地元仙台が舞台のアイドルアニメ『Wake Up, Girls!(公式サイトニコニコチャンネル)』。引き続き、感想&トラックバックセンター記事です。

 TVシリーズ第7話「素晴らしき仲間たち」は、僕本人は3月2日(日)深夜の仙台放送での放映or3月2日(日)深夜のニコニコチャンネルでの生放送配信が開始してからの視聴になりますが、最速放映地域は本日2月21日深夜からとのことで、早めに記事を立てておきます。記事中はネタバレ注意です。
(追記:3月3日、管理人の第7話の感想を書きました。)
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 仙台では実質最速放映日から一週間以上経たないと観られない状況中。ようやく観られて感想アップした第5話「天国か地獄か」分はこちらとなります

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 2月19日の朝日新聞の「ひと」欄に「映画の聖地巡礼で被災地を応援するアニメ監督」の見出しで山本寛監督が掲載されておりました。デジタル版はこちら(全部読むには登録が必要)。

 以下、一部引用。


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(前略)

 「どうせ誰も分かってくれない」。引退まで口にした。
 直後に震災が起きた。現実から逃れるように、縁もゆかりもない宮城や岩手、福島の沿岸を訪ね歩き、がれき撤去を手伝った。どの被災地でも、家を流された人は愚痴を言わず、お茶菓子まで出そうとしてくれた。「懐の深い東北の人が好きになった」。自暴自棄になっていた自分に、復興支援という生きがいができた。
 ボランティアが一段落し、思った。「自分にできるのはアニメしかない」。被災地を聖地にして復興を後押ししたい。

(後略)
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 文中で『らき☆すた』のヒットが語られた後、3年前に勝負をかけてつまづいた作品というのがおそらく『フラクタル』なのだけど(スーパーエンタメという方向の趣ではなかったけれど、言いたいことは伝わってくる、と僕は好きだったのだけれど)、山本監督、『フラクタル』の後しばらく東北でがれき片付けたりしてくれていたのか。

 アニメ聖地巡礼現象の先駆けとも言われる『らき☆すた』の聖地巡礼メソッド、ゼロ年代時点では「余剰」以上の意味を持ってなかったとしても、震災後の世の文脈にリビルドして生かす、というのはカッコいい。

 『Wake Up, Girls!』は珍しくインタビューとかまで全部追ってる勢いなのだけれど、とにかく凄いエネルギーで作られてるな、と。色々と作品制作までの背景も読み込めてくると、「タチアガレ!」の歌詞もまた違う異相で響いてくる。来週には劇場版『七人のアイドル』のBlu-ray(特典が『タチアガレ!』のCD)発売で、ようやくフルで歌詞も聴けるので楽しみです。

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(追記、3月3日、管理人の第7話の感想を書きました。)

 Blu-rayで再視聴して改めて書いた劇場版Blu-rayの感想(こちら)にも書いたことなのだけれど、「断絶が起こるような出来事があっても、途切れさせずに続けていくこと」というのが、隅々まで何重にも描かれていた回だと思いました。藍里個別回のテーマというよりも、『Wake Up, Girls!』というプロジェクトの主題の一つなのではないかと感じはじめているのですが。劇中ではそれはもちろん、能力が劣ったり、純化された理想形に適合できなかったら脱落させられて「途切れて」しまう「I-1クラブ」との対比として描かれていたりもするわけで。

 今話全体では、やっぱり早坂さんに言われて一度WUG!止めようと思った(途切れそうになった)藍里が、もう一度WUG!を続ける覚悟を決める(途切れさせない)まで、という話になっているのだけれど、細かい所に何重にもこのことが描かれていたと思いました。

 未夕が、自分が止めそうに(途切れそうに)なった時、会いに来てくれた(途切れさせないようにしてくれた)のは藍里だった、という言及。

 劇場版の物語で、真夢が、一度アイドルを辞めた(途切れた)のを、もう一度やろう(途切れさせない)と自分の本質(歌やダンスが好き)を自覚するきっかけをくれたのは藍里だった、という言及。

