2012年のベスト記事で書いていたアニメ『氷菓』の最終回近辺感想の、サルベージ記事です。

 記事中はネタバレ注意です。
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 純粋に出会えて嬉しかった作品。映像が美しすぎて、作品内容も相成り、100年後とかに古典として残ってるのは京都アニメーションの美しい『氷菓』の映像なんだろうな、などと考えてしまう作品。TwitterやらのSNS隆盛やらで、言葉やテキストがフローなことに慣れてしまいがちな世情で、逆の極点から「今」をあぶり出してる、と感じた作品。折に触れて大切に観返したいよ。

 最終回のラストシーンの解釈は、「人の本当の心が伝わるのは難しい/読み解くのは難しい」を、主人公視点で回答してみせた、というもの。関谷純も、「クドリャフカの順番」の時の脚本の子も、とかく探偵の存在や推理によって、迫ったり「解体」はできるのだけど、本当の本当のその人の本心にまで触れるのは難しい、という話が多かったと思うのですが、折木奉太郎も、最後、千反田えるに本心を伝えることはできなかった、というラスト。それが、関谷純をはじめ今までの登場人物達の救済措置になっている。

 薔薇色の千反田えると、灰色の折木奉太郎、という話の主軸にもちゃんと区切りがついている。その本心を伝えられたなら、薔薇色側にいけるのに、はたから見てると行けよ! と思っちゃうんだけど、それが出来ない、それが分かる。千反田さんも千反田さんで、「今」に薔薇色的なものを志向していたのには、それなりに理由があった。物語ははじめ方と終わり方が大事で難しいとはTwitterでガンダムSEEDの福田監督が言っていたのですが、そのはじめと終わりが綺麗だったと感じた作品。

 これ、分かりやすいハッピーエンドじゃないここで終わることに作品的には意味があるんだろうけど、話の続き気になるな。米澤穂信さんには是非「10年後編」みたいなのを書いて欲しいですよ。

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