2008年11月19日

ツバサ/25巻/感想/CLAMP/マガジンコミック

ツバサ 25―RESERVoir CHRoNiCLE (25) (少年マガジンコミックス)  「さっき言いかけた事 その時言うから」(真・さくら)

 『ツバサ』第25巻のネタバレ感想記事です。全体としては収録話に関してマガジン掲載時に書いた感想の再掲記事になっています。コミックス派の方は、これを機会にこの記事で一気読みなどして頂けたらと。
 ◇

 帯より、OAD続編は、日本国編で、「ツバサ春雷記」とのこと。「インフィニティ編」と「セレス国編」は飛ばされたかー。まあその辺りは、採算が取れる話ということでしょうがない。やっぱりメイン4人が揃う所が選ばれたのだと思われ。真・小狼VS写身小狼は盛り上がるだろうしなー。

 ◇

●ツバサ/感想/Chapitre.192「溢れ出す記憶」

 最近の『ツバサ』&『XXXHOLiC』は受け継がれる「親と子」のお話に入ってきてる気がするというのは、ここ数話の感想や、最新の『XXXHOLiC』13巻の感想なんかでも書きましたが、その方向をさらに裏付けるように、パパ小狼から真・小狼への剣の受け継ぎ描写が今話では尺をとって描かれました。

 パパ小狼(CCさくらの小狼)が結構フォーカス当たり始めてるのに、ママさくら(CCさくらちゃん)をまだ見せてないのは、おそらくとっておきなんだろうなー。『カードキャプターさくら』終盤では未来が読めちゃつまらないみたいな文脈でさくらは未来視はしない雰囲気だったのに、また未来視してる辺りも含めて、色々明かされたりするんだろうか。

 後半の指切りができそうでできない真・小狼と真・さくらという絵は、第01話冒頭の何かガラスのようなものに阻まれて触れられそうなのに触れられない真・小狼と真・さくら(おそらく)という絵と平行させている描写だと思いました。

 これは最後には二人は触れられるっていう大ハッピーエンドへの布石なのか、やっぱり触れられないものは触れられないという切なさエンドへの布石なのか。

 過去作のCLAMPテイストを鑑みるに切なさエンドの可能性も高いんですが、やっぱり最後はしっかりと抱き合う二人が見たいというハッピーエンド希望者の僕がきましたよ。

●ツバサ/感想/Chapitre.193「7日目の誕生日」

 今話で幼真・さくらが聞いた「シャーンシャーン」という鐘のような音は、第1話で時間巻き戻し後の真・さくら(第1話のラストまではまだ写身と入れ替わってなかったハズ)思春期verが聞いていたものと同じモノと思われます。

 この謎の音を、時間巻き戻し前の真・さくらが7歳の潔斎時点で聞いていたという展開。7日目にいったい何が起こったのか。今第1話読みかえしてみると、真・さくら(巻き戻し後・写身小狼と過ごしてた方)が「シャーンシャーン」を聞いた時点で、冒頭の筒状の中で別たれている小狼とさくらの絵が既にフラッシュバックしてるんだよな。さくらの力は時空を超えるような類のものというのはもう明らかにされているので、やっぱり、何か時間超越展開が7日目に起こるのかも。

 簡単に予想するならループとか?

 第1話冒頭の筒状のシーンは、これから真・小狼と真・さくらで経験することなはずなのに(服装から判断すると)、既に第1話内の「シャーンシャーン」の時点で既に起こったことのようにフラッシュバック的な絵が挿入されているという。

 あー、でもあれか、筒状の中で別たれてるシーンが、一周目のラストだと考えれば時間超越とか考えなくても一応通る……か?

 今の過去編→7日目に真・小狼が何かを選択→その後ずっと真・さくらと真・小狼は思春期まで一緒にいた→一周目ラスト、第1話冒頭の筒状の中で別たれてるシーンにて、何らかの理由で別れる→真・小狼、時間を巻き戻す→巻き戻したものの真・小狼と写身小狼が入れ替わって真・さくらと過ごす→思春期まで成長して第1話へ。つまり、ここで真・さくらが「シャーンシャーン」で思い出している筒状のシーンは、一周目ラストの記憶→2周目ツバサ本編→2周目クライマックス、同じ服装だけど一周目のラストとは違う未来を実現するために真・小狼頑張るという図……。

 って感じとか。

 いやー、パズルタイプの作品だ(^^;

●ツバサ/感想/Chapitre.194「姫を呼ぶ音色」

 「シャーンシャーン」の鐘の音を聞いてトリップするのは、さくらが夢視をする時という解説が今回藤隆お父さんからあったので、第1話で同じく「シャーンシャーン」を聞いて、さくらがセレス国や筒状に閉じこめられているあのシーンを思い浮かべたのは、前回のコメント欄にコメント頂いたように、未来視の映像ということでよいみたいです。

