ハヤテのごとく! 18 (18) (少年サンデーコミックス)  『ハヤテのごとく!』のサンデータイムリーネタバレ感想。第209話の感想です。
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 この前のラブメルマガの話といい、いたいけな13歳のナギが商業主義に搾取(笑)されるというフォーマットのお話が面白いです。この前のタイムリーに恋愛に悩んでる所に、強いコピーの恋愛メルマガへの誘導が現れるとか、今回のTV観てたらアニメのBlue-ray-boxのCMが流れてるのを目撃してしまったとか。

 ロバート・B・チャルディーニの『影響力の武器』で言う所の、「カチッ・サー」で購買の「引き金」が引かれてしまう瞬間というのを面白おかしく描いています。ただあくまで「(笑)」な感じで、そうやって買わせようと苦心している商売側と、ついつい買ってしまう購入者側を批判している訳ではなくて、そういう資本主義社会の諸々の風景をトータルで「こういうことあるよね」と面白おかしくコメディにしている感じ。

 畑先生はメタな風刺をするバランス感覚が絶妙でいいと思う。ちょっと舵を切り間違えると「嘲笑ニーズ」に訴えかける色々と禍根を残すネタになっちゃうんだけど、温かく「(笑)」で笑える範囲で上手く調整しています。オタク界隈の文化がよくネタになる『ハヤテ』ですが、畑先生は商業主義と結びついたお金お金したオタク文化もトータルで許容して笑い話にしてる感じがする。お金つぎ込んでもハッピーになれるならいいじゃん。騙し騙されだとしても、大人が本気で騙しにきてるなら、DVD-BOX発売したあとにBlue-ray-boxが発売されて、買っちゃってもいいじゃん。高画質で観てハッピーになれたら、笑顔で騙されてる気がしても、だが、これでいい!じゃん、くらいの諦観ではない達観を感じる。これ、『アニメ店長』をはじめ島本和彦のオタク文化を扱った漫画にも感じるのですが、サンデー漫画の系譜の文化だったりするのかな。

 商業主義的な「カチッ・サー」からはじまっても、最終的にはオタク同士で充実したアニメ観賞の時間を過ごせているという風景で引きというのは、なんかとてもイイ話な気がする。

 そして、こういったお話が、メタにセルフ言及になっていて、アニメ二期合わせでばりばり商業展開している『ハヤテのごとく』にもかかっているという(笑)。どんなにOVAなんて商売商売して!とか言っても、釘宮病の人はナギの新作ボイスとか聴いたら、やっぱり買っちゃうんだよ!

ハヤテのごとく! 18 (18) (少年サンデーコミックス)
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