アニメ『アルドノア・ゼロ(公式サイトニコニコチャンネル)』第1話「火星のプリンセス」の感想です。

 記事中はネタバレ注意です。
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 「あおきえい×虚淵玄」の『Fate/Zero』コンビで広報されている作品。

 古きよき火星SFに、2014年なりの現代的要素もミックス、それでいてエンターテイメント作品に徹していきますといった雰囲気を感じました。

 凄いと思ったのが、いきなりマクロの大きい話を見せる方から始まってる第1話だということ。普通、大きいレイヤーはもちろん用意するのですが、視聴者の感情移入的導入をはかるために、最初は身近な小さい辺りから話を始めたりするのですが。『魔法科高校の劣等生』とかも(とりあえずSF的作品つながりで)、背後に大きい世界がどうこう、SF的にどうこうというレイヤーはがっちりとあるのだけど、まずは兄と妹、そして学校という身近なレイヤーから物語を始めてるように。

 『アルドノア・ゼロ』は第1話でいきなり三層くらい大きいマクロのレイヤーが出てきてて、


1. 3万年前の古代文明
2. 15年前の出来事
3. 現在の地球と火星が対立する世界


 とかですよね。そういうかなり大きい話を見せる所から始めてるのに、ちゃんと面白いので凄い。

 おっさん世代のレイヤーと、現代の子供達世代のレイヤーに既に齟齬があって……という辺りが面白かったです。

 おっさん世代は地球側では鞠戸孝一郎で、自分らおっさん世代が敷いたレールの上を、真相も知らないまま歩いていて軍事訓練してる子供世代をやるせなく見てるという視点がある。火星側では、クルーテオとかザーツバルムで、がっつり地球人とかみくびってるし、むしろ侵略したいくらいの勢い。

 一方で子供世代は地球側は界塚伊奈帆らの学生組で、既に悲しい破綻が沢山あった後の世界を生きているのだけど(この辺りが2014年文脈的)、ちょっと達観してるような雰囲気のある伊奈帆はともかく、学生組は束の間の平和がまだ続くような気持ちで戦時下にいる。いわば、ファッション軍人。

 子供世代火星側はアセイラム姫やスレインで、地球と火星の友好なんていうことを夢見ている。総じて、子供世代側は綺麗だけど甘い感じで、おっさん世代側は現在の現実を見てるけれど硬直化している感じ。

 第1話は、続いていくかもしれなかった束の間の平和とか、地球と火星の友好とか、綺麗だけど甘い夢が、甘くないとブチ壊れた所で引き。現時点では何の力もない子供世代が夢見るほど、世界は綺麗には進んでいかず、子供達はみな前の世代が敷いた歴史の呪縛の上にいる。そうやって戦争になって地球が壊れていく中で、幼