2008年03月08日
機動戦士ガンダムOO/感想/第22話「トランザム」
「君達が真の平和を勝ち取るため。戦争根絶のために戦い続けることを祈る。ソレスタルビーイングとしてではなく、君たちの意志で、ガンダムと共に」(イオリア・シュヘンベルグ)『機動戦士ガンダムOO(ダブルオー)』の視聴ネタバレ感想、第22話「トランザム」の感想です。
天上人度、つまりは下の方の存在を把握してる度&掌握してる度みたいなものがめくるめく入れ替わるのがガンダムOOで、天上人度が高い存在の方が上から見下ろすアングルで描かれるんですが、今回はいつにも増してめくるめく感じで入れ替わって面白かった。その何度もの転覆劇の最後にイオリア・シュヘンベルグが最上位存在としてアレハンドロを見下ろしながら演説。そのまま、最上位存在自らが人間に全てを託して舞台から退場して、事実上の天上人(ソレスタルビーイング)が消滅。あとは、ただの人間達の物語だけが残る……というのが面白かった。
やっぱり、第1話冒頭の、
「この世界に神なんていない」(刹那)
が、キーの作品だったんだなぁ。
なんでも予知・予測してるらしい神さま的な存在としてヴェーダことイオリア・シュヘンベルグの影がずっと刹那らCBにはつきまとっていたんですが、前回でSTAND ALONEシステムを構築して、刹那ら人間側から、まずは神さま(イオリア(ヴェーダ))離れ。
そして今回は、神さまの方から、人間を信じているから、あとは人間に任せると。神さま的にも、神さまからの離脱を促してくれたと。
「君達が真の平和を勝ち取るため。戦争根絶のために戦い続けることを祈る。ソレスタルビーイングとしてではなく、君たちの意志で、ガンダムと共に」(イオリア・シュヘンベルグ)
神さまの使い的なニュアンスだった天上人(ソレスタルビーイング)の立場から、「君たちの意志」と、それぞれの意志を持つただの人間に。
前回の予告でパンドラの箱の底に眠るものと例えられていたのは、イオリア自身だった感じですかね。予測・予知の不幸であったイオリアは、もともと展開次第では自らそっと箱を閉じて箱の底で眠りにつくつもりだったと。なんでも予測してしまうヴェーダ(イオリア)という存在をトレミー組から切り離し、何も予測できない、不完全なただの人間になってしまったトレミー組(というかイオリア的には未来のGNドライブ保持者)に、それでも信じてるから自分達の意志で後は戦っていけと全て(主にガンダム)を託すつもりだったと。パンドラの箱の神話が、(諸説あるけど)予測・予知の不幸が箱の外に出てこなかったからこそ、人間は不確定な未来に希望が見いだせるといった趣旨のお話だったので、22話かけて描かれてきたのも結局はそういうことだったんじゃないかと。何でも予測できるイオリア(ヴェーダ)とリンクしてるガンダムに紛争根絶の信仰を重ねていた刹那、ヴェーダそのものとのリンクがアイデンティティの全てだったティエリア、ヴェーダ経由の情報で「完全な」予測を志向していたスメラギさんといった面々が、神さま的な予測・予知の不幸から離脱して、天上人からただの不完全な(だけど未確定な分希望が見いだせる)人間になるまでのお話。
超天上人だったはずのトリニティ組がアリーに見下ろされて蹂躙され、割って入った刹那と因縁のアリーが「ガンダムとは何か?」問答。ガンダムは戦争のための兵器と主張するアリー(この主張から、やっぱり同じことを言っていたアレハンドロと繋がってる感じ)に対して、ガンダムは紛争根絶のための「何か」と(口では言わないけど)主張する刹那がぶつかって、だけど刹那劣勢。
それとシンクロするように、天上オブ天上だったはずのイオリアをアレハンドロが見下ろして銃撃を連射……全ては転覆して世界は最上位存在となったアレハンドロが掌握してしまうのか……という所で、トラップシステムが起動して、再度イオリアの方がアレハンドロを見下ろす構図に逆転。そして、逆転したまま、天上オブ天上人として全てを掌握し続けようなんてことは言わずに、あとはただの人間の君たちに任せるという趣旨の演説をはじめるイオリア。
「ガンダムとは何か?」問答でアリーに対して劣勢だった刹那のもとに、ガンダムの解釈はあとはただの人間である君に任せる。だけど君の解釈を信じているから力を贈るよという趣旨のイオリアの言葉が届いて、トランザムシステム起動という流れがだいぶ熱かった。
イオリア御大、神さま的な手法で紛争根絶プロジェクトを組んでおきながら、最終的には人間次第だともどこかで思ってたんだなぁ。で、そんなどこかで人間そのものを信じてたイオリアのメッセージ&力が、もう天上人じゃなくてただの人間になっちゃったけど、一人の人間として紛争根絶を願ってる刹那に届くというのが熱かった。これ、第二期って本当にあるんだろうか。統一世界も紛争根絶も劇中では成されないけれど、不完全で不確定だけど、それゆえに可能性も持てる人間達の手に後は委ねられている……な感じであと数話でエンディングでも、普通にいい終わり方な気がするんだけど。
