アニメアイドルマスター(公式サイト)の感想です。
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 千早にノックアウトされました(挨拶)。


●第2話「“準備”をはじめた少女たち」

 「選材」なる写真を撮りなおすというイベントを通して、キャラクターを掘り下げたであろう回。

 あずささんの巨乳力と、美希の天才性が気になった回でした。まだ始まったばかりだけど、この二人はかなり最初から"持ってる"人として描かれている印象、で、真逆なのが後述する千早。市場で求められるものを、デフォルトで持っている人間がいる。では持ってない人間はどうすればいいのか、というような話。

 とりあえず今回は伊織。家がよい所なので、上の文脈で一般的な価値観で価値あるもの(裕福な家庭など)は持ってた人なんだけど、アイドルという戦場での市場価値はさらさらない。

 じゃあどうするのか、という所で、結論はオリジナリティ勝負。表面的な市場価値に迎合したパッドやメイクを、一撃で似合ってないと喝破する美希さんマジ天才系。そして普段は寝てるという。いるよね、こういう人……。

 伊織が見出したオリジナリティが、ずっと持っているウサギのぬいぐるみ、というのもなんだか深い。家にいた頃から持ってたアイテムってことなんだよな。お家的な価値観から脱却して独力を求めてアイドル業志してるんだけど、オリジナリティはお家的な世界から繋がっているぬいぐるみ。この子も、家に何かあるのか。全体的に、みんなそれぞれ事情がありながら、うやむやなうちに過酷なアイドル市場で生存をはかろうともがいてる感が良いアニメです。第二話からして、選材っていう、如何にして自分を売り込むかっていう話だし。


●第3話「すべては一歩の勇気から」

 こっちも「持ってない人」系最右翼の雪歩さんのお話。巨乳とか天才性とかのプラス要素所じゃない。男が苦手、犬が苦手、とマイナスからのスタートです。いや、そういう要素が逆転に転じ得るのがアイドル市場の面白い所だと思いますが。一昔前に流行った「貧乳はステータス」っていう言葉、深いよね。

 プロデューサーさんのトークで意外とあっさり最初の一歩を踏み出せたのはシンプルな感じだったのですが、この話数で彼女ら、765プロは「協調、協力型」チームなのだというのを描写しておく必要があったのだと思いました。これも、後述する千早物語と縁が深い要素。

 ギンギンと市場価値を追求して、競争の上にトップアイドルになるのを目指すだけでいいのか的要素が最初からあります。だから、この回では雪歩をサポートする春香と真がとても重要なキャラクター。


●第4話「自分を変えるということ」

 久々にアニメでノックアウトされた1話。千早は、やばい。久々に何かに出会ってしまったかもしれない。冬は千早本とか作ってるかもしれない。

 上記の持ってるもの、持ってないもの問題。協調、チームというテーマ。両方が何やら鋭いエッジで描かれていた1話でした。

 もう、「持ってない」千早が仲間との「協調」で救われる話……でもイイはずなのに、Bパートラストで千早が仲間達と打ち上げのスイーツを食べに行くのを辞退してからエンディングまでの流れが凄い。

 仲間のため、市場価値のためなら、協調しプロ的な営業スマイルでバラエティもこなすべきなはず。だけど、それでは苦しくて楽屋を抜け出して独りこっそり歌わないと自分を保てないのが千早さん。

 ラストの絆創膏が貼られた傷だらけの手は、千早の傷だらけの心情の比喩だと思うんですが、協調したり、市場価値に適応したりすることの価値も分かっている。だけど、まだそっちに行ってはダメで孤高を保たないといけない何かを千早さんは抱えている。傷だけじゃなくて、絆創膏の比喩が上手い。仲間も、そんな千早さんのあり方を尊重してくれる、その優しさがありがたいけど、また辛くもある。

 そこから映像だけで見せるエンディングまでが、何かビンビンと来るものがありました。前半に料理下手設定を描いた箇所がある訳ですが、千早、何かコンビニ袋みたいなの持ってるなと思ったら、中身がヴォルヴィックとカロリーメイトなんですよ。そんなで、何やら家庭の事情で独り暮らし。突破口は、「歌」にかける能力突破しかない、というような感じ。この子は気になる。色々なものを数枚のカットと歌で表現しているエンディングは本当繰り返し観てしまったのでした。


●第5話「みんなとすごす夏休み」

 この辺りから明確に作品のテーマ性に気付き始めました。こ、これただの萌えアイドルアニメでいいや的に作ってるんではないんだな……。

 言うなれば、市場価値を追った上昇志向の是非、みたいな感じ。

 アイドルなんだから、どんどん市場価値追って上昇しなきゃって感じなんですが、それだけではダメなのかもしれない、という辺りを背後にかなり描いています。

 ラストの、トップアイドルになるという夢語りをしつつ、同時にトップアイドルになれば、もうみんなで一緒に過ごす夏休みなんかはあり得ないだろう、という語りが良い。一時の寝る前の会話から、会話を終えてそれぞれが布団の中でそれぞれの想いを馳せてる的なラストシーンも好き。最後の会話に起きてるのに千早が混ざらないのは、やっぱり協調から一歩身を引いてる自分に自覚的だからなんだろうな。

 トップアイドルを目指して、夢を追うのが正しいはず、なんだけど、競争に特化した夢追いは、共同体や協調、人と人とのアナログな繋がりの崩壊が裏につきまとう。現に、何やら共同体から切断されて独りで暮らしている千早がいる訳で……。

 俄然面白くなってきました。

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