地元仙台が舞台のアイドルアニメ『Wake Up, Girls!(公式サイトニコニコチャンネル)』。引き続き、感想&トラックバックセンター記事です。

 TVシリーズ第9話「ここで生きる」は、僕本人は3月16日(日)深夜の仙台放送での放映or3月16日(日)深夜のニコニコチャンネルでの生放送配信が開始してからの視聴になりますが、最速放映地域は本日3月7日深夜からとのことで、早めに記事を立てておきます。記事中はネタバレ注意です。
(追記:3月17日、管理人の感想を書きました。)
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 仙台では実質最速放映日から一週間以上経たないと観られない状況中。ようやく観られて感想をアップした第7話「素晴らしき仲間たち」分はこちらとなります

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 小説版『Wake Up, Girls!』が予約開始。僕が書きたいくらいの勢いだったのだけれど(笑:仙台ネタ、震災後の文脈ネタなどいっぱいあるから)、シリーズ構成の待田堂子さん書き下ろしで七人の前日譚とか、文句のつけようがないのでした。楽しみ。

待田堂子
学研パブリッシング
2014-04-15


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(追記、3月17日、管理人の第9話の感想を書きました。)

 一度壊れてしまった、悲しいことがあった気仙沼、仙台、東北といった「場所」の物語と、島田真夢という、同じ様に一度悲しいことを経験し、途切れそうになった「人」の物語がリンクするように描かれていたと思う一話。

 解散という形でWUG!での活動が途切れかけた所から、それでも続けて勾当台公園でのライブを慣行する劇場版。その「途切れずに続けていく」ことと、真夢個人の、一度失って途切れたアイドルの道をもう一度続ける、という物語がリンクしていた劇場版。

 一度辞めると言い出して途切れかけた所から、メイドin仙台のお客さんたちの励ましで続ける覚悟を決める未夕の物語。

 同じく途切れかけた所から、石巻の磯川のおばあちゃんの励ましでライブ会場へ駆けつける、途切れさせない、という実波の物語。

 早坂さんの元、一度辞めようと思うと途切れそうになった所を、それでも続けていくという藍里と、藍里に「継続は力」という言葉を贈る藍里父が主人の、熊谷屋というずっと続いている和菓子屋との物語。

 地方止まりで勝てなくても、それでもずっと芸能活動を途切れさせないで続けていた、という佳乃の物語。

 全体として、断絶的な出来事、途切れそうなことがあっても、それでも続けていく、という物語が何重にも重ねられて描かれ続けている『Wake Up, Girls!』という作品。物語の核心の一つだった、真夢が「I-1クラブ」を辞めた理由も、当時の友人の黒川芹花が恋愛のために「I-1クラブ」を辞めさせられそうになったことに対して、白木に意義を申し立てたのがきっかけだったと明らかに。つまり、真夢も友達を途切れさせたくない、という想いから行動した人だったことが明らかに。その結果悲しいことに自分の方が(アイドル活動も、家族も)途切れてしまった、というのを背負って仙台にやってきていた。

 この人との繋がりを途切れさせたくない、という物語が、真夢だけじゃなく、夏夜でも描かれていたと思われる回。おそらくは、隅々の描写からして、幼い頃夏夜に「頑張ることの大事さ」を教えてくれた幼馴染の少年は、震災で亡くなってしまったのでしょう。恋愛をして脱落させられた(途切れさせられた)「I-1クラブ」の黒川芹花との対比などもあるとしたら、恋仲だったり、あるいは少し恋心を抱いていたりもしたのかもしれない。夏夜も、大きい途切れること、悲しい断絶を経験して、仙台にいた。

 そういった、これまで何重にも描かれてきた「途切れさせないこと」が、夏夜の台詞に集約されていたと思いました。


 「頑張りたくても頑張れない人のために、何かを頑張る」


 作品のテーマとしては、最終回前にここで描いていたと思いました。

 劇場版で、解散が決まりかけても、頑張ってライブを慣行したこと。未夕がWUG!を続ける、頑張ると覚悟を決めたこと。実波が第3話でそれでもライブ会場に来たこと。WUG!での活動を諦めかけて、それでも頑張って続けると藍里が決めたこと。全国で勝てなくても佳乃が頑張って芸能活動を続けていること。今話でまずはWUG!に注力する決断を菜々美が下したこと。真夢が、悲しい断絶があってももう一度アイドルをやると立ち上がったこと。こういう物語が、悲しい出来事で失われた存在(真夢パートなら象徴的には黒川芹花。夏夜パートなら象徴的には幼馴染の少年。そして、場所の物語としては、気仙沼、仙台、東北であの日から失われたもの)から、「継いで」途切れさせず続けていくことに、かかっていく。作中のキーワードでもあろう「頑張る」っていう営みが、想いを継ぐこと、途切れさせないこと、とリンクしてるのですね。

 真夢と夏夜の関係は良いな……。夏夜からすれば、もしかしたら恋心も抱いていたのかもしれない幼馴染の少年を失った過去を持つ人として、恋をして途切れた黒川芹花を守ろうと、自分を犠牲にして頑張った真夢という人の存在は救いになっている。逆に、真夢からすれば、一度(アイドルのことも、家族のことも)悲しく破綻した、途切れた過去を背負ってるゆえに、悲しく破綻した(というかおそらくは亡くなってしまっているのだけれど)人の気持ちを継いで今を生きている夏夜の存在が、救いになっている。お互いの存在が、お互いの心の守り人のよう。この話を観てから劇場版の勾当台公園のライブシーンをもう一度観てしまいましたが、改めて胸にくるものがあります。真夢も夏夜も、そういう背景を背負った上で、あの日あの場所で歌って踊った。

 ラストは、震災で壊れた漁船の一部が、アラスカから戻ってきて夏夜の手に再び渡る。夏夜の伯母さんの旅館も、藍里の熊谷屋と同じで、「途切れそうなことがあっても途切れずに続けている場」の象徴なんですね。上述の流れで、作品のキーワード「頑張る」は、作中では「途切れさせないこと」と重なるのだから、夏夜が書きこんだ言葉は「がんばっぺ!」。

 最後の黒背景に白文字の「つづく」のカットまで、ちゃんと意味があるようで堪能いたしました。悲しいことがあっても、人生も場所も続く。これは、七人の前日譚が描かれるという脚本の待田堂子さん自らによる小説版『Wake Up, Girls!』は、特に夏夜と真夢の部分は楽しみだ。

→七人の前日譚がシリーズ構成の待田堂子さん書き下ろしで小説化。4月15日発売予定

待田堂子
学研パブリッシング
2014-04-15


→Blu-ray第1巻は、Wake Up, Girls! 1st Live Tour 『素人臭くてごめんね!』(東京・大阪・仙台)優先応募券付き

Wake Up, Girls! 1 初回生産限定版 [Blu-ray]
エイベックス・マーケティング
2014-03-28


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 ブログで感想を書く文化も役目を終えた感じなのか、トラックバックがあまり来ないというかそもそもみんなTwitterとかのSNSで感想書いてる感じですが、とりあえず最速放映地域で第9話の感想をブログに書かれた方おられましたらこの記事にトラックバック頂けたら幸いです。ある程度アクセスアップに貢献できる可能性もあります。今回はTVシリーズも毎話感想記事を立てるつもりでおります。

→前回:『Wake Up, Girls!』第8話「波乱」の感想へ
→初回:『劇場版「Wake Up, Girls!七人のアイドル」』の感想へ
→次回:第10話「登竜門」の感想へ
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