- ブログネタ:
- 今週の週刊少年ジャンプ に参加中!
今話で、サイ(イレブン)が「本当の自分」に迫っていく所のイメージ映像が、「リンゴ」なのは、文学者広津和郎の逸話から、と一応元ネタを指摘してネウロファンの間で共有したい感じ。
僕のWEB小説でも元ネタにしたことがあり、その部分が説明として一番分かりやすいんで、自分引用をば↓
------------------------
「その昔、広津和郎という文学者がね、リンゴの皮を剥くようにして『本当の自分』を捜してみたんだ。『自分』という存在を様々な部分、素性に分けて、自分の中のこの部分は『本当の自分』じゃない、この部分も『本当の自分』ではないというようにチェックしながらね……、薄皮を少しづつ剥ぐようにして『本当の自分』を探し続けた。あたかも、リンゴの皮を剥いで、実をそいでいけば最後にリンゴの芯が残るんじゃないかという希望を持つかのように、最後に『本当の自分』が残るんじゃないかという希望を持ってね……」
僕は理子に支えられたままその話に耳を傾ける。
「だけどね、結局、広津和郎の試みは失敗に終わってしまったんだ。リンゴの芯が残るようにはいかなかった。全ての『自分』候補をチェックし終えた時、そこには『本当の自分』なんてものは何も残らなかったんだ」
(夢守教会一話より)
------------------------
僕はこの話を大学(学部の方)の卒業式の日に好きだった文学系の先生からはなむけに送られたのだけど、その先生がこの逸話の最後に付け加えたのは、だからこそ、本当の自分なんて見つからないからこそ、
「本当の自分」とは、見つけるものではなく、ある時点で自分自身で「決める」ものではないのか。
という言葉だった。
今まで送られた言葉のうち、一生モノで胸に残り続けているものの一つ。
究極の自分探しキャラだった『魔人探偵脳噛ネウロ』のサイ。その物語もいよいよ幕に至る所まで来た訳ですが、今話時点で、最後に、自分というリンゴの芯の部分には、i(アイ)がいた(ここだけでも泣けるのだけど)。
だけど、本当の最後の最後に「自分」というものを決めるのは、自分。自分自身。サイが自分で決めた自分が、なんであれ、本当のサイ(あるいはイレブンかもしれない)。
松井先生なら、こう物語を決着させてくれるのではないかと信じています。
→前回:魔人探偵脳噛ネウロ・第184話 結【むすびつき】の感想へ