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 アニメ『ラブライブ!2期(公式サイト)』、第12話「ラストライブ」の感想です。

 記事中はネタバレ注意です。
 ◇◇◇

 凄い。

 Aパート、信号が青になっても渡っていけない、一旦解散してもまた集まってしまう……と、「これで終わり」という区切りを中々つけられないμ'sメンバーという絵が描かれます。神社で祈った穂乃果いわく「みんな一緒」のお願い事は、表面的にはラブライブ!優勝に思わせつつ、実はμ'sが続いて行くこと、なのだと思うのですが、一方でここまでのパートは、そのμ's続行という願いは、μ'sメンバーの中だけでうだうだとやっていても叶わない、というのを同時に描いていたパートかと思います。結局、みんなで「学校に泊まる」と、スクールアイドルの枠組みを出ないまま(=学校のような既存のシステムに依存したまま)、そこに閉じこもってるしかないような流れに一旦なります。進みながら、μ's共同体も続行、という解法が、μ'sメンバーの内部だけでは手に入らない。

 そこから、ブレイカーはやっぱり穂乃果で、学校の外(屋上)に出て、街明りと繋がる……という展開になります。2期の第3話、第9話のライブシーンなどで印象的にビルディング群の街明りが使われていて、μ'sメンバー内部にとどまらない、世を生きる様々な人々とのリンクを演出していたので、ここで、街明りを美しいものとして描くというのは綺麗ですね。

 そこまでを仕込んだ上で、ラストライブを慣行。これで終わりとライブ後にバックヤードで涙して抱き合っていた所に、観客(μ's以外の外部の人々)から「アンコール」のコールが……という展開は見事でした。2期は、学校の友達にA-RISEに家族に、そして様々な街の人たちにと、μ'sメンバー以外の人々とのリンク、新しい関係性の進展を印象的にずっと描いていたのですが、その描写が結実。「アンコール(=続行)」の力とは、μ's内部だけに閉じるということで得られるのではなく、外部の人々とのリンクを通して贈られてくるものだった。これまで描いてきた友達やA-RISEや家族がみんな映っていてアンコール。もう、「学校の外」の話に入っているので、今まで封印していた穂乃果のお父さんらしき人や、男のキャラクターたちも見えます。そして、ことりちゃんというμ'sメンバーが作った衣装ではなく、外部の助力者からアンコールのための新衣装が届くという熱い展開でありました。ここ熱かった。ロボットアニメでテーマとリンクしながら主人公が新機体を発進させるシーンくらい(え)熱かった。

 やがて終わる「学校共同体」を、どうやって続行させていくか(あるいは新しいカタチでの連帯に変えていくか)、というテーマは僕の感想ではずっと書いてきたように『けいおん!!(特に2期)』と同じなのですが、2014年発信の物語として、『けいおん!!』を超えてきましたね。見事の一言。

 新自由主義的な、それぞれが進歩を追って共同体は崩壊していくのさ、切ないね、という動力の方が現代社会では強いので、むしろ共同体を続行しようとする方がロックという描き方は『けいおん!!』と同じなのですが、『けいおん!(!!)』の続行は、1期ラストも紬が勝手に演奏(ライブ)を続行、2期も唯、澪、律、紬らが自発的に同じ大学への進学を選び、梓にも別れではない曲を届ける……と、あくまで、軽音部メンバーたちの力で続行を試みる、という所まででした。

 一方で、『ラブライブ!』2期で描いたのは、外部とのリンクを作り、外部をも巻き込んで、外部からの助力も借りて共同体を続行(あるいは新しいカタチへの再生)する、ということ。『けいおん!!』でも、外部である街のライブハウスや結婚披露宴の余興で演奏したり、夏フェス行ったり、映画ではロンドン行ったりと「外部とのリンク」は描かれていましたが、明確に、そんなリンクした外部から「アンコール」&新衣装到着という形で、贈り物が返って来る、という所まで描いたのは、『ラブライブ!』2期が「物語」を一歩進めたなと感じた所です。

 また、メタフィクションにもなってますしね。μ's、というかラブライブ!ムーブメントの続行なり新しい展開なりを願うのならば、それを叶えるのは外部の応援者たちだ、と。スクフェスに課金していたラブライバーの皆様は報われそうですね(え)。

 アンコールの曲が始まりの曲である第1期オープニング曲「僕らは今のなかで」で、新しい幕が上がる(=新しい物語が始まる)演出、この文脈で改めて歌詞を聴いてみると、新しいパッションがゴールだとか、自分たちの好きという衝動を大事に続け続けていくような歌詞にも聴こえたりと見事。逆境から、「好き」という気持ち一つでムーブメントを起こせば外部が反応し、願い事もリアライズされていく(アンコールシーンは1期3話のファーストライブをちょっと意識させる演出になってる)という、主に1期のテーマだった、「自分が本質的に好きなことをやろう」もこの展開に繋がったような、ラブライブ!という作品(というかプロジェクト)らしいラスト2エピソードでありました。

→Blu-ray第1巻、6月20日発売

ラブライブ! 2nd Season 1 (特装限定版) [Blu-ray]
新田恵海
バンダイビジュアル
2014-06-20


→イラスト集



→前回:アニメ『ラブライブ!2期』第11話「私たちが決めたこと」の感想へ
→次回:アニメ『ラブライブ!2期』第13話(最終回)「叶え!みんなの夢――」の感想へ
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