今週のジャンプに掲載されていた『るろうに剣心』第零幕の感想です。
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 幼少時代にジャンプ掲載の第一幕(正確にはその前の読み切り)で心鷲掴まれてから高校生くらいの時に完結するまでタイムリーに追っていた『るろうに剣心』。最後にジャンプに読み切りの「弥彦の逆刃刀」が掲載された時に、「これで本当に終わり」みたいなコメントがあってエラく喪失感を感じたのを覚えているのですが、あれから幾年年を重ねた今回再び新作が掲載。しばらく生きているとこういうサプライズもあります。

 純粋に、ジャンプに剣心が載ってるのが何か嬉しかったですよ。SQ.のキネマ版では「龍堕閃」になっていたのがちゃんと「龍槌閃」になっていて、正史の前日譚扱いなのも心憎い。

 時代は変革期。社会とか国とかの人間を取り囲んでいる構造はどんどん新しくなっていく中、個人としての実存(剣心のこと)は過去と向き合い続けている……というのは今読んでも普遍性を感じます。今回の話もよかった。決してネガティブなニュアンスじゃなくて、海外の新天地でやり直したら? とヒロインのお医者さんは勧めてくれるんだけど、剣心は断る。人斬りだったことも巴さんのこともこの時点では全然決着がついてないので、「全部忘れて新しい場所で新しい人生始めますっ(キリっ)」なんては言えない。剣心はそういう男だ。

 結局進んでいく時代の中、十字傷に象徴される過去とどう折り合いをつけていくのか、剣心が最後に見つける「真実」は何なのか、まだ読んだことないという若い人とかに、控えめにお勧め。普通に、めちゃくちゃ面白い漫画だと思ってますし。

 「特筆版」がキネマ版+今回の読み切り収録の単行本だとも正式に発表されましたので、これは紙の本で買います。私的経験としてのしみじみとした再会でありました。

るろうに剣心─特筆版─ (ジャンプコミックス)

るろうに剣心全28巻 完結セット (ジャンプ・コミックス)
るろうに剣心全28巻 完結セット (ジャンプ・コミックス)

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『武装錬金』全巻感想