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 『コードギアスR2』第16話「超合衆国決議第壱號」の感想&トラックバックセンター記事です。
 前回第15話「Cの世界」の感想&トラックバックセンター記事では、7800PV/WEEK超えのご好評を頂いてありがとうございました。前シリーズでの運営経験を生かして、TBセンター記事は早めに立てておきますので、今回も感想記事を書いたブログ管理人の方はふるってトラックバック頂けたら幸いです。なお、記事中はネタバレが前提となりますことをあらかじめご了承下さい。
 ◇

<追記:感想アップしました>

◇以下本編感想◇

 「信じてるの?8年前の自分なんて」(アーニャ)

 相変わらずスリリングでした。

 アイデンティティ、自己同一性みたいなものがこの作品のテーマだとは折に触れて書いてきた訳ですが、諸々のキーワードである、記憶、自由意志、名前……なんていうのは全部このアイデンティティに必要な要素なんですね。

 それを奪われたから(無くしてしまったから)、取り戻す。それがコードギアスの物語の骨格だと思って視聴している訳なんですが、折しも、エリア11という形で「日本」という名前・アイデンティティを奪われた国を取り戻すための戦争がマクロな部分では始まりそうな今回でしたが、それと連動して、ミクロな個人の方のアイデンティティとその奪還にまつわるお話も進んでいました。

 一番思想的にスリリングだったのは、以下のアーニャとスザクの会話のシーンですね。

 「信じてるの?8年前の自分なんて」(アーニャ)

 「過去の決意なんて、愚かだって言いたいのかい?」(スザク)

 「人の記憶なんて曖昧なもの。信じるほどの価値はない」(アーニャ)

 「そんなことはないよ」(スザク)

 何がスリリングかって、ようはアーニャは8年前(アーニャ自身のケースは9年前)の「自分」と今の「自分」なんて同じじゃないよ、と、通時的に連綿と続く確固たるアイデンティティの存在を否定している訳です。

 で、一方でスザクは8年前に自分で立てた自分のあり方(たぶん正しい過程にこだわるという部分)に今でもこだわっていて、8年前の「自分」と今の「自分」には自己同一性(アイデンティティ)がある……と返している訳です。

 この辺り、R2になってから「アイデンティティ(自己同一性)」のテーマが一番色濃く描かれたのは第8話「百万のキセキ」ですが(その時の感想を参照)、その時ロイドさんがゼロ(ルルーシュ)に、前のゼロと今のゼロは同じ?と問いかけたシーンと、今回のこのシーンは同じ意味で描かれている訳ですね。両方とも、通時間的に前の自分と今の自分に「自己同一性」はあるのか?というのを問いかけているシーンです。

 愚直に8年前に決めた自分のあり方を貫こうとしてもがいているスザクはともかく、皇帝のギアスによって記憶を書き換えられているらしいアーニャは自分にこの通時的な自己同一性を見出すのは難しい訳なんですが(記憶を書き換えられる前の自分Aと、記憶を書き換えられた後の自分Bが同じか?と言われると、かなり厳しい。それだけ、記憶を蹂躙する皇帝のギアスはアイデンティティの矜持を描いているこの作品では作中否ということ)、この辺りは既に作中で解答が示唆されてるんですよね。

 上述の第8話で「日本」のアイデンティティは血とか言語といった表面的なものではなく、「心」とスザクとルルーシュが同意したように。皇族、学生、反逆者と三つの側面を持ってアイデンティティが揺れているルルーシュという存在にも、全ての側面を貫くアイデンティティがあって、やがてAllルルーシュに至ると示唆されているように(第8話でかなりルルーシュを貫くアイデンティティに関しても描かれていますが、まだ明示的ではない。その代わり、新OPの最初のカットが、学生服にゼロのマント、仮面はつけないルルーシュという、全ての側面を内包したAllルルーシュという絵になっていて今後のルルーシュのアイデンティティのあり方を示唆している)。ようは、断絶を超えるアイデンティティもある、という解答だと思います。

 アーニャに関しても、今は記憶が曖昧だから通時的なアイデンティティというものの存在に諦観しているかもしれませんが、記憶改竄前のアーニャにも、今のアーニャにも貫かれている何かの存在に気付いた時、再びアイデンティティを取り戻す可能性はあるということです。

 その物語を体現して見せたのがシャーリーで、彼女は記憶改竄前の「自分」でも、記憶改竄後の「自分」でも、「ルルーシュへの愛」という同じ解答へと到達した。作中否である記憶を蹂躙する皇帝のギアスすら超えた、彼女曰く「想いの力」。「想いの力」は第8話でルルーシュとスザクが口にした「心」に繋がり、=「アイデンティティの拠り所」となります(だからそれを奪う皇帝のギアスもルルーシュのギアスも作中では否定的に描かれているのね)。

 残念ながらシャーリーは散ってしまいましたが、作中ではまだこの系譜を継いで物語が進行中のカップルがいます。例えば、ヴィレッタさんは記憶を失っている間の「自分」と、記憶と取り戻した後の「自分」という断絶を超えて、シャーリーのように「扇さんへの愛」という解答に辿り着けるのか?ルルーシュと過ごした時間の記憶を失ったC.C.は、ギアスに関わる前の一人の少女としてもなお、ルルーシュを愛せるのか、そして、彼女が本心から望んでいたような、「愛される」ということを断絶を超えて(ギアス云々の打算無しにルルーシュと、ということね)獲得できるのか?

