年末ということでその年ふれた作品のベスト記事。今回はアニメ編です。
 順位には基本そんなに意味がないんですが(気分で変動する程度)、上位ベスト3は不動かな。
 それと、記事中のコメントに作品のネタバレが結構入りますのでその点はご了承下さい。
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第十位:『夢喰いメリー』

夢喰いメリー 1 【初回限定豪華4大特典付き】 [Blu-ray]
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 まだ絵を描く余裕があった頃に、主人公のメリーのデザインとかイイな、エンタメだな、とか思って惹かれていた作品。あと主題歌が個人的に今年を通して何気にヘビーリピートだったので印象度高し。

 作品内容も、思春期に一度はハマりそうな夢と現実の境界ネタをアニメという媒体をフルに使って(映像表現関係中心)表現していて好感度が高かったです。


第九位:『フラクタル』

フラクタル第1巻Blu-ray【初回限定生産版】
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 僕ももう超個人主義とかには疲れ気味だよポイズン、みたいな状態だったので、全体に漂うメッセージには共感して視聴していた作品。ただ3.11以降に作り手もこれを作ったかと言ったら、作らなかったのではないかと想像する、企画自体は去年の作品だなというのが現在の年末の印象。ドッペルと生身の身体の対比も、3.11以降はガチで生身で瓦礫を片付けないといけなくなってしまった。年末になって振り返ると、まだ去年の今頃は作ってた人たちも、批評してた人たちも余裕あったのかもな、とか思ってしまう。

 作品自体は好き。特に第二話の「自分が孤独だと気付いてしまうシーン」は芯に迫るものがあって良かった。あそこが秀逸だったので、後半のつらいけど生身や他人を求める、という展開も僕はハマれましたよ。


第八位:『IS<インフィニット・ストラトス>』

IS <インフィニット・ストラトス> 第1巻 [Blu-ray]
IS <インフィニット・ストラトス> 第1巻 [Blu-ray]

 実は同人誌買ったりするくらい好きだった作品。ただ、3.11以降文字通り「萌えアニメとか見てる場合じゃない」状態になってしまい、後半は未視聴のまま。

 そして、萌えアニメ見てる場合じゃない的状況は来年も続きそうなんだけど、それでもこういう美少女ハーレムアニメ! みたいな灯も消えてほしくなくて応援継続中。セシリアさん派でした。日常を取り戻し、まだ見ぬ水着回をBlu-ray買って視聴するのが当面の目標。


第七位:『魔法少女まどか☆マギカ』

魔法少女まどか☆マギカ 1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]
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 今年生まれた後々まで語り継がれるであろう伝説のアニメ。ただ七位と世間の盛り上がりほど個人的評価が高くないのは、個人的に第二話時点で作品のSFギミック(ほむらがループしてるという箇所など)にほぼ気づいてしまっていて、そしてほぼその通りに進行する話だったから。個人体験としての『ひぐらしのなく頃に』とかのファーストショックよりは相対的に、「ああこれ系か」感のまま最後までいってしまった。逆に言えば、これ系のギミックやストーリー初体験の視聴者さんは眩暈がするほどハマれたと思う。

 さやかが好きだったけど、面白かったのは圧倒的にほむほむ。さやかと杏子が争ってるところに上から落下してくるシーンとか、彼女の能力を知ってから想像すると妙に面白い。


第六位:『アニメアイドルマスター』

アイドルマスター 1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]
アイドルマスター 1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]

 地方遅れ視聴ゆえまだ最終回を見てないのですが、全体の一つの収斂回である千早回(第二十話)までは視聴済み。単純なキャラクターアニメじゃなくて、脚本のシリーズ構成もしっかりしていてかつテーマもあって良かった。

 上昇志向でトップアイドルを目指せば、その分共同体は壊れてしまうんじゃないか? 問題を早めに提示しておいて、個別のキャラクター回を重ねながら、縦軸に共同体崩壊の犠牲者ポジションである千早の話を織り込んでいるのは本当上手い。

 「アイドルに勇気を貰う」はもはや現実でも無視できない現象ですが(WSJにAKB48が日本の経済で無視できないみたいな記事まで出るご時世)、本当上昇志向と共同体維持を両立するためにすさまじい熱量で頑張る彼女たち(こっちはアニメだけど)の姿には勇気づけられるものがありました。

 MVPは春香さん。勉強にアイドル業にと上昇ベクトルでも尋常じゃなく頑張りつつ、千早がピンチの時にはそっちにもただごとじゃないリソースをさいて手を差し伸べてくれる。結果本人超大変なんだけど、笑顔。かくありたい、という勢い。


第五位:『STARDRIVER 輝きのタクト』

STAR DRIVER<スタードライバー>輝きのタクト 1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]
STAR DRIVER<スタードライバー>輝きのタクト 1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]

 最終回のラスト5分がとにかく好き。もともと個人的に「予想外の展開」に弱いんですが、ラスト5分でそれまでの視聴態度の上をいってくれた愛しい作品。5分前の無難の結末までを個人的に予想していたんだけど、そこからラスト5分でさらにそれを覆してくれた。タクトは男キャラじゃ今年のベストかな。

 あのラスト5分のノリを忘れないでいる大人でいたい。やっぱヘッドになっちゃうよりは、タクト力保ったままの大人を目指す方向で。


第四位:『映画けいおん!』

映画「けいおん!」劇中歌アルバム放課後ティータイム in MOVIE
映画「けいおん!」劇中歌アルバム放課後ティータイム in MOVIE

 これは最高だった。

 なんか、さらっとけいおん!論壇?的評論とかしてる人のテキストを読むと、すぐ日常系がどうとか、努力とか起伏がなくてどうとかいう文章を目にしてしまうんだけど、僕の感想記事ではずっと書いてる通り、共同体を外に広げていく(そのために境界(例えば部室の中と外)を無効化していく)というのが核の作品だとずっと思ってるのですが。

