『ネギま!』の赤松健先生が、電子漫画の新ビジネスをスタート。
 これは凄い。
 ◇◇◇

 纏まってる記事だと、「ねとらぼ」の

「ラブひな」全巻無料公開へ 赤松健氏、ネット漫画の新ビジネスに挑戦

 とか、あとはもちろん赤松先生本人のこの「Jコミ」用ブログ、

(株)Jコミの中の人

 そして開始された赤松先生ご本人のTwitterですか。

 まずこの手の企画(ビジネス)、思いついてもその媒体に初期に集客できるだけのコンテンツ(いわば目玉商品)が準備できなくて半分以上は消えていくんですが、初動から1200万部越えで売れた『ラブひな』全巻無料公開を投入しますが、何か? あ、作者は私なんですけど。みたいなのがカッコいい。

 発想はアドワーズとかオーバーチュアからはじめ、最近発表されたアップルのiAdタイプの広告モデルなんだけど、漫画に特化(なまじ電子書籍という曖昧に範囲が広い表現を使うより絶対イイ)、ニコニコ動画やYouTube的発想もプラスというのが、本当感心しました。僕も電子書籍の話が話題になりだしてから色んなモデルを密かに考えてたんだけど、これは思いつかなかった。広告を出す側の視点からも、例えば「温泉が劇中に出てくる漫画に温泉旅行サービスの広告が出せる」というのは面白い。

 また、ちゃんと『ラブひな』で最初にベータ版をやってみて、広告として機能するかデータ取ってから本格的に始めるという慎重さもイイ。ブログを見ると、凄まじく色々な可能性を考慮した上で、ベストとは言わないが現時点で最適じゃない? くらいに提案してるのもイイ。『ネギま!』劇中にも、理論上は完璧を心がけるけど、想定外のことは絶対起こる、色んな制約の中で、手持ちのコマで最適解を追求していくしかないみたいな話が出てくるけど、この人リアル『ネギま!』ですよ。

 電子書籍の話題が出だしてからの、日本のコンテンツの既得権益保護方向への舵きりみたいなのには、本当個人的にガッカリしていた所で、現時点では僕も日本がどうこうよりも電子漫画を売りたい人はアップルでデベロッパー登録してAppStoreで売るしかないかなと思ってたんですが、一つ欠点がありました。

 アップルの審査だと、日本のマンガの標準的な暴力表現やえろ表現がNGになってしまうこと。で、だけど今回の赤松氏のJコミ、以下ブログより引用、↓

 ちょっとくらいオッパイ見えてたからって、いいじゃないですか。

 別に成人向けマンガじゃなくて、一般商業誌に載っている作品なんですよ!

 ・・・これって、ちょっと「文化とか価値観に対する侵略」っぽくないですか?!(笑)

 カッコいい。ぐっと日本のマンガ向けに考慮しています。僕もこの前の講座で、ちょうど「広告を海外企業のサービス(グーグルとかアップルとかアマゾンとかFacebookとかね)に頼りすぎると、企業側の判断に支配されてしまう側面がある」という話をしたばかりでした。

 これも『ネギま!』劇中的には、不測の事態は絶対起こってくるんですが(不測の事態が起こらないビジネスは絶対にないので。あと万人から支持されるビジネスも)、何か、何とかなりそうな気にさせてくれる初期の情報公開でした。

 是非是非、

1.『ラブひな』全話公開によるベータ版の成功
 ↓
2.「絶版漫画」を中心とした本サービスの成功
 ↓
3.既存の商業漫画家の中にも、出版社との契約が切れた後にJコミで活動する人が増える
 ↓
4.個人やサークルなどのオリジナル作品にも対応
 ↓
5.著作権保持者が認めた場合の二次創作作品にも対応

 まで行って欲しい。

 本当凄いな。「新しい公共」とか、議論がじゅんぐりしていたり適当に利用されていたりでもう論をあんまり追ってなかったりですが、今まで公でやっていた共通のインフラ作りなんかを、民間主体で新しくみんなで共有できるサービスを掘り起こしていく形にしていくっていうのを定義にするなら、こういうのが「新しい公共」なんじゃないのだろうか。

 「図書館」という公共っぽいイメージのコピーのネーミングもイイ。常に流行は取り入れる的スタンスの赤松先生。意識したかはともかく、このビジネスも流行の社会起業家的発想が結構入っている。

 広告サービスが本当に機能すれば、漫画が海外でも読まれてる昨今なので、(漫画を創るという)想像力を頼りに経済的価値を生み出すことにさえなる。漫画家はじまったな、どころか、『ラブひな』が日本を救うかもしれない(^_^;

 DRMフリーの英断とのことなので、11月26日に『ラブひな(広告アリ)』全巻が公開されたら、僕もiPadに全巻取り込んで読み始められるということです(PDFなので、i文庫HD辺りにずらっと『ラブひな』が並ぶ感じ)。

 『ラブひな』はもちろん紙の書籍でも買ったけど、自分で裁断とかしてでも(いわゆる電子書籍の「自炊」ね)iPadに取り込んでも良いなと思ってた作品なので、嬉しい。26日になったらさっそく取り込んで見る予定。

 『ラブひな』は面白いよ! 今回初めて読む人も多いかもだからネタバレしないでおくけど。

 や、やっぱ反転で少しだけ。

一回落ちてからもう一度受験しようと立ち上がるまで辺りの話がイイよね

 僕はよくクライアントの方に、転換期には、1.市場を創る人、2.市場を利用する人、3.市場に利用される人、4.市場があったことにも気付かない人……に分かれますよという話をするんですが、まさに転換期(特にメディアの)っぽい発表でした。赤松先生がどれに該当し、僕はどれに、そしてあなたがどれに該当しそうか……。などなど、面白くなってきたのでした。