 この「想い」「心」は断絶を超えられるか?というのは熱いですね。ほとんど熱血少年漫画のノリくらい熱い。作品として断絶は超えられると結論づけられるなら、決別前のルルーシュとスザクの間にも、決別後のルルーシュとスザクの間にも、その断絶を超える「想い」「心」、まあこの二人の場合は「友情」ですね。それはある!ということを描かなければ整合しないので、二人の友情が断絶を超える展開がまだあり得るという。8年前の「自分」の「心」を未だに頑なに守ろうとしているスザクのあり方は、別の側面から見れば、8年前に確かにあったルルーシュとの友情も、断絶を超えて同じように守れるかもしれないということだと思うので。

 ここまで仕込んだ上で、次回ルルーシュとスザクの直接対面という展開になだれ込んでいく訳です。相変わらず凄まじい構成力です。

 ◇

 以下はピコポイントです。

●ルルーシュとC.C.の手繋ぎが実現

 「友だちがいたら良かったんですけど」(少女)

 のシーンで、作中で重要な比喩表現である「手繋ぎ」が実現。ルルーシュが手袋をはめてるのでまだ心の底からという描写ではないのかもしれないですが、前回の感想で書いたように皇帝が秘匿の消えた世界を目指しているのだとしたら、こう、お互いの内面は覗き見ることができず、あなたのアイデンティティと私のアイデンティティは別たれているからこそ、こうしてギリギリまで接近する行為は尊い。そういうのをこの「手繋ぎ」の比喩は表現しているのかもと思います(物語冒頭から何度かリフレインされているルルーシュとスザクの手繋ぎ、ルルーシュ&スザクとナナリーの手繋ぎ、R2第13話でのシャーリーとルルーシュの手繋ぎ。逆に、偽りの関係しかまだなかったR2第1話では、ルルーシュとロロが手を繋げそうで繋げない描写がある)。

「頼む、ナナリーを、ナナリーを守って下さい」(ルルーシュ)

 決戦前にルルーシュとスザクが携帯で話すというのは、第一期最終決戦前のリフレイン演出。あの時は「俺たちは友だちだ」と表面で言いながら深層では二人の決別は決定的なものになっていたけど、今回は表面的に「友だち」なんて言葉は使わず逆に二人は敵同士としっかり確認しながら、深層では「ナナリーを守りたい」という想いを二人は共有している。

●ルルーシュ、スザクに秘匿を告白

 作中是の自由意志に基づく秘匿の告白場面。ついに、ルルーシュ→スザクで実現。第一期ラストで、生徒会メンバーという大事な人達のためにカレンが自分の秘匿を告白した場面に次ぐ、ナナリーという大事な人のために、自分の秘匿をルルーシュが告白したという場面。

 ちなみに、この「秘匿-告白」のテーマでは、最近ナナリーとカレンがイイ感じ。

 R2第14話にこんな場面があります。

 「嘘をついていてごめんなさい」(ナナリー)

 「お互い様よ」(カレン)

 前回で、秘匿や嘘そのものが悪というよりも(秘匿や嘘を完全に否定したら、皇帝が目指してると思われるSF的にちょっとMADな世界になる)、秘匿を持ったとしても、それを告白する自由意志が大事、逆に告白された側は、それを赦す自由意志が大事……という所に持っていくような気がしてきました。

 これまで、ルルーシュの秘匿を全て知った上で、それを赦した二人のヒロイン、ユフィとシャーリーは散ってしまったんですが、あるいはカレンとナナリーなら……と思わせられる場面です。

 それくらい、ナナリーとカレンは、お互いに秘匿(嘘)を告白し、赦し合っています。ナナカレですね。

 新OPで紅蓮がランスロットサイドで戦う展開が示唆されてますが、今回さらに「兄のため」という行動原理をナナリーとカレンは共有したこともあり、カレンはナナリーのために紅蓮に乗りそうだなぁ。ナナカレいいなぁ。

◇この感想記事はトラックバックセンターの役割も兼ねています。今話の感想(レビュー、考察、etc、関係する記事なら基本的になんでもOKです)をお書きになった方がいらっしゃいましたら、報告義務とかありませんので、気楽にこの記事にトラックバックして頂けたら幸いです。後日僕の方からも返させて頂きます。色んな感想を読みたい人のための一つのインデックスみたくできたら嬉しいと思います。ご協力頂ければ幸いです。

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