新世紀エヴァンゲリオン (13) 【プレミアム限定版】 (カドカワコミックス・エース)
新世紀エヴァンゲリオン (13) 【プレミアム限定版】 (カドカワコミックス・エース)

 昨日発売のコミックス版(貞本義行版)『新世紀エヴァンゲリオン』第13巻の感想です。
 ネタバレありなのでご注意ください。
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 「夏の追憶」の章が反則でありました。僕が記憶している限り、旧劇場版にはなかったパート。

 幼少時の夏の記憶の中、シンジ君は何かお母さんから大事な言葉をもらっていたらしい、という。このボロ泣き感は凄いな。

 「幼少時の夏」シチェーションからして僕ら世代を直撃。どうしても、ちょうど15年くらい前とか、リアルタイムで『エヴァンゲリオン』を追っていた頃の(おそらくは美化された)昔の黄金の記憶を思い出してしまう(ちなみに僕らはリアルタイム時がちょうどシンジ君たちと同じ中学生だったという)。ちくしょー、やっぱり最後の切り札は児童時間に受け取った大切な宝物なのか。

 何しろ90年代に解説本・評論本が跋扈した旧劇場版パートに入っているので、相変わらず完全解釈とかは難しいのですが、これ、改めて読んでみると、碇指令を綾波が拒否したのは分かりやすいとして、その後の展開は綾波が碇指令よりもシンジ君に世界の行く末(サードインパクトとか人類補完計画関係)を委ねたみたいな感じなのかな。これ、ラストは旧劇場版と変えるのかな。

 僕なりの解釈では、旧劇場版のラストは世界の行く末を委ねられてみたものの、シンジ君はアスカと二人の世界くらいしか望めなかったのかな、というものですが、貞本コミックス版は、上記のお母さんとのエピソードがあったり、また最後にミサトさんから色々受け取るシーンをかなり濃密にしてたりと、もう少しシンジ君が(個を持った存在としての)人間を信じられるような要素が入ってる気もするのですよね。

 90年代の記念碑的にあの突き放し感のラスト再びでもいいし、2010年代版にラストを変えてきてでもイイかなぁ。その辺りは作り手を信頼しております。

 他、プレミアム限定版で購入したので、美麗なポストカードなど溜息が出る感じで満足。アートワークスもえらく時代を感じさせるものでした。中学生の頃見た絵で喚起されるノスタルジーももちろん、大学生の頃の絵ですら既にノスタルジーという恐ろしさ。それでも物語自体は強度を維持しながら刊行が続いているという稀有さ。エヴァはやっぱりよいな。新劇場版Qも何とか劇場に観に行く時間取りたいなー。

→第14巻(最終巻)、2014年発売



→Kindle版も同時発売

新世紀エヴァンゲリオン(13) (角川コミックス・エース)
新世紀エヴァンゲリオン(13) (角川コミックス・エース)

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