷を取り除いてやるためにギアスを使用したかのような、そんな微かに垣間見える「優しさ」が最後のキーポイントになるような気がする。

 あとは補遺的ですが、上述部分だけでも凄まじい密度なのにも関わらず、それに絡めて「結果」VS「過程」のテーマにも進展を描いた点にも注目。結局、ルルーシュは「結果」だけを追い求めて「過程」を完全に捨てきれる男ではなかった(あるいは今はそうではない)ということ。「結果」だけを追求するなら間違いなくシャーリーを抹消するのがベストだったわけなので、それに対して今回行われたシャーリーへのギアス使用は、「過程」に対する破格のアフターケアです。結局お父さんの件も「すまなかった」と謝っていたのもポイント。結果のキャラで設定されてるルルーシュが過程を捨てきれなかった場面が感動的に描かれたということで、これは、過程のキャラで設定されてるスザクが結果を取りに行く場面もそのうち描かれるな、なんて思ったり。前回も書いたけど、このテーマはどっちかが肯定されて終わる類のテーマでは無いと思うんで。

◇セシルさん

 スザクに誰かを重ねているということで、セシルさんにも秘匿されてるもう一面が登場。特派組もこのテーマに飲み込まれ始めたということで、オープニングに出てるロイドのもう一面はまだー?という感じですね。
 あとは、スザクの人命へのこだわり方が、単純な優しさだけでは無い点も指摘されました。スザクというキャラに設定されてる、「間違った過程を経て得た結果には意味がない」という思想と、「人命が失われることへの極端な忌避」。総合すると、やっぱり間違った過程で沢山の人命が失われて、何らかの結果を得てしまった過去がスザクにはある感じでしょうか。スザクの秘匿されてるもう一面が出てくる時と、それが物語にどう関わっていくのかが今から楽しみです。

◇ヴィレッタと扇

 今回はマオの脅威に視点が行きがちですが、ヴィレッタがまだ生きてて、しかも扇とコンタクトを持った点もルルーシュ側からすれば最高に危険なカード。基本、ナナリーを守るためだから、ゼロ=ルルーシュ・ランペルージとばれて、ブリタニア皇族であった過去にまで遡られるとナナリーにも危険が迫ってしまってダメなんですね。でもこれ、最後まで秘匿しきって逃げ切る話では無い気がするんで、そろそろバレるのかなぁ。全てがバレた後に、大転換を迎えて大きな話へと……、と、それくらいのスケールでは描かれそうな話になってますよね。

 ◇

 というわけで、十全に仕込まれた暗示の後、今回でルルーシュの三面の一角の生徒会の風景が崩壊(象徴たるシャーリーがルルーシュを忘れる)。これ、何とかリカバーされるラストじゃないのかのう。実は「想い」パワーでギアスの力を破れる世界観だったとしてもそんなには違和感ないし、あるいは今回別のギアスが出てきたんで、能力もの作品お約束のギアス無効化のギアスが出てくるとか、リカバー展開はいくらでも可能だと思うんですが。

 最後に、今回は妙に和月先生の『るろうに剣心』の中に今回提示されたテーマの解答が既に描かれてるような気がしたので、該当部分の台詞を引用して終わりに。

 ルルーシュの記憶をシャーリーから消すルルーシュという部分への解答としては、

 「一番想っている人を忘れる事の、一体どこが幸せなのよ!!」(巻町操)

 暴力的に秘匿された二面性を暴くマオの図から、多面性のテーマの部分の解答としては、

 「いいじゃない。誰にだって語りたくない過去の一つ二つあっておかしくないわ。あなただってそうでしょ?だから流浪人してるんじゃないの?」(神谷薫)

 和月先生は『るろうに』当時は何の仕込みもなくいきなりダイレクトにキャラに言葉で語らせてた箇所ですが、『ルルーシュ』のような長期伏線型びっくり構成作品で、十全な仕込みの上にこういった解答に着地したら、たぶん、泣く。

 そんな感じの第14話でした。



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 それでは!

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