『ガンダムビルドファイターズ(公式サイト)』が熱すぎるので、第6話までの感想をば。

 第1話、第2話分は秋季アニメまとめ感想で書いてたやつの再掲で、残りの第6話分まではこの記事で書いたものです。
 ネタバレ注意です。
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第1話「セイとレイジ」

 『仮面ライダーディケイド』的というか『ゴーカイジャー』的というか『プリキュアオールスターズ』的というか、いよいよガンダムでそういう方向のヤツやります、的作品。

 第一戦目がギャンVSウィングガンダムという熱さ。もう、ギャンwっていうだけで面白い。そして無残に撃破されるウィングガンダムを見て、「俺の大好きなウィングガンダムがバスターライフルも使えずにギャンに負けるなんて!」と悔しさがよぎるという、作り手が想定しているであろう理想的な楽しみ方を自分してるなと思いました。

 これ、ガンダムX出てくるっぽいけど、サテライトキャノンはアリなの!? 人生で一番縁があったガンダムシリーズは『ガンダムSEED』&『ガンダムSEEDDESTINY』だと思うのだけど、こういうお祭りオールスター感覚になると、何故か中学生くらいの時に観ていた『G』『W』『X』を応援したくなる罠。

 ウィングガンダムだから「反応速度」という台詞が出てくるなど、メタネタ、マニアックネタも絶賛炸裂中。是非、『G』を扱う時は石破ラブラブ天驚拳を!


第2話「紅の彗星」

 公開されたオープニングが熱すぎる。ガンダムシリーズのオープニングでは定番(特に印象的なのはWやSEED〜SEED-DESTINYですが)の、モビルスーツとキャラクターの決めポーズが映ってるカットの連続。いい年したオッサンがガンプラで決めポーズしてたり、ガンダムXを使う謎の少年がいたりと、年代、作品を超えた面白そうなの全部ブチこんでみるよ感。ラルおじさんとか、グフをバックに決めポーズのカットOPに出しちゃってイイの!? そんなに重要キャラなの!?

 本編も、三石琴乃さんボイスのお母さんに萌え(マリュー艦長@ガンダムSEED世代が、もう奥さん萌え年齢だろうというターゲッティングなのかもしれないという無常観)、オールバックの強敵の生徒会長は赤いザクを使い、ラルおじさんは名言を言ってみると乱舞状態。

 一方でレイジがファンタジー存在なのはメタフィクション的にも熱い。セイとレイジのタッグものだけど、ガンダム作品的な何らかの虚構との和解や連帯もテーマなのだとしたら、時代的に熱いですね。


第3話「フルパッケージ」

 夜な夜なガンダムバーにつどい、ガンダムコスプレやガンプラバトルに興じるダメな大人たちが描かれる。ええ、ラルおじさん、仮面ライダーディケイド的メタ存在とかじゃなくて、普通のガンダムオタクが行き過ぎたオッサンだったの!?

 後述しますが、趣味の求道的ガンダム求道精神が浸透すれば、世の様々な問題が解決するのでは? とそこはかとなく描いているアグレッシブな作品。非行少年の受け皿がドラッグや犯罪じゃなく、ガンダムバーだったら!? とか想像させられると熱い。承認欲求とかガンダムで表現すればいいし、暴力衝動とかガンダムバトルで発散させればいいじゃない、的な。

 ラストはヒロインポジションの委員長がガンプラの魅力に目覚めて引き。もう、出会い系とか婚活サイトもガンプラで代替できる勢いです。


第4話「ガンプラアイドル キララ☆」

 アキバ系ガンプラアイドルキララが現れるが、彼女は本然からガンプラを愛してるわけではなく、事務所の方針でアキバ系アイドルにされたので努力してガンダム20作品あまりを視聴、ガンプラの腕を磨いたという、強化人間的なガンプラファイターだった、というお話。

 まずはキララの努力に祝福を。娯楽過剰消費の時代、そうそう一つの作品シリーズに没頭して何十時間も視聴し切るのにも根性が要ります。僕とか、ガンダム好きの大人の方だと自負してますが、『ファースト』は劇場版しか観たことないし、あと、『ZZ(ダブルゼータ)』と『V(ビクトリー)』をまだ観たことないんだよな。ブログとかにあまり書いてない範囲では、『∀(ターンエー)』も超好きです。ディアナ様関係で何回か胸を打たれた回があるので、機会があったら語りたい。