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この記事へのコメント
刹那とネーナの関係は今期だけでは描けないでしょうから第2期があった方がいいです。
最近の派手な展開を見るとNHKのメジャー対策として最初から派手な展開にしなかったことが悔やまれます。
物語上、特にこれ以上掘り下げるだけの必然性を感じないんですが>刹那とネーナ
むしろ、マリナさんや沙慈くんの宇宙志向の話があと数話では終わらない気がするので、刹那との関係で第二期が必要だとしたらその辺りのキャラとの絡みじゃないかと。
>NHKのメジャー対策として最初から派手な展開にしなかったことが悔やまれます。
何をもって対策をする必然性を感じてるのかが分かりません。
個人的に、物語の中で否定的に語られているアリーさんも肯定的に語られているセルゲイさんも、部下から「頼りになる上司」、上司からは「有能な部下」として似たような評価をなされてるだろうあたりは、掘り下げ方によっては面白くなってくると思います。
死んだ魚のような眸でガンダム撃墜を期待する沙慈君。刹那側から何らかのフォローが入らなければ、本当にパニッシャー気分でガンダム撃墜を目標に軍に入りそうで怖い。
ヴェーダという全知・予知のパンドラの箱からパージされたソレスタル・ビーイングが『不確定要素の多い』スメラギ女史のミッションプランを抱いて地上に降りる(しかも、もう宇宙に戻れないかも知れない)という流れは、天上人の転落には違いないけれども、それをポジティヴ描写にしたところは凄ェ。絶対ネガティヴ描写になると思っていた私は、まだまだ『足りん』。
>全ては転覆して世界は最上位存在となったアレハンドロが掌握してしまうのか……
人革連やAEUが擬似GNドライブを即実戦投入する中、フラッグへのこだわりを見せていたグラハムさんも、結局は擬似GNドライブ(天上から与えられた道具)を装備(してますよね?)。
「私はガマン弱い…!」って威張って言うことじゃないから!と突っ込みながら、前々回の「断固辞退しよう、私はフラッグでガンダムを倒す」すらフェイクにすぎず、それもこれも「世界を変えるのはこの私、アレハンドロ・コーナー」での全転覆感を倍増させるための前振りだったという罠。
そしてその全転覆感すら、さらなる逆転劇と、それに端を発する「人の巣立ち」への前振りだったという罠。
エンディングも18話以来のロングverだったわけですが、18話も自立意志でトリニティ(上から目線)に挑んだラストだったところを見るに、天上から与えられた運命に飲み込まれる回のEDは通常ver、天上から与えられた運命に立ち向かう回のEDはロングver(山陰から白鳩?が飛び立つシーンから始まる=人の巣立ちを象徴?)となっているようで。
天上からの「Fallen Angels」が「人の巣立ち」へ裏返るという超構成とED映像演出にメラ燃えしつつ、次に来るのは、巣立った人が「不完全で不確実」であるがゆえに苦悩する的な展開なのかなぁと。これも「ガンダムの伝統」ですし(by IKUTOさん)。
戦争に介入して犠牲者を生んでいたという点においてはトレミー(刹那)もトリニティ(ネーナ)もアリーも変わらないわけで、では何が違うのか?とか。刹那が口にした「ガンダム(兵器)は何のためにあるのか?」の答えとか。戦争が続く世界にあって一般人(≒沙慈)はどう在ればいいのか?とか。戦うことの是非とか。人が抱える矛盾とか。
そういった問いに対して、不完全な存在である「人」がどんな問いを出すのか?というのが、今後の展開の核になっていくような気がします。あとはOOガンダムは登場するのか?とか(笑)
その意味で、トリニティにあって唯一生き残ったネーナの扱いにも期待しつつ、まずは次回。
「世界を、人の意識を変えたかった」
「だが、その想いに反して今は叫ぶ」
『世界を止めて』
天上から巣立った、不完全で不確実な人の苦悩、矛盾的なニュアンスに期待しています。
トリニティズの中でネーナが生き残されたのは、紫ハロがいるから(MS内でもトレミー側のハロと同じように機能しているようですし)かな? と。
以前の有人木星探査でなにがあったのかまだ明らかにされていないし(あまり明らかにする必要性がないかもしれませんが)。
そしたら黄ハロ所有者のロックオンの退場の可能性は低くなるのかも、とちょっと期待(でも、予告で眼帯したまま出撃してるし・・・。)
ティエリアのこともなんとなく分かっているようだし、そっくりさんいるし(双子ではないと思っています。「あの人が・・・。」て言い方しないと思うので。)、逆にロックオンのことがわからなくなってきました。
そして沙慈が痛い(涙) 軍に加わるのだけはやめて欲しいです。
個人的に一番印象に残ったシーンは、沙慈君のブラックな演出だったわけですが、恨み経由で悪意が生まれちゃいましたね。
ヴェーダ(イオリア)は悪意が生まれるのも計算のうちで、人間に託したのでしょうか?