 やっぱり、あの物語冒頭の筒状の中で隔てられて、小狼とさくらが触れあえないというシーンは、作中でもこれから起こる扱いなのか。

 あとは作中のキーとなる二つの選択、過去編七日目に真・小狼が行った「選択」と、これから起こる何らかの瞬間に百目鬼が下すことになるらしい「選択」のうちの一つ目、過去編七日目に真・小狼が行った「選択」がようやく明かされそうです。

 思えば作品の序盤からのキーワードだった「本当の覚悟」というのが、切り捨てる側の選択肢の痛みも辛さも知った上で、それでも自らの願いのために「選ぶ」という行為に基づくものだったと思うので、物語全体としてもいよいよという感じですね。

●ツバサ/感想/Chapitre.195「世界の境」

 本編がそんなに情報量が無い分、表紙に悶えていました。前も一回あったけど、さくら×サクラいいよねー。

 ◇

 この過去編では真・小狼と真・さくらが物理的に「触れられない」というのが重要な意味をもって描かれてると思うのですが、もしかして真・小狼と真・さくらはこのまま物理的には触れられないままで行くのかも。そのまま第1話冒頭の筒状の中で別たれて、触れられそうなのに触れられないシーンにまで繋がるのだとしたら、真・小狼と真・さくらは「触れられない」関係ということで一貫します(だからこそ、もし触れられる時がきたら感動的という仕込みも含めて)。

 お目目チューとかして触れまくってた写身小狼と写身サクラに比べるとプラトニックだなぁ。ああ、なんかオリジナルの方は触れられないのに、そこから生み出されたコピー同士は触れられるというのも、深く考えていくと色んな意味が見えてくる気がする。

●ツバサ/感想/Chapitre.196「一瞬の迷い」

 やっぱり物理的に「触れられない」真・小狼と真・さくらというこの過去編で積み重ねてきた描写が決定的な意味合いを発揮して、ずっと示唆されてきた七日目の「選択」そのものが、真・さくらに「触れるか、触れないか」という一瞬の選択だったということみたい。

 ここで真・さくらに触れられなかったのをやり直すための真・小狼の「繰り返し」の物語こそがツバサ本編だったって感じですかね。

 これなぁ、最後についに触れられた!というハッピーエンドも美しいと思うけど、どうしようもなく選択は一瞬で、人間の歴史はその積み重ね、一度選択したことは覆せない、だからこそ尊いという所に落とすために、結局真・小狼の願いは棄却されそうな雰囲気も感じたり。

 そもそも次元の理をぶち壊そうという飛王のあり方が、頑なに対価の原理を尊守して理を守ろうとしていた侑子さんのカウンターになる作中悪な訳だと思うので、同じように理を覆そうとしてるであろう真・小狼が無事着地できるのかという。写身小狼が「紗羅の国&修羅の国編」であった出来事(過去改変)について「ピッフル国編」冒頭で批判的に検証していたシーンも、結局はそこに繋がってくるような。

●ツバサ/感想/Chapitre.197「二つの命」

 扉絵が一番印象的でした。

 前回「一瞬の迷い」を見せた真・小狼に対して、飛王は自分の願いのために揺るぎなく迷わない状態になっているという。

 で、ループする玖楼国の住民を見捨てて真・小狼が行進を開始した時に、飛王はこれで真・小狼も自分と同じだ(おそらく自らの願いのために他者を捨象することに迷わなくなったという意味と思われる)というようなことを言う訳ですが、これはどうなのかな。

 迷いもまた人間性だろうという一般論の他に、サクラ原理主義が何となく危うかった写身小狼のその感情が羽のために刷りこまれた虚構のものだったとひっくり返されたように、現在の真・小狼の「願い」に一途な姿勢もちょっと危ういかもと感じていたり。

 飛王も真・小狼も同じだったではラストに弱いので、どこかで二人は違っていた、その違いが生まれた源泉が作品の最後のキーになると思うんですが、この辺りの迷いや弱さの受容から生まれてくるのかも。

 今回の、力及ばなくて大事な人を守れず、それをきっかけに力に傾倒するというのは、思いっきり近年の作品のネガティブ主人公のパターンだからなぁ(;´Д`)

●ツバサ/感想/Chapitre.198「見えない印」

 黒鋼がなんで真・小狼が過去を語って聞かせるのかって問う辺りが良かった。

 レコルト国編で写身小狼が黒鋼の過去を見てしまったのに重い意味を感じて黒鋼とちょっとやりとりする場面があるんですが、あのシーンを逆の立場からリフレインさせている感じ。その辺り、過去を知るという行為に重きを置いているのは、写身も真も同じ小狼なんだなぁ、と。あとはファイの過去を見た時の、黒鋼のファイの過去は関係無いって言う台詞とかもですか。色々と繋がってくる今話の場面でした。

 で、真・小狼が、過去話を聞いた上で、二人がどう思うか、みたいなことを言うのね。

 これは、やっぱり何か過去編ラストで普通の感覚では後ろめたいことを真・小狼やってるっぽいです。まあ、時間巻き戻しをやったらしいことは既に明らかにされているので、既情報から察するなら、自分の願いのための時間巻き戻しを指しているのかな(→普通の感覚では後ろめたいこと)。

