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 ちょっと難しく語ってみると、作品が提示する、「世界系」による、既存の「セカイ系」の否定みたいな感じ?
 「セカイ系」の定義は色んな見解があって難しいですけど、とりあえず「『自分』のものの見方が、『社会』を吹っ飛ばして、直接『世界』と連動してるかのような観念に基づいた作品」と定義してみます。「『キミとボク』=『世界』」みたいなうちはまだ可愛いんですが、「自分」と「世界」が直接連動してるがゆえに、「自分」の不満を解消するために、直接「世界」の方を改変しようとしてしまう主人公が紡ぐ作品も、セカイ系の亜種(というかちょっと関係している発展系)としてここでは考えます。

 で、最終回のクライマックスで「俺が世界だ」なんて語っちゃうのカブトの天道は一見すると、「自分=世界」のセカイ系の住人みたいに見えるんですが、ラストの語りから解釈するに、それとは全然違っていて、むしろそういった既存のセカイ系を否定する独特の「世界系(漢字にしてみた)」の存在なんですね。

 天道のラストの語りを超要約すると、「世界を変えるんじゃなくて、自分を変えろ、そうすれば世界が変わって見える」って感じですね。

 ひよりと擬態天道は、まさに「『キミとボク』=『世界』」的なセカイ系のテンプレートにのっとって、一時は現存世界から逃避して、二人だけのセカイ系に閉じこもっていました。が、それは超燃えの第44話の感想で書いた通り、「俺はお前とお前の生きる世界を守る」と言い切った天道によって否定され(「キミとボク」だけによる世界だけじゃなく、沢山の人が同時進行で生きている社会を介在した世界の方も守るのが俺だという宣言)、ひよりは「社会」が介在する現存世界に戻ってきました。

 で、最終回は、自分達のものの見方を「=(イコール)」で世界と結びつけて、世界の方を(全員ネイティブにしてしまうという形で)改変しようとした根岸さん達に対して、天道が、「変えるのは『世界』の方じゃなくて、『自分』の方」と彼らを否定するお説教(笑)を語るわけですよ。天道の(というか作品を通して提示されてる)「世界系」では、あくまで「世界」を変えていくのは個人個人が「自分」を変えていくことで得られると。その総体としての「世界」の変化なんですね。物語冒頭から描かれてきた天道の「俺=世界」的なスタンスには、実はそういった、自分が変われることで世界の見方が変わってくるという、わりと普通に地に足がついた考えの含意があったわけですね。決して一足飛びに「世界」の方を改変するんじゃなくて、まずは自分の変化から。

 で、ラストは一度は本当セカイ系的に「『キミとボク』=『世界』」の世界に逃避したひよりが、料理を通して「世界」を介在する所の「社会」と関わって、最終的にまさに天道の言う通り「自分を変える」ことで、現存世界で生きていくことができるようになったと。作中で散々使われてた「料理」のギミックが、こういう世界(というか社会)と自分との関係を繋ぐためのギミックだったというのが上手いですね。

 「キミとボク」=「世界」で閉じるセカイ系の代表作品に上げられることが多い『最終兵器彼女』や、「自分」の考えを直接「世界」と結びつけて、唐突に神になった気になって「世界」の方を改変しようとする『DEATH NOTE』なんかの作品(「ボク」が一足飛びに「世界」と結びついてる点から、セカイ系の亜種と言えなくもないと思う)に対する、強烈なカウンターの作品だったという感じですね。「キミとボク」=「世界」で世界を閉じるのは止めなさいと、「ボク」=「世界」で「ボク」が不満を感じてるからといって、一足飛びに「世界」の方を変えるのも止めなさいと。まずは「自分」を変えることで「世界」の見方は変わるから、「社会」と関わりながら生きなさいと。そしておそらくは、本当に「世界」が変わるとしたら、個々人のそういうスタンスの総体として、介在する「社会」が変わっていくことによってですよ……と、そんな感じのメッセージだったと解釈。だいたい、「現実と関わることがテーマ」と書いた第44話の感想の内容と合致します。

 うん、ワームゆえに現存世界では生きがたかったひよりが、天道によって「キミとボク」=「世界」の考え方も、「ボク」=「世界」で一足飛びに「世界」を変えようとする考え方もぶっ壊されて、一方でひより自身も料理を通して社会(現実)と関わっていくことで「自分」が変化し、ラストシーン、現存世界で生きられるようになったひよりの風景が描かれる……という着地は良かった。

 途中、飛ばし飛ばしで視聴してないエピソードなんかもあったりするんですが、トータルでは中々いい作品だったんじゃないでしょうか。一見「俺様が世界」的な自我肥大野郎みたいに登場してきた天道が、最終的にはいたって堅実な形で「世界」と向き合うことのメッセンジャーになってるというように、冒頭のイメージを裏返した感じで着地させる脚本は中々ニクかった感じです。制作スタッフの皆さん1年間お疲れ様でしたー。


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