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 アニメ『中二病でも恋がしたい!(公式サイト)』第1話「邂逅の・・・邪王真眼」の感想です。
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 一般的に考えたら、普通に、成長して社会に適応して大人になっていくにあたって、手放さなくてはならない類のものがあって、その象徴として「中二病」が描かれているのだと思いました。物語は、中二病は手放して(普通人として)高校デビューして大人に向かっていこうとする主人公の勇太と、中二病を手放さないまま掲げ続けるヒロインの六花とのシーソーゲームで第一話は進んでいきます。

 中二病を手放して大人になっていく方向にいるヒロインがたぶん森夏さんで、イマドキ美人で、入学式で新入生代表をやってる辺りから学力もある。うん、大人になっていくにあたって、そういう人を目指していきたい。

 という所で、逆方向に大人になっていくにあたって役に立たない「邪王真眼」を掲げる中二病の六花の方に、勇太は捕まってしまう。この「中二病是−中二病は捨てて大人になろう」の対照の中での様々な比喩表現が面白かったです。例えば森花との接触との時は、森花は電車に乗って先に進んで行って、勇太は一本乗り遅れる。うん、大人として社会人になっていくなら、電車に乗り遅れて遅刻のリスクを冒すなんて厳禁だ。「電車を遅らせること」に、大人的な意味はない。

 のだけど、六花につきまとわれてるターンでは、勇太は六花と一緒に電車を一本乗り遅れてしまいます。六花との中二時間を過ごしている間に。まだ、無難に時間管理ができる、電車、通勤・通学に適合した、社会に組み込まれた大人になるのは早い、というように。この時の六花との戯れが、いわゆるコナミコマンドネタ(上上下下〜のやつ)だった辺りも良かったです。大人視聴者としては、児童時間、中二時間の頃の思い出です(=コナミコマンド)。そういうことやってたはずなのに、どうして僕らは時間を気にして通勤電車時間一本の遅れにキリキリするような大人になってしまった、というような。

 メタネタとしては、勇太の声優さんが福山潤さんなのも大きい。邪王真眼の目をつかった設定とか、おそらく中二力全開キャラだった同じく福山さん演じるルルーシュを意識させるように作ってるはずで。勇太が「捨てた」と言いながらダークフレイムマスターの中二パフォーマンスする所の、福山さんの貫録の中二演技が圧巻。リアル視聴者的に、『コードギアス』が放映されてた頃中二だった世代が、中二病を卒業してる頃のご時世です。そういう意味で、あの頃中二的にコードギアスに熱狂した時間は、大人になっていくにあたって意味があるのか? みたいな表現になってると思います。無意味だ、無意味なはずなのに、この福山さんの貫録の演技から感じる真実性は何なのか。

 主人公の勇太の家庭が、いわゆるハーレムギャルゲーシチェーションに表面的に見える作品のわりには、親不在という要素がなく、現実と戦ってる両親がちゃんと描かれているのも好感。団地暮らしで、お母さんには「夜勤」の言葉が出てきますし、公式サイトの設定を見ると、お父さんはジャカルタに単身赴任中です。リアルでも今新興地域としてあげられて日本人が結構行ってる辺りに迫真性があります。子供三人育てる、大人の現実は厳しいんです。そういう背景にも、勇太がいつまでも中二病はやってられない、卒業して大人になっていこうと思うと考える動機があるのだと思います。

 だけど、そんな社会のシステムに組み込まれる大人になっていく一方方向のエスカレータに勇太が半分乗った所で、六花が関わってきてしまう(出会いのシーンは「空から少女が降ってくる」中二病的環境と、でもロープを使ってるという大人的な環境との境界表現と思われます。)。新しい級友と、ご飯でも食べに行った方が、社会化された大人になっていくには良いことなはずなんです。普通の人脈構築大事なんです。という所で、担任の先生に呼び止められて、六花サイドにぐーんと戻されていきます。中二病少女との児童時間です。どこかで、エスカレータには半分しか乗れない感。

 第一話のラストシーンは、雨の中での勇太と六花の「中二病是か否か問答」。勇太は言います。そんなものに何の意味もない、と。正論です。ダークフレイムマスターも中二病的模造剣も、大人になっていくにあたって必要ありません。なのだけど、六花は意味はあるから、「捨てないで」という。ここは個人的にはガチで涙腺にきてしまったのですが。確かに無意味なんだけど、大人になってから振り返る、あの頃、中二病的持て余した想像力に翻弄されて過ごす時間が無意味か? と言われたら、どこかで違うと言いたい気持ちはある。

 結果、勇太は一時の保留措置として、捨てるつもりだった中二病的模造剣を一旦部屋にもう一度しまうことにする。そして「雨が温かかった」の述懐。

 誰にでも(たぶん)ある(あった)、中二病的児童的想像力的時間。いつか終わるものかもしれないけれど、今思えば温かかった、あれはあれでアリだったのかもしれない。そんな、大人として成長していく過程で捨てるものと捨てられないものとのアンビバレント、というけっこう普遍的なテーマを感じる作品。これは、もの凄く面白かったです。

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