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 今週の「ダブルアーツ」。ジャンプ雑誌本編のタイムリーネタバレ感想。第13話「戦おう」のネタバレ感想です。
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 祝、表紙&巻中カラー&大増45ページ。

 古味先生は忙しくて死んでると思いますが(笑)、新連載1クールでこの扱いは素晴らしい。ちゃんと一般層にも人気があるみたいです。良かった良かった。巻中カラー表紙のキリの頭の上で髪結ってるスイが可愛いなぁ。

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 本編も、相変わらず「触れる−触れられない」「関わる−関わらない」というのをキーにして、濃密なバトル編でした。この前のVSゼズゥ戦より数段良かった感じ。

 構図をおさらいすると、ファランは、現在何らかの理由で「触れられない、関わらない」側の人。

 で、キリはフレアの設定を持ち出すまでもなく、「触れる、関わる」側の人。

 で、自分のためにしか力を使わないってことで、他人のためじゃない、他人とは「触れない、関わらない」というスタンスのファランが、誰かを巻き込みたくないなら、誰かを守れるだけ強くなれという含みを持ったアドバイスをキリに贈るのね。

 これはこの時点では矛盾なんですよ。ファランは誰も守らない、自分のためだけに戦うっていうスタンスなのに、キリには誰かを守るなら強くならないとという含みで言っているという。

 これは、トロイ、シスター達と、ダブルアーツ作中には何らかの他人と触れられない、関われない、孤独病のような設定、人達が出てきますが、ファランも現在はそういった孤独病に冒されている側のキャラクターで、もとは誰かのために戦っていたというのが既にかなり示唆されてますよね。もともとはキリと同じ「触れる、関わる」側のキャラだったのに、何らかのイベントがあって、自分のためだけという「触れない、関わらない」の本人曰く「鉄の掟」を今は自分に課してる人なんじゃないかと。

 だから、この時点のファランからすると矛盾したようなアドバイスなんだけど、ようはたぶん、昔の自分、まだ他人のため、守るために戦ってた頃の自分と重ねてキリにアドバイスを贈ってるんだと思うのね。

 で、キリはそのアドバイスを汲んで守るために「戦う」ことを今回決意するわけですが、それは現在ファランが取っている「触れない、関わらない」戦闘スタイルではなく、フレアを持つキリ独特の、作中で肯定される所の「触れながら、関わりながら」戦う戦闘スタイルなんですね。

 「そのために、あんたの力が必要だ…!」(キリ)

 という訳で、第1話以来の、キリとエルーの手繋ぎバトル。ダブルアーツ。もう、物語冒頭で誰とも触れられず、関われず透明になって消えていくしかなくて、それを受け入れてしまっているフシすらあったエルーが「あんたが必要だ!」って言って貰えて、触れたまま、人と関わったまま何かを成し遂げるという、それがバトル編にもかかってるという、それだけでおなかいっぱいな内容だったんですが、今回は大増45ページということで、そこからさらにキリとは逆の、「触れない、関わらない」ファランの強さも描かれます。

 何で戻ってきたと問うファランに対して、巻き込んだから、放っておけるはずがないというおまえと「関わる」ぞという意志で返すキリに対して、敵に対して、標的はファランだけなんだなと、キリ達が「関わってない」ことを確認するファラン。

 で、そういった、自分のためだけ、「関わらない」力っていうのは「触れよう、関わろう」が正義なこの作品では否定されそうなものなのに、ファラン、見開きで瞬殺と異様に強いと。

 「関わらない」強さのファランVS「関わる」強さのキリっていう構図なんですが、これはお互いがカウンターな構図に現在はなってるけど、たぶんそれは表面的なもので、ファランももともとは「関わる」側の人で、守るために戦ってた人だと思うんですよね。ティセラさんがキリに関わればファランの運命も変わってくると予言してるように、このファランの物語もまた、トロイの打破、シスターの自己犠牲の否定なんかと同じく、この作品で一本芯を通して描かれてる、他者と関われなくなった人が、キリとの出会いを通して関われる自分を取り戻していくお話なんでしょう。

 ラストの締めの未来エルーのモノローグが、

 ファラン・デンゼル この日をきっかけに 彼は私達と深く関わっていくことになる

 完璧な締めですね。訪れるであろう、「関わり」の明示化、キリとファランのフレアは盛り上がりそうです。

→8月4日発売のコミックス1巻予約開始

ダブルアーツ 1 (1) (ジャンプコミックス)

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