 その観点からはまさに境界の向こう側(外国)を舞台にそれまでのTVシリーズのエッセンスが炸裂する素晴らしい作品でした。

 そして、そのため(共同体を広げたり、境界を越えていくには)に必要なのはもはや自己拡大的な努力じゃない、日常や世界に輝きを見つけていくことだって言ってる作品。現実のグローバリズムや競争に覆われそうな世界において、志々雄真実における緋村剣心みたいな価値観。綺麗ごと的だけど、カッコいい価値観。『けいおん!』は引き続き応援していきたい。戦うなら、逆刃刀で闘いたい。


第三位:『Fate/Zeroファーストシーズン』

『Fate/Zero』 Blu-ray Disc Box
『Fate/Zero』 Blu-ray Disc Box

 とにかく凄かった。美術的に凄いのはそんなに異論がある人も少ないであろう、劇場クオリティーを毎週的作品だったので、そっち方面の感想は割愛。

 個人的ベスト回は第十話。幼凛様VS龍之介超燃えた。幼女でも黄金の精神。

 価値観に影響を受けたレベルでの作品「stay/night」が前提になるのでそれを忘れた感想は個人的に難しいのですが、「stay/night」も含めて一番解答に近い登場人物を一人だけあげるなら凛様だと思ってる。だから、青子から始まる奈須きのこ作品の原点イメージのヒロインの系譜が凛様に収斂されてるんだとも勝手に思ってる。

 第十一話の問答とか、「stay/night」力も高いわけですが、やっぱり「stay/night」の凛様のあり方を追わないと、あの議論の核心の話は語れないと思うのでした。

 セイバーさんは自己犠牲の他者救済だという、イスカンダルは自己のビジョンを追えば他者はついてくるという。じゃあ凛様はってあたり、やっぱり「Zero」から入った人には「stay/night」も時間あったらやってみてほしい感じ。


第二位:『輪るピングドラム』

輪るピングドラム 1(期間限定版) [Blu-ray]
輪るピングドラム 1(期間限定版) [Blu-ray]

 生存の原則は利己的で、弱者は退場して強者が進めていく世界、システム。そういうのを前提に、世界とかシステムから排斥される側の登場人物たちに焦点があたった物語。超好きだった。

 「選んでくれてありがとう」。逆に言えば、選ばれなかった側は退場するという世界システムにあたって排斥される側、弱者側はどうするのか(生存戦略)と、求道者のように哲学していた作品(エンタメとしても面白かったけど)。

 最終回の解答にあたる「一つのリンゴをどうするか問題」は澁澤龍彦の評論なんかでも書かれている結構古くから論じられているトピックなんだけど(実は最終回ほど綺麗にはいかない視点が多々ある)、作品として一つの側面を切り取って解答っぽくしていたのはよかった。

 そして、そこからさらに先を見せてくれたことも。ラストの「選ばれなかった側の世界に行って消えたはずの冠葉と晶馬が関係性が変わりながらも存在しているあたり」は、まさに「輪る」感じで、初期の感想に書いていた通り、リンゴとかの一神教的な世界観に、仏教的循環的世界観を持ち込んでいた部分だと思う。堪能しました。自分なんかが想像に及ばない領域で作品作りをしてくれているとやけに安心するような、とにかく「凄い」作品でした。


第一位:『スイートプリキュア♪』

スイートプリキュア♪ 【Blu-ray】 Vol.1
スイートプリキュア♪ 【Blu-ray】 Vol.1

 第一話の「思い出のレコードを守るために変身」のシーンでなんだかじんわり来ていたのですが、徐々にその意味が明らかになってくるにつれて、深い部分で今年もっとも浸れた作品。

 前提として、今では価値観も多様になりすぎたし、放映中には震災もおこったしで、僕らはみんなもう断絶していてバラバラだ、という所をシビアに淡々と描いている作品。詰んでる。無理っぽい。

 ただ、少しだけ昔、一緒に同じ音楽を聴いていた(共有体験=思い出のレコード)という事実が、微かにだけど、断絶している僕たちにパスを作る。バラバラになったそれぞれの音楽が、もう一度新しい形で「組曲(Suite)」できたなら、という願いの話。

 大きい流れが安易な懐古主義や表面的な連帯賛歌に流れがちな中で、個人的には今年一番核心的なことをやっていたと思う作品。一つの解答が描かれる劇場版はマジ泣きしてしまった。

 また、今年は主人公の響さんのヒーロー度が半端ない。物語冒頭では孤独でぼっち感半端ないんですが、自分はそうとして、他人の共同体の温かさ、大事さは尊いと分かるから、それは守りたい……とかまじヒーローでした。プリキュア感想界隈で勝手に流行った「自分のビート」も今年の私的流行語大賞。何が正しいかもよく分からないし、状況は常に逆境。だったら、羅針盤は自分のビート。まだ自分の音楽は鳴っている。みたいな。


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 今年は常にアニメなんか見てる場合じゃない感がつきまとい、実際例年よりも数は見てない方なんですが、一方でアニメとか娯楽とか、もっと言えば文化的な営みが消えてしまってはそれこそ終わりだよなと、逆に意識して見てたくらいの勢いでした。

 今年ほど消費感覚は希薄で、本当に楽しみだったり勇気貰ったよ的に見た年も初めてかもしれません。覚悟完了で作り続けてくれたクリエイターの皆さんにはマジで感謝をば。