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公認アンソロジードラマCD 1 Kanon 〜カノン〜 プロローグ・美坂 栞 「約束をしたこと」  「それから今日気が付いた、この気持ちにも」(美坂栞)

 毎年この季節になると一回は聴き返してしまうドラマCDなんですが、今年も聴いてしまったので軽く感想をば。
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 何回か書いてますが、『Kanon』のメディアミックスで、後の京都アニメーション版アニメとかを抜かせば、最高傑作だと思っているこの公認アンソロジードラマCDシリーズ。

 声優さんも國府田さんをはじめKanonフルメンバーだし、音楽も「Last regret」をはじめ原作準拠。何より、シナリオと、演出がいいです。

 特にこの栞シナリオのカバーシナリオが描かれている1巻が好きなんですが、季節がちょうど今くらい(クリスマス前・祐一が転校してくる前の時間軸)ということもあり、なんだかんだで毎年クリスマスムードが漂ってる頃に聴いてしまいます。

 内容は、Kanon本編の栞シナリオの、栞と祐一が出会う前までを綴った栞シナリオプレストーリー。栞と香里との関係を軸に、あの祐一とあゆがコメディやってる最中に栞に雪をかけてしまったという出会いのシーンに至るまで、栞視点からするとどんな心情変化、物語があったのかというのを切り取っています。だから、エンディングがあの出会いのシーンで終わっているという、構成上もよく出来てるなーと感じられるシナリオなのであります。

 Kanon本編では物語冒頭からデフォルトだった、香里が栞に対して「妹なんかいない」という態度を取るようになった背景にどんな心情があったのか。香里側の揺らぎに、色々感付いていて支えになってあげたいんだけど、微妙な距離感から踏み込めない、名雪と香里との友情のお話。そして何より、栞視点からの、香里像。大好きなお姉ちゃんとの関係が破綻するに至って、独りになってしまった所に、現れた祐一との出会い……という物語。

 そんなギュウギュウを、時にモノローグ形式で情景描写(Kanon特有の冬の情景ね)を美しく描いたり、上記の物語を様々な暗喩に反映させながら、「あらゆる存在に名前があるのはどうしてか?」なんていうちょっと哲学的な主題をキーフレーズに、上手く最後にまとめあげています。

 ぶっちゃけ詩情性が豊か過ぎて読解難度は高めなんですが(説明が少ない感じで)、逆に色々断片的な比喩とか暗喩、音楽表現から色々感じてしまうタイプの視聴者には綺麗な世界が見える感じなんで、やっぱり僕的にはお勧めの一作。

 やっぱり、今体験しても『Kanon』の世界は綺麗だなー。

公認アンソロジードラマCD 1 Kanon 〜カノン〜 プロローグ・美坂 栞 「約束をしたこと」
公認アンソロジードラマCD 1 Kanon 〜カノン〜 プロローグ・美坂 栞 「約束をしたこと」

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