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 アニメ「とある科学の超電磁砲」、第24話(最終回)のネタバレ感想です。
 バンダイチャンネルでのちょい送れWEB視聴分になっております。
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 「黒子!」

 「お姉様!」

 最終回ここが一番感動したな。

 ラスボスさんの見解からすれば、「御坂美琴」は全ての情報がバンクに曝されているデータなんだから、データを全部解析すれば勝てる。御坂美琴個人なんてものは存在しないって感じなんだけど、「超電磁砲はコイン以外でも可能」というバンクにもない情報を(ラスボスさん驚いていたので)、美琴は黒子には教えていたし、黒子もその秘匿を守ってきた……なんてことを思うとだいぶジンとくる。黒子のお姉様大好きネタは全体的にコメディ調だったんですが、本当にファッションじゃなくて黒子は御坂美琴人間個人を大切に想っているんだ。だからバンクにデータとして無機的に全分解されてしまう前の、御坂美琴人間個人の秘匿を共有していたんだというのが伝わってくる。本気で大切だからこそ、御坂美琴をデータに分解されてしまうのを、白井黒子は拒否している。『禁書目録』の方も踏まえると、自分の存在がデータとして複製され過ぎてアイデンティティクライシスが生じているというのは美琴の大問題なんだけど、やっぱり黒子がその辺りの人間御坂美琴個人のアイデンティティを守ってたりするんだな、と。

 テレスティーナの「お前はデータ」「(人間じゃなくて)レベル5」という糾弾は、美琴は表面上は顔色を変えないけれど、実はかなりSensitiveに美琴に突き刺さっているはずなんですよ。だけど根っこで動じずにいられるのは、いいもん、データに全分解される前の本当の私を、黒子は知ってくれているもん、という心情がおそらくあるからで、それを表現していたシーンだったんだろうな、と。

 そういう心情が根っこにあるからなのか、美琴も全幅の信頼を黒子に寄せているのが熱い。危機的状況でお互いを呼ぶだけで、全て察してコンビネーションを決められるのが凄い。もはや愛だな、これは。「システムVS人間」の構図を序盤から押してきたアニメ「超電磁砲」だったんですが、システムの権化みたいなラスボス巨大ロボを破ったのは、データでは予測不能の美琴と黒子のアナログで人間的な関係性。アナログなスキンシップという意味で、第1話の裸で乳揉まれるの図とかまで伏線だったとは!(エー)

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 そしてラストは、データを全解析して準備したはずのラスボスさんのシステム的トラップが、レベル0の佐天さんのバット一発で崩壊するという爽快な展開。なんか複雑化し過ぎて訳分からなくなっている「システム」だけど、原始的でアナログな人間のバット一発で、勝てることもある。「能力無効化」はそもそも能力が無い者には効かないので、結局能力が無いことも能力になり得る、という解答は上手かった。

 またこのシーンも美琴への救済措置になっている。最初はPCに向かってデータと格闘してたんだけど、あんまりテレスティーナが美琴のことをデータだ、モルモットだと言うので、佐天さんブチ切れ。私の友だちを勝手にデータに分解すんな、と。美琴をデータ呼ばわりするシステムを経由するのを捨てて(キーボードから離れる)、バット一閃。カッコいい。

 そこから繋がる最終戦が、「オリジナルな人間個人としての御坂美琴の超電磁砲VSデータ解析で複製した強化超電磁砲」というのも熱い。

 最後までお前はデータでシステムの一部で、モルモットだ、人間御坂美琴ではなく、「エレクトロマスター」だ、「レベル5」だと言い続けるテレスティーナに対して、あんまり自己主張しない美琴が「私」に言及した所で初代主題歌「only my railgun」が流れ始めるというのが神演出だった。そうか、この主題歌、「only」が重要だったのか。

 複製化されたデータを解析して作られた、データとしての御坂美琴を象徴するかのような複製強化超電磁砲を、仲間の文脈を乗せた、本当の御坂美琴、人間個人、オリジナルとしての御坂美琴のアイデンティティとしての超電磁砲が正面から撃ち破るという終劇。熱すぎた。

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 そんな感じで、最終回は個人的には美琴×黒子推し。百合カプに目覚めそうになるくらい(えー)、この信頼関係は良かった。能力的には優れる美琴が抱えるアイデンティティクライシスに対して、コメディ調で接しながら、黒子がそっと守人になっているという関係が、とてもイイ。

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→前回:第8話〜第12話の感想へ
→次回:とある科学の超電磁砲OVAの感想へ
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