2期での沙慈君と刹那の絡みが、すごく楽しみです(^^)
すこし気になったのですが、OPのスローネの部分が微妙に変わっていました
これには一体どのような意味があったのでしょうか
よければ考えをおきかせください
それは面白い構成かもですね。どちらかというと、冒頭では身近な所(ミクロな人間関係とか)から話が始まって、物語の末に世界がどうこうという大きい話になっていくというお話が多い中で、OOは冒頭が世界がどうこうというお話から始まって一期もそれで決着をつけて、そこからむしろ小さい話に入っていくという。
アリーやセルゲイ中佐は掘り下げたら面白そうですが、アリーは一期のラスボスとして打倒されそうな気はちょっとしてます。刹那の天上人からの墜落がわりとポジティブに描かれてたんで、偽りの神さまを刷り込んでいたアリーをただの人間となった刹那が打倒して一区切りというのは、かなりまとまった感がありそう。
沙慈くんはどうなるんでしょうね。残り話数は宇宙決戦だと思うんで、一期では刹那との話はとくにこれ以上進展せずに二期に持ち越しかもです。でも、一期の締めは視聴者目線キャラの変遷でまとめる感じで沙慈くんの絵で終わりそうな予感。
逆に、物語の最初の方の全知・予知のヴェーダに依存したまま天上人として介入していた頃が今と比べるとネガティブ描写だったってことですよね。物語冒頭からネガティブ描写で開始するという作り手の心意気がむしろロックで熱いと思いました。刹那サイドに感情移入できないなんていう最初の頃にあった批判は全部想定済みであえてこういうちょっと凝った構成を取ったんだろうなー。
エンディングの白い鳩が、なんらかの地上と天上を行き来する存在の比喩になってるのはたぶん確かでしょうね。前EDでも出ていましたし。でもショートVerとロングVerの違いには僕は気付いてませんでした。確かに意味がありそうです。
逆転劇の末に天上オブ天上のイオリアが最上位を取った所で、逆に天上人からただの人間へを促す構成は痺れました。
なので、OOガンダム発進時はやっぱり、ただの人間としての刹那が本当に天上を目指す時に見上げるアングルから発進するんじゃないかと期待しています。今までは全知のイオリア(ヴェーダ)に頼った天上人として上から降りてガンダムで介入していたのが、ただの人間として本当の天上を目指す展開に期待。その時、宇宙を志向しているマリナさんや沙慈くんと刹那の気持ちが重なってればもう最高ですね。
そう言われるとロックオンは結構謎が多いですね。
CBのすごい重要アイテムらしいハロと行動してるとか、双子みたいな人の存在とか、人工生命関係のティエリアの素性に関して何か知ってるっぽい振る舞いとか。
その分フェルトの気持ちに気付いてないかも的な辺りがロックオン兄さんのイカした所ですが(笑)
これまでの既情報だとイオリアはCBに世界の憎しみを向けて世界を統一→CBが抑止力になって平和を……が基本的な(というか表だった?)目的みたいなんで、沙慈くんがCBに憎しみを向けるのもそういう意味では計算内っぽいんですよね。ただそういったイオリア御大は今話で一応退場してあとは刹那ら人間に委ねられたので、劇中は本当混沌とした人間の物語のみがある感じです。
>みさおさん
どうもはじめまして(?)
