アニメアイドルマスター(公式サイト)、最終回「みんなと、いっしょに!」の感想です。(BS-TBSで地方遅れ視聴中。)
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 序盤の海回での夜の会話のシーンから仕込まれていた、「上昇志向でトップアイドルを目指せばみんなバラバラになって共同体は壊れるだろう」問題、ラスト三話で作品なりに解答を提示していたのが好感でした。

 自己拡大、資本拡大を目指して競争して勝ち抜いてTOPになるのが是、という前提(ルール)に疑問を持つ人も少ない世の中で言いづらそうなことをよく堂々と言ってるなと思ったんですが、この作品の解答、ある種の「上昇志向の条件付き抑制」なんだよな。トップをとる、大いに結構だけど、戻れる場所、帰れる場所、大事な人たちが待っている場所を壊してまでそっちを追うのは何か違うだろ、という本気のメッセージに感じられました。ラスト3とラスト2は印象的に「ただいま」と「おかえり」の台詞が演出として繰り返し何度も使われていました(帰れる場所で交わされる言葉)。作中では765プロがそういう場所のポジションとして描かれてるけど、家族なり伴侶なり、視聴者それぞれにもそういう場所はあるはず。そういうのをぶち壊してまで上昇を追うと、幸せになれないことが多い。能力的にはもっとも上昇できるはずの美希が「このままじゃ迷子になる気がした」と新しい仕事を断り(個人としての上昇の抑制だ)、みんなの共同体保持の方に舵を切る、というこの部分が作品ラストの決断。ラストの事務所の超高層化(高い所に行く)がコメディ調でご破綻になって今まで通りの765プロも保持される流れとイイ、かなり明確に、上昇志向一辺倒じゃダメでしょ、帰れる共同体は守りながらのうえで上目指さないとダメでしょ、そっちの方が本当の高みでしょ、と提示していた。

 文字通り個々人がアトムとして上昇した(個々人のアイドル活動は波にのっていた)ゆえにバラバラになっていったメンバーに苦悩し春香が壊れかけた所で、千早から逆転が始まる展開も熱かった。普通に、古典の「恩返し」の文法。一旦は家族共同体崩壊の犠牲者ポジションで歌えなくなったけど、みんな(共同体)に救って貰った。だったら今度は私がみんなのために何かする番。千早個人的にリアル家族関係がうまくいってなかったゆえに、それでも行動に踏み出せない内面の「揺れ」がかなり丁寧で(千早はそういう子だ、と思わせるだけの20話以上の積み重ねがある)、そしてそんな千早を最後に後押しする入院中のプロデューサー……という流れも見事。包帯グルグルで入院中。上昇からは一番遠くにいる下層人間状態のプロデューサーと、共同体(家族)崩壊の犠牲者の千早さん。上昇志向のみが是という世界なら最弱の二人から、逆転が始まるのが熱い。「ある家族の話です……」から始まる二人の会話のシーンは良かったよ。

 最後はライブシーンにて、二クール目に入った時は「上昇できるようになった」という意味での「チェンジ」だった曲&歌詞が、「共同体も保持しながら上昇も目指す」という新しい意味での「チェンジ」にチェンジしたというのを歌い上げてエンディング。素晴らしい作品だった。日本型の「アイドル」的存在が例えば西欧圏とかイスラム圏にはいないことはわりと有名なんだけど、本当に「アイドル」にこの作品で伝えていたような意味があるなら、胸張って輸出したい。二次元で女の子が歌って踊って、しれっとみんな家族です! とかよく考えると意味分からないんだけど、それがカッコいいよな……。

アイドルマスター 4(完全生産限定版) [Blu-ray]
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THE IDOLM@STER ANIM@TION MASTER 07
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→次回:『アイドルマスターシンデレラガールズ』第1話「Who is in the pumpkin carriage?」の感想へ
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