本日発売の週刊少年マガジンから新連載の、赤松健先生の『UQ HOLDER!』(ユーキューホルダー)、第1話の感想です。
 ネタバレ注意です。
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 ガチの『魔法先生ネギま!』世界観の続編。面白すぎてつらい。

 主人公の名が近衛刀太で、お祖父ちゃんのお墓のシーンでは墓標にネギ・スプリングフィールドの名が。さっそくネギと結婚したのは木乃香で、刀太は子孫? という仮説が一つ可能だけど、赤松先生がそんなシンプルな話にするとも思えないし。

 冒頭のカラー漫画の部分。悠久を生きるエヴァンジェリンの、『ネギま!』3-Aメンバーとの楽しかった一時。そして別れ。やがて対象に興味を無くしていく、年月という流れ……というくだりは切ない。どうしても現実世界のことも思い起こしてしまいます。今や古き良きゼロ年代の想い出になりつつある『ネギま!』という作品、毎週ネギま!感想書いてたブロガーさん達とか、もうほとんど残ってないと思うのですよ(そもそもブログが個人メディアとしての隆盛を終えた感がある)。共に「ネギと結婚するのは古菲説」とかやってたシータさんも数年(ネット上で)音信不通になり、この前久々にお会いしたら「艦これ」やってましたから。ああ、大量消費文明の中の、コンテンツ大量消費時代。全てはやがて移ろいゆき、人の興味も移っていく。

 だからこそ、UQ(悠久)を題材に扱うというのは熱い。次から次へと進みゆく大量消費の中で、辿り着いたのが虚無感、ニヒリズムでは、何か寂しい。第1話でフライングで考えるなら、そういうものを超え得る、悠久的な価値あるもの、虚無感とは違う何かの求道、あるいはその方法論などはあるまいか、というような話を描こうというのではなかろーか。

 ゆえに、『ネギま!』3-A組とエヴァンジェリンとの別れが描かれているコマで、ポツポツと「あいつ死んでないだろ」的なキャラは映ってないのが熱い。フライング考察だけど、やっぱりこのコマに映ってないキャラはまだ普通に生きていて、『UQ HOLDER!』で出てくるとは思えまいか。ネギ自体が不老不死設定なのですが、龍宮とかザジとか茶々丸とか超とか、人間じゃない系というか、不老不死系、UQ(悠久)HOLDER(保持者)系が、不自然なくらいに映っていない。

 第1話はある意味前作の否定要素を念頭に置いた、前作と今作のシーソーゲームで、『ネギま!』のメッセージでもあった「わずかな勇気が本当の魔法」が、綺麗事だ、ということも描かれる。踏み出さずに田舎にいる選択をする正しさ。わずかな勇気で踏み出してみて、成功する者もいれば一撃で破綻する者もいるという厳しい現実。ある種の、『ネギま!』なことをしない正義。でも、そういうものを淡々と語る大人の敵キャラを、とりあえず第1話では刀太がブっとばして物語の始まり。でも一方で、だからやっぱり「わずかな勇気が本当の魔法」思想は大切なんだ、という物語にも思えない。魔法(少年が夢追い的に追うもの)の他に、お金(現実的なもの)の話もめっちゃ出てくる。本当、「その次」の物語だ、というファーストインプレッション。

 僕とか『ラブひな』『ネギま!』の第1話マガジン掲載をタイムリーに読んでいて「凄いの始まったな」感を感じた経験をしてる人なので、今回三度目の赤松先生による「凄いの始まったな」感です。

 Facebookで例えば海外の『ネギま!』好きと直接言葉が交わせるご時世ですが、こういう時は、真っ先にこういう作品が読める日本在住で良かったなと本当思いますね。





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