 佳乃が、全国では勝てないで何度敗北しても(途切れそうになっても)、まだ芸能活動を続けている(途切れさせない)ということ。

 クレーンゲームでむすび丸を三つ取れ、というミッションにあたって、何回か途切れそうになっても、夏夜が千円を崩してくる、実波にバトンタッチ、という形で、途切れさせないでミッションを続けた、ということ。

 そして、シチェーション的に第1話の藍里の部屋の真夢と藍里の会話のシーンのリフレインになっているのだと思うのだけれど、場所としての藍里の実家熊谷屋。第1話では、お正月から店を開けていた(途切れずにずっと続けている)ということが描かれています。モデルになっているリアル熊谷屋自体が、ずっと途切れさせずに続けている老舗です。そんな熊谷屋の主人であるお父さんから、「継続は力なり」(途切れさせない)という言葉が出る、ということ。

 こういう、一つ一つの「途切れさせない」話が、やっぱり東北、宮城、仙台で、2011年の震災で途切れそうなことが起こったけれど、何とか途切れさせずにみんな生きている、という「場所」の物語にかかっているであろう、こと。

 熊谷屋の存在で描く、という描き方にはやられましたよ。モデルになっているリアル熊谷屋の当時の状況は存じてないのですが、僕の印象でも、東日本大震災の本震の次の日から、お店を開いて食糧供給を続けていた街のパン屋さんとかタコ焼き屋さんとかが印象に残っています。大規模余震が続き、道路は壊れ電柱は倒れ、倒壊した建物が散見される街、という状況で、ですよ。彼・彼女らこそがヒーローだと本当に思った。描写として描かれてないので個人的な補完でしかないけれど、劇中の熊谷屋も、あの頃もそんな風に途切れさせずお菓子を作り続けていたのだろう。

 藍里はそんな熊谷屋の娘で、劇場版でWUG!の解散(途切れそうになる)が決まりかけた時も、解散に向かいかける話の流れの中で、続けよう(途切れさせない)、ライブやっぱりやろうと最初に声をあげるのが藍里なんです。

 他、もう一つの途切れさせない物語、第9話のサブタイが「ここで生きる」で、おそらく夏夜回であろう気仙沼が舞台の話であるのが公式サイトに掲載されているけれど、例えばお腹が空いたという実波に、夏夜が非常食を持ち歩いていて食べ物をあげる、というのも、気仙沼出身の避難民と思われる夏夜にまつわる物語の伏線だったりするであろうわけで。

 地元仙台の視聴者というフィルターが大きい部分もあるけれど、全てに涙腺にきてる。もう、むすび丸だけでも泣けるよ。くまモンとかほど商業的に成功してないけれど(え)、2011年の前と後でも、途切れずに頑張ってるご当地キャラですよ。

→Wake Up, Girls! 1st Live Tour 『素人臭くてごめんね!』(東京・大阪・仙台)優先応募券付き、Blu-ray第1巻

Wake Up, Girls! 1 初回生産限定版 [Blu-ray]
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2014-03-28


→劇場版主題歌「タチアガレ!」、TV版OP&ED「7 Girls War」「言の葉 青葉」他、楽曲はAmazonMP3ストアやiTunesStoreでも配信中

タチアガレ!
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2014-02-26


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 ブログで感想を書く文化も役目を終えた感じなのか、トラックバックがあまり来ないというかそもそもみんなTwitterとかのSNSで感想書いてる感じですが、とりあえず第7話の感想をブログに書かれた方おられましたらこの記事にトラックバック頂けたら幸いです。ある程度アクセスアップに貢献できる可能性もあります。今回はTVシリーズも毎話感想記事を立てるつもりでおります。

→前回:『Wake Up, Girls!』第6話「まだまだだよ」の感想へ
→初回:『劇場版「Wake Up, Girls!七人のアイドル」』の感想へ
→次回:第8話「波乱」の感想へ
劇場版「Wake Up, Girls! 七人のアイドル」Blu-rayの感想へ
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