地元仙台が舞台のアイドルアニメ『Wake Up, Girls!(公式サイトニコニコチャンネル)』。引き続き、感想&トラックバックセンター記事です。

 TVシリーズ第12話(最終回)「この一瞬に悔いなし」は、僕本人は3月30日(日)深夜の仙台放送での放映(ラストは第11話と連続二話放送。嬉しい。)されてからの視聴になりますが、最速放映地域は本日3月28日深夜からとのことで、早めに記事を立てておきます。記事中はネタバレ注意です。
(追記。3月31日、管理人の感想を書きました。)
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 仙台では実質最速放映日から一週間以上経たないと観られない状況中でした。ようやく観られて感想をアップした第10話「登竜門」分はこちらとなります。第11話と最終回は30日深夜に連続放送なので嬉しい。

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 緋呂河ともさんのコミックス版『Wake Up, Girls! 七人のアイドル』は本日3月28日発売。さっそくゲットしてまいりました。地元聖地特権を生かして「アニメイト仙台店限定絵柄ブックカバー」も入手(アニメイト仙台店のTwitter参照)。

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 コミックス版の感想もまた別に書きますね。



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(追記。3月31日、管理人の第12話(最終回)の感想を書きました。)

 「傷を負っても飛ぶ佳乃」に、作品の全てが詰まっていたと思った最終回。「真夢、飛ぶ」の所が最高潮でありました。そこで真夢に声かけるんだな、と。ステージ開始前に真夢にバッシング的な反応が向けられるのを佳乃が気に掛ける描写も入ってるのだけど、第9話で真夢も傷を負っても続け続けていた人だと直覚してからは、何かと真夢と通じ合ってる描写が入る佳乃。「飛ぶ」っていう行為が、劇場版の真夢の公園でのシーンの「大空のプリズム」の歌詞の伏線を回収してる行為だとも思うのですね。大空のプリズムが幸せの場所を指差していて、そこに行くから、っていう歌詞だから。やっぱり、そこに行くために「飛」ばないとという。"幸せ"を追うための飛翔。

 佳乃が負った足の「傷」は、それでライブが続けられなくなる類のものとして、『Wake Up, Girls!』という作品に沢山挿入されていた「途切れそうになる破綻的な出来事」全ての象徴だと思うのです。そして、それでも飛んだ佳乃のジャンプは、それを乗り越えようとした劇中の全ての人達の意志の代表。

 劇場版の、アイドルの道も家族関係も破綻して「途切れそう」になっていた真夢が、雨の中やっぱりアイドルを続けたいと飛び出して行った意志。

 社長の持ち逃げでWUG!が解散に傾いて「途切れそう」になっていた時、やっぱりライブやりたいと最初に声をあげた藍里の意志。

 一度WUG!を辞めかけた(途切れかけた)けど、メイドin仙台のお客さんたちに励まされて続けようと覚悟を決めた未夕の意志。

 磯川のおばあちゃんが倒れてライブに行くのを辞めかけた(途切れかけた)実波が、おばあちゃんに励まされて、それでもライブ会場に向かった意志。

 佳乃自身、何度も地方止まりで敗れても、途切れさせずに芸能活動を続けたという意志。

 早坂さんに言われて一度WUG!を辞めかけた(途切れかけた)藍里が、それでも続けると決めた意志。そして、震災があってもお菓子作りを途切れずに続けている熊谷屋の意志。

 震災時に気仙沼にいて、大事な人を失って途切れそうになっても生き続けてる夏夜の意志。

 幼い頃からレッスンを途切れずに続けてきた(続かなかった藍里との対比になってる)力を、WUG!に投入すると決めた菜々美の意志。

 最終回で白木が言及する、9.11の後も文化を「途切れさせない」ためにシアターを開けた管理人の意志。そして、その言及の背後に含意があるであろう、3.11で途切れそうになっても、生きることを続けてきた場としての仙台の宮城の東北の日本の人達の意志。

 傷を負っても、もう一度幸せを求めて飛ぶ、ということ。

 また、純化され、モノクロナイズドされた理想から外れたら脱落させられる「I-1クラブ」との対照になってるシーンでもある。

 ライブ中に、予定を変更して自分の意志で飛ぶ、というのは、正確に合わせる所から外れたら脱落という「I-1クラブ」とは真逆。

 真夢が破綻したきっかけ自体が、黒川芹花が恋愛のために「I-1クラブ」を辞めさせられそうになった(途切れそうになった)のに意義を申し立てたことがきっかけなんだから、あらかじめ決まったことから外れる意志を見せるっていう今話の佳乃は、疑似過去の真夢にもなってる感じで。それでも飛んで見せた佳乃が過去の真夢を救ってるようでもあるし、そういう自分の意志を見せても(第9話的に言えば「アイドルである前に人間」)、脱落させられるんじゃなくて、すぐに支え、フォローに入るWUG!の仲間たちの絵で、作品の全てが凝縮されていた感じ。過去の真夢を、頑張り続けた佳乃(に象徴されるみんな)を、黒川芹花すらこのシーンで救済してる感じ。「I-1クラブ」も正しくて本当にたくさんの幸せを人々に与えてきたのだけど(インタビューを読むと、山本監督は「I-1クラブ」のモデルであろうAKB48の震災後の活動を非常にリスペクトしてるのが伝わってくる)、最後にメッセージとしてシーンで表現したのは、競争原理で進めとかよりは、幸せを追うために傷を負っても飛ぶことを、支え合う仲間たち、という側面。

 物語全体としては、東日本大震災で途切れそうになった「場」としての仙台、宮城、東北、日本の再生の物語と、島田真夢個人の「人」としての再生がリンクする作劇で、要所要所の物語で、破綻した過去の真夢を救済していく構造があった作品だと思います。「やめたくない」と涙する藍里に過去の自分を重ねて、過去の自分を救うために走り出す劇場版の真夢から始まって、様々なそういう物語を経て、TVシリーズ最終回の、真夢のことも背負ってるごとく、傷を負っても飛ぶ佳乃まで。ようやっと、


 「自分が幸せじゃなければ、だれも幸せにできないってこと。だから今の私なら、もしかしたら誰かを幸せにできるんじゃないかって思う」(島田真夢)


 というところまで真夢の再生の物語が至ったところで、ひとまず終劇。

 劇場版と同じく「明日はどっちだ」と、続いていく雰囲気を出しながらなのは、「続いて行くこと」自体がテーマのプロジェクトだったからなわけで。

 この時期に仙台が舞台のアニメを作ってくれて本当にありがとうございました。

→Blu-ray第2巻は実波

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2014-04-25


→Blu-ray第1巻は公式のツイートによると「本編映像第1話&2話は、より良い物をお届けする為に、200カット近い修正を加えました。」とのこと。

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2014-03-28


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 ブログで感想を書く文化も役目を終えた感じなのか、トラックバックがあまり来ないというかそもそもみんなTwitterとかのSNSで感想書いてる感じですが、とりあえず第12話(最終回)の感想をブログに書かれた方おられましたらこの記事にトラックバック頂けたら幸いです。ある程度アクセスアップに貢献できる可能性もあります。今回はTVシリーズも毎話感想記事を立てておりました。

→前回:『Wake Up, Girls!』第11話「アイドル狂詩曲(ラプソディー)」の感想へ
→次回:『小説版 Wake Up, Girls! それぞれの姿』の感想へ
→初回:『劇場版「Wake Up, Girls!七人のアイドル」』の感想へ
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