OPの変更箇所は気付きませんでした。
ちょっと見比べてどこが違うか検証したりする時間はとれないんで、僕がその件について述べることはできません。ご了承ください。
ここを読んでる人で時間ある方いらっしゃいましたら、検証してみて何か解釈をここに書き込んでいくのは歓迎します。
ほんと、このまま第2期無くても良いくらいのいい作品です。
逆に第2期でグダグダになったら・・・
ヨハン兄の最後の台詞
トリニティ嫌いだったけど、ガンダムのためだけの人工生命体だったことがかわいそうでした。
ネーナは、強襲コンテナに回収されるけど、アリーのツヴァイに突っ込んでいって返り討ちで終わるだけだと思います。
アレハンドロがリボンズに後ろから撃たれることを期待していたのは俺だけ?
深読みしすぎ?
トランザム発動の流れは、ご都合主義的だったけど、熱かったですね。
後出しじゃんけんである感は否めませんが・・・(いつものことか)
個人的には、刹那とネーナと沙慈の関係については、第1期では悲劇的な結末で終わるのではないかという予感がしています。
天上人度最下位ランクに落とされつつも死の危機を救われたネーナが、トランザムを発動したエクシアを見上げる状況は、第1話冒頭で0ガンダムを見上げる刹那の状況と酷似していて、その表情までそっくりです。これは「死の実感」によって地上人の視点を手に入れた彼女が、第1話の刹那と同じスタートラインに立った描写とも解釈できます。対する刹那は、「ガンダムは戦争を根絶するもの」という信仰をイオリア・シュヘンベルグによって肯定され、ネーナの危機を救ったことによって「ガンダムになる」という目標を叶えてしまいました。
私はこれを、物語上の役割を全うした刹那が後継者であるネーナにバトンを託し、表舞台から退場することを予感させる描写として受け取りました。
(続きます)
刹那も沙慈も、半年の物語を通して魅力的なキャラクターになりましたし、ネーナも今後の行いによっては(ロックオンの「人間なんだから失敗する」という台詞にあるように)救われていいキャラクターだと思っています。何とか皆救われて欲しいところですが、「まだ続編が半年分ある」という状況が嫌な予感となって気を重くさせます。
どうもはじめまして、コメントどうもです。
トリニティ組、悪役キャラの役割を途中で課せられましたが、戦いのための人工生命体として生み出されて戦ってるままに悲劇的に幕という所だけ見ると、従来のガンダムの強化人間系(SEEDのエクステンデットとか)の系譜とも捉えられました。
切り札を見開き大コマで後出しした方が勝つみたいな一種の少年バトル漫画みたいな文法は最近のガンダムでは結構取り入れられてるんですが、知略戦略で魅せて説得力で勝たせるみたいな文法とはまた違った分かりやすい魅力があるんでこういうのも僕は好きです。今回は後出しが勝つという部分を見下ろすアングルと対応させたりして、演出も凝ってましたし。
どうも初めまして、コメントどうもです。
今話のネーナの刹那のエクシアトランザムを見上げる絵は、第1話冒頭の刹那、および、トリニティ初登場時のネーナの機体を見上げる刹那の絵に対応していて、刹那→(見上げる)→ネーナから、ネーナ→(見上げる)→刹那と構図を逆転させている演出意図はまず間違いないんですが、これを新しいネーナの物語のはじまりと捉えるのか、単に、ネーナの天上人から転落エンドというネーナの物語の終わりと捉えるのかは微妙な感じです。
まだ、そんなに強い物語上の役割付与をネーナには僕は感じてないんですよね。人工(的)生命体の男女が紡ぐ人間劇みたいな従来のガンダムシリーズにあるお話は、アレルヤとソーマのラインで描く気がしてますし。勿論、第二期からぐぐっと掘り下げられはじめるという可能性もあるんですが。
キャラクターとしては釘宮ボイスも相成って好きです(^^;
バンダイチャンネルで1話だけマクロスfが配信されています、本放送は4月です
これを見ずして2008年のアニメは語れないと思います
マクロスFは僕も見るつもりではいますが、記事本体と関係の無い(この記事はガンダムOOの記事です)宣伝行為みたいなコメントは慎んで頂くようにお願いします(あまり読まれてませんが、コメントのガイドラインにも書いております)。
次からは削除対象にさせて頂きますので、あしからずです<(_ _)>
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