 まだ第4話時点だし、感じ始めてる作品テーマ上、キララの努力はこの時点では偽物だったけど、その時間にも意味があった! と後半裏返るのが描かれると予想。


第5話「最強ビルダー」

 関西のライバルビルダー、ヤサカ・マオ来訪す。

 もう、セイのビルドストライクガンダムとマオのガンダムX魔王のバトルシーンが、想像世界ながら、セイはちゃんとキラが着てたパイロットスーツ着てるし、マオはガロードの服装してるしとで、オールド視聴者のハートを狙い撃ちされていました。

 極めつけは、やってくれやがったという感じで、ガンダムX魔王、サテライトキャノンを撃つの巻。「月が出ている!」とか、2013年に現在のアニメ表現技術でのサテライトキャノンシーンが観られるとは思わなかった。『ガンダムX』の第1話、「月は出ているか?」をTVに張り付いて(ネットとか普及してなかった時代ですよ?)観たのを昨日のように思い出せる。この作品マジ卑怯。


第6話「戦う理由(わけ)」

 ユウキ先輩が謎の理由で選手権を辞退したために、目標を見失ったレイジが、戦う理由を再獲得する回。シャアが急にいなくなっちゃったら寂しい……みたいな話だけど、いちいちガンダムに例えなくても目標に向かって頑張っていた時間が無駄になったとして、その虚無をどう乗り越え得るのか、という一般論に通じるエピソード。

 そして、ガンダムシリーズから受けた感銘としては、『ガンダムSEED』第34話・第35話以来という勢いの、メッセンジャブルな回でありました。

 以下、あまりに良すぎたので、レイジがもう一度走り出すきっかけになる、ラルおじさんとの会話のシーンを引用。


「改めて見るとよ、何だか滑稽だな」(レイジ)

「何がだね」(ラルおじさん)

「たかが玩具の遊びに本気になってよ。どいつもこいつも」(レイジ)

「お気にめさないかね」(ラルおじさん)

「気がしれないね」(レイジ)

「別にやめてもかまわんのだよ。ガンプラ作りもガンダムバトルも趣味の領域。『機動戦士ガンダム』の作中のように戦争状態でもなければ、命の駆け引きをする必要もない。所詮は遊び、その通りだ。しかし、いやだからこそ、人はガンプラにもバトルにも夢中になれる。好きだからこそ、本気になれる。」(ラルおじさん)


 物質的な豊かさはかなりの程度実現したのに、精神的には虚無感がつのり、自殺率も高い、この閉塞をどう乗り越えよう……と、特にゼロ年代色々な作品がその解答を描こうと試みてきたと思います。生の一回性を獲得できれば虚無は乗り越え得るというループもの作品とか、ある種の方法論で何気ない日常の輝きを実感し到達できる、といういくつかの京都アニメーション作品とか。色々と。

 その流れで、趣味に没頭すればいいじゃん。というのは一つの解答として熱い。しょこたんイズムが、生きる意味の解答になり得る、的な。

 もちろん、余裕がない実社会なので、そうそう楽天的にも言えないのだけど、でも例えば僕も震災以降、趣味的な想像力を過酷な現実を改善する力に変え得ることはできまいか、という方向を模索していて、今でもそっちの方向も大事だと思ってるけど、一方で、まず目的は趣味、その趣味を求道していくために、厳しい現実の方を何とかしていこう、というベクトルも大事だよなと痛感。

 衣食住をまかなうだけ資本主義社会で稼ぎ、社会的基礎インフラを確保するために働き、調整し、戦争を何とか避け、定期的に訪れる災害に対応し、子育てしたり介護したり病気と付き合ったり、現実は大変だけど、でも、私はガンプラを作りたいんだ!(各々の趣味にあてはめられる)。そのためには、現実の方もコツコツやっていこう。というような発想。

 エピソードタイトル「戦う理由(わけ)」と相成ってめちゃめちゃ熱い1話でした。ラルおじさんが実はカッコいいとか、卑怯!





→次回:「気を抜くと効率性を求められがちな世界にガンプラを作って反逆する。」へ

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