『翠星のガルガンティア(公式サイト)』第2話「始まりの惑星」の感想です。
 ネタバレ注意です。
 ◇◇◇

 第1話Bパートが、レドから見た異文化(の地球のガルガンティアの人々)と、エイミーから見た異文化(のレド)と、視点を交代交代させながら、言語までその度に交換して「異文化接触」を描いていたのですが、今回の第2話もその進展という感じ。

 言語の翻訳も進んで言葉が分かるようになってきた(言葉)、エイミーとレドで、魚も割いて分け合って一緒に食べた(食)。エイミーの弟が言う「話し合って仲良くなればいいのに」という理想的な解法に向かって一歩一歩進んでいくように見えつつ、最後にチェインバーが文字通り海賊を「殲滅」する光景で一旦ひっくり返るのが上手い。良い感じに分かり合えてた気がしたのに、あの人やっぱりなんかヤバい感じだった。その殲滅行為がエイミーたちの心理に与える影響に、レド自身が無自覚な辺りも含めて、「話せば分かる」というお題目、綺麗事を一旦ひっくり返してる感じ。

 上手いと思うのは、言葉と食はともかく、「歴史」をレドとエイミー(やガルガンティアの人達)とでまだ共有できてないように描いてる点。これはやっぱり大きい。レドからすれば地球は氷になって死滅した惑星であり、人類は宇宙怪物と殲滅戦をやっているのが「歴史」、エイミーやガルガンティアの人々からしたら、地球は氷から復活して、船団単位で共同体を形成して生き延びているのが「歴史」。レドの背景にしてる歴史の延長戦上に人間ではない機械のチェインバーがあり(ある意味人間の価値が下がった感じ。それが、人間を容易に殲滅してしまえるレドの感覚に繋がっている)、エイミーたちが背景にしている歴史の延長戦上には人間同士が助け合って交換していく共同体がある(人間が必要)。認識している歴史が異なり、そこから繋がるお互いが世界観として背景に持っている文化が違う。だから解り合うのはとても難しい。異文化接触要素は日本製アニメには色々な形で盛り込まれる定番要素になってるとも思いますが、今作は中々広い射程でその話を盛り込んでいて面白いです。

翠星のガルガンティア Blu-ray BOX 1
翠星のガルガンティア Blu-ray BOX 1 [Blu-ray]

この世界は僕らを待っていた
この世界は僕らを待っていた [CD]

→前回:『翠星のガルガンティア』第1話「漂流者」の感想へ
→次回:『翠星のガルガンティア』第3話「無頼の女帝」の感想へ
『翠星のガルガンティア』感想の目次へ