星界の紋章〈1〉帝国の王女 (ハヤカワ文庫JA)
星界の紋章〈1〉帝国の王女 (ハヤカワ文庫JA)

 森岡浩之先生の星界シリーズの起点、『星界の紋章』の感想となります。

 今月22日に『星界の戦旗5:宿命の調べ』が発売されるのに合わせて、10年くらい前にブログ以前のホームページに掲載していたものを再掲した形ですので、文章の拙さやいつもと雰囲気が違うのはご了承頂けたらと思います。
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<あらすじ>
 平和な惑星マーティンにある日謎の宇宙艦隊が襲来する。侵略者の名はアーヴ、遺伝子改造により宇宙に適応した人類の子孫……彼らの圧倒的な軍事力の前に惑星政府は無条件降伏の道を選ぶが、その決断がマーティンの少年ジント・リンの運命を大きく変えることとなる。数年後、数奇な運命から宇宙史上最も強大な帝国、“アーヴによる人類帝国”の貴族となったジントは、帝都ラクファカールへの旅立ちの日、生まれて初めて本物のアーヴに出会う。どことなく高貴なその翔士修技生の少女の名はアブリアル・ネイ・ドゥブレスク・ベールパリュン・ラフィ―ル。地上世界の少年と宇宙種族の少女は出逢い、やがて大きな戦いへと巻き込まれていく。

<コメント>
 謎の素粒子ユアノン、平面宇宙航行、そして宇宙帝国。SFの魅力満載です。Scienceの部分はあくまで硬派ですこの作品。そしてストーリーの核となるのは“自分の居場所探しの旅”、この辺も古典的ではあります。が、何でこれほどこの作品が魅力的なのかといえば、その旅の背景となる世界設定がどことなく現実社会を踏襲していて、それでいてあくまでSF的なとこなんだと思う。例えば世界設定の一つである作中人造言語であるアーヴ語、文法や文字まで作者のオリジナルという凄まじさなのだが(エスペラント並?)、主人公が自分にとって第二言語であるアーヴ語に戸惑う描写が良く出てくる。これってやっぱ英語に戸惑ってる俺達としては、ついつい共感してしまうわけです。そして重厚な世界観を演出している様々なアーヴ文化に関する描写、その文化にどことなく馴染めていない主人公……このあたり明らかに現代の異文化間接触を念頭においているんだと思います。ジントとラフィールの出逢い編全三巻、久々の“面白い”SFに世間の評価もうなぎ登り、アニメ化もされました。とりあえず読んどいた方がいいんじゃない?

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(2013年の現在のコメント)
 小説の感想コーナー、昔は一緒に<あらすじ>も掲載したりしてたのですね(汗)。

 骨太なSF世界観の中で、少年と少女が出会う、という「構造」の中の(二つの)「実存」感が魅力というのは、今でも僕の星界シリーズの感想です。この文章書いたのは20歳前後くらいでしょうか。この後、続編の『戦旗』シリーズを読み、アニメも視聴し、読本もゲーム(プレステ!)も買い、短編も追ったりと、がっつり星界シリーズにハマっていったのでした。

星界の紋章〈1〉帝国の王女 (ハヤカワ文庫JA)
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星界の紋章〈2〉ささやかな戦い (ハヤカワ文庫JA)
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星界の紋章〈3〉異郷への帰還 (ハヤカワ文庫JA)
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→次回:森岡浩之『星界の戦旗機銑掘戮隆響曚
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