 あと、真・小狼と真・さくらが「触れる」が今回実現した訳ですが、これはあれだけ引っ張った割にはあっさりだったので、今回が本番じゃなく、もう一度クライマックスに印象的に真・小狼と真・さくらが「触れる」シーンが来るんじゃないかと予想してみたり。今回のは、真・さくらが死の運命を纏ってしまってからの「触れる」ですし、お互いがお互いの真名を知らないとか、まだ「タメ」も多いので、お互いの真名を知った上でかつ本当の意味でさくらを救って「触れる」シーンが最後に来るんじゃないかと。いや、第一話冒頭が作中でこれから来る未来の絵だとすると、やっぱり本当の意味では「触れられない」エンドってことなんですが、そこはフェイクでハッピーエンドを期待したい。

 あとお互いの真名云々の辺りは、最後の旅立ち前に日本国で黒鋼と知世姫がやり取りするシーンで黒鋼の真名が明らかになる箇所がかかってくるんですね。真名を前提にした本当の絆が既にある黒鋼−知世姫と、過去編時点ではまだそんな関係に無い真・小狼−真・さくらという。

●ツバサ/感想/Chapitre.199「生き抜く力」

 真・さくらが「今度小狼に会った時に想いを伝えると決める、けどそれは成就しない」は、一周目と二周目でどっちもあったイベントだったっぽい(ただし二周目は小狼が写身に入れ替わっていると)。  そして、黒鋼とファイで、それぞれ両親と本当のファイと、大事な人を失った時のことを回想して、その時願う「願い」についてわざわざ今話でフォーカスをあてて、そこに以前から言われている飛王と真・小狼の「願い」は同じっていう情報を含めると、やっぱり真・小狼は真・さくらが死んだか、死ぬギリギリまでいって、それを回避するために時間を巻き戻したっぽいですね。

 それはツバサ&XXXHOLiC作中ではどうしても叶わない、というか叶ってはいけない「願い」として最初は高麗国編のチュニャン(とお母さん)のエピソード、中盤では紗羅ノ国編&修羅の国編での阿修羅王のエピソード辺り、大きくは黒鋼とファイの過去編なんかで徹底して描いてきた主題だったはずなのに、ラスボスの飛王と、他ならぬ主人公の真・小狼がその禁忌の「願い」を抱いてしまっているという。

 まだまだどうなるのか分からないですけど、仮に本当に真・さくらが死んで、その甦生(というよりやり直し?)が真・小狼の「願い」だったとしたら、作品として叶ってハッピーエンドとは落とさないと思うので、真・さくらの甦生はならないけれど、その分写身の方が残る、だけど躰の記憶には……とか、そんな感じかなぁ。だいぶ妄想入ってきてますけど;。

●ツバサ/感想/Chapitre.200「止まった時間」

 これまで出ていた情報から推測できた通り、やはり真・さくらが死ぬギリギリまでいって、真・小狼が時間を巻き戻したということみたいです。

 完全に死ぬ所まではいってないからジャッジが難しいですが、「甦生」と、「次元の理を歪めること」はツバサ&XXXHOLiCでずーっと色々なエピソードを通してやってはいけないこと、できないこととして描かれてきたことだったので、他ならぬ主人公の真・小狼がやっていた(あるいはそれに近いことをやっていた)というのは、こう、これもツバサで何回も使われてきた「反転」の展開ですよね。

 ただ、一方で最終章に入ってから、ツバサ&XXXHOLiCで「親と子の絆」っていうのを、ともすれば次元や時間すら超える尊いものだって描いてるフシがあるのですね(作品として『CCさくら』と繋がった頃からですが:先週もサブタイの「生き抜く力」をパパ小狼が真・小狼に伝えたというお話だった)。

 例えば、XXXHOLiCの今週のヤンマガでは、四月一日くんの躰の記憶に残っている両親から受けついだ「料理」に関する技術についてフォーカスがあたったり、それと平行描写で、先週のツバサでは真・小狼がパパ小狼から受け継いだ「料理」に関して言及していたり。

 と考えると、今回の真・さくらママが命を賭して娘が死ぬ前に時間を止めるっていう行為をやるっていうのは、これはやっぱり子を想う親の気持ちであって、それはここしばらく描かれてきた、「親と子の絆の尊さ」描写に入るよな、と。

 XXXHOLiCの方でだいぶ前から伏線張られていたように、四月一日パパママも四月一日を生かすために何かをして命を失ったフシがあるので、こう、やっぱり子を想う親の気持ちですよ。

 次元の理を歪めるのは悪いことかもしれないけれど(「紗羅の国編&修羅の国編」ラスト辺〜ピッフル国編冒頭で写身小狼の口から疑問符を提示する形で描かれていた)、でも子を想う親の気持ちを悪いことだなんて否定できるはずもなく。何が正しいって断言できない辺りが、物語の深みになっていると思うのでした。

ツバサ 25―RESERVoir CHRoNiCLE (25) (少年マガジンコミックス)
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