月刊マガジン掲載分の川原正敏先生の「修羅の門第弐門」第4話のネタバレ感想です。
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 記憶にはないけどケンシン・マエダに敗北した可能性があるので、九十九は「陸奥」の技を使わない、ということで。だけどそれでも自分は「陸奥九十九」なんだと。矛盾してるようだけど、何となく、今更「陸奥」以外で生きられるかみたいなニュアンスを感じ取ると、結構九十九の内面の揺れは分かる。

 これは、近年の、特に一、二年前に盛り上がった創作作品の作風だと、『陸奥』のような歴史の文脈が無くなってしまっても、九十九個人でいいじゃない。「ただの九十九」であるあなたも本物じゃない……という所に落としどころを持っていきそうだけど、なんか、『修羅の門』ではそれはやらない気がする。

 実際、マッイイッツォが今回、歴史の文脈抜きでも個人で俺は九十九に付いていくと言っているので、作中でもどっちの帰結になるのかシーソーゲームしてる状態ではあるんですが、今回のキーアイテムは黒帯。

 エラく第弐門は舞子にスポットが当たっていますが、これはお母さんの帯は『陸奥』の歴史的文脈を、舞子の帯は九十九個人をそれぞれ象徴するキーアイテムなのだと思います。で、現在お母さんの帯の方は舞子が持っている。

 たぶん何らかの形で舞子から九十九はもう一度『陸奥』の文脈を受け取るんじゃないかと一応予想しておきます。第壱門でも出て来た話ですが、『陸奥』の文脈とは、技だけではなく、それを越えた「何か」という描き方をしているので。

修羅の門(1) (講談社漫画文庫)
修羅の門(1) (講談社漫画文庫)

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