週刊少年マガジン連載の、赤松健先生の『UQ HOLDER!』(ユーキューホルダー)、第2話「不老不死なんて!」の感想です。
 ネタバレ注意です。
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 結城忍という名前、主人公を「センパイ」と呼ぶなど、さっそく『ラブひな』のしのぶ型ヒロインを投入。わりと性別が分からない描き方になってる気がするけど、文脈上のヒロインって感じで。

 僕、『ネギま!』の時ものどかが登場した時に当時のホームページ(まだHTMLで手打ちの頃)に、「しのぶ型のヒロイン投入きた!」みたいなこと書いたんだけど、元祖しのぶも含めてこれで三度目の赤松先生によるしのぶ型ヒロインショックですよ。元祖前原しのぶは赤松先生が描いたヒロインたちの中でも最も成功したケースの一つと思われるので(『ラブひな』当時の人気は凄かった……)、マーケティング上何らかの形で毎回作品に投入というのは熱い。恐ろしいことに、「夢追い志向だけど、今一つ自分に自信がない」というキャラ造形が、今話に出てきた忍も含めて、全キャラ共通してるんですよ!

 今話も引き続き前作の否定要素を含む、前作と今作のシーソーゲーム。前作『ネギま!』では鉄板だった、師匠ポジションのエヴァンジェリンが主人公の武術を鍛えるという要素に対して、


 「格闘技で食べていく訳じゃないし」(近衛刀太)


 が炸裂。ご時世的に、バトルだけやってる場合じゃない。本当「その先」の物語を読めているのだという僥倖感。

 もう一歩、現時点で感じる物語全体像としては、刀太が未来を、夢を目指すぞ、ということを言う度に、でも未来は破滅的かもしれないというのがついて回る構成なんだと思うのですよ。

 今話で語られた刀太の夢、「何かを成し遂げていい感じにオッサンになった俺達五人でバーでかっこよく酒を飲むこと」はもう叶わないんです(刀太が不老不死になってしまったので)。そして、夢と未来の象徴としての太陽系オリンピックの華々しさが語られれば語られるほど、『ネギま!』を読んでる読者なら、今一つ今作の時間軸がまだ不明なところがありますが、超の時代まで進んだら、何かしら悲劇的なことが起こるのが分かってる。『ネギま!』最終回の記述より、この後戦争が起こることも分かってる。

 それでも、今わたしたちはバイクを修理して空を飛び、歌を歌う。

 思ったのは、一線のクリエイターたちが震災後の想像力で作るとある程度扱う題材が符合するのが必然なのか、未来は破滅かもしれなくても作り続ける、今、自身の本然を生きる、というのは『風立ちぬ』だよな……。今話のバイクを一緒に修理するシーンは、『風立ちぬ』で堀越二郎が零戦を作る的な、ただの夢追いポジティブ描写だけでは済まないような含意もあると思うのです。今話の刀太と忍の約束にしろ、刀太が不老不死な以上、やがて二人の時間はずれていくのに、という悲しさも既に背後にある。それでもボーイ・ミーツ・ガールし、塔の上を目指して歩いて行く……。

 凄い漫画が始まってる感。





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