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かんなぎ 1 (REX COMICS)
かんなぎ 1 (REX COMICS)

 アニメは観てたのですが(ちょうど本日よりBS11で再放送開始ですね)、原作漫画は未読だったので、ざんげちゃん熱に浮かれて第4巻まで読了。
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 1巻の作者様コメントに「ギャグかと思ったらシリアスだった。シリアスかと思ったらギャグだった。そんな漫画を目指して。」とあるように、美少女ギャルゲーフォーマットのコメディでもありながら、アミニズムとかアイデンティティとかを扱ってみたり底の方に深いテーマもある作品。

 ナギ様は神様なんだけど、民衆の信仰心とか薄れた現代なので、自ら偶像化を目指してアイドル活動とかしなきゃいけないのが世知辛い。メイド喫茶で働いてみたり、メディア戦略を駆使したりとガチです。ざんげちゃんはもっとガチなので、この辺りは古き神様たちも資本社会に巻き込まれて大変です。

 そんなコメディ調のストーリーラインから、時々いわゆるアイデンティティ問題について掘り下げた話が少しずつ進んでいきます。主人公の仁の青春の悩み的な方向での「自分が何者か分からない」といった話から、ナギ様に謎のもう一つの人格があったりで、ナギ様自身も、神様でさえ自分が何者なのか分からない、といった話がシンクロしながら描かれていきます。

 個人的によかったのは、中盤のヤマでナギ様が自分が本当に神様なのか揺らいでアイデンティティクライシスして出て行ってしまうのですが、幼い日にナギ様を見ていたという仁の記憶や、戦中戦後の頃にナギ様と関わっていたというおばあさんの存在など、自分以外の他人から同定されることでナギ様の揺らぎが少し収まっていく、という流れ。本当、この辺りは自分の中だけでじゅんぐりじゅんぐり考えていてもどうしようもない。宇多田ヒカルも自分が分からなくなったら他人や外に目を向けてみるとよいと言っていたっ。ある程度真面目予想としては合祀されていたという設定がナギ様のアイデンティティ問題に関わってるのかな。この辺りは一神教世界観とは違う、神様を題材にしても日本風の話という感じがします。

 その流れで、たぶん仁の方のアイデンティティ問題を解決してくれるのは、つぐみの存在。ナギ様クライシスのタイミングで、つぐみはずっと仁を見ていた、という話が入るので。この辺りの、神様的な存在の話と、ただの人間であるつぐみの話なんかが不可分に関わっていく流れが、ああ、神様やら自然やら人間やら混合系の風土的雰囲気だよな、と好きなのでした。アニメの時はざんげちゃん派だったんだけど、改めて漫画読んでみたらつぐみ派になった感じだなー。通常の幼馴染属性的登場人物でありながら、ちゃんとシリアス方面のテーマの深みも背負ってるというのは良い。

 奈須きのこさんの日記で、ざんげちゃんがスーパーな感じになったりするらしいのは聞いているので、今月出る7巻やら、続きが楽しみです。

かんなぎ 1 (REX COMICS)
かんなぎ 1 (REX COMICS)

かんなぎ 2 (REX COMICS)
かんなぎ 2 (REX COMICS)

かんなぎ (3) (REX COMICS)
かんなぎ (3) (REX COMICS)

かんなぎ (4) (REX COMICS)
かんなぎ (4) (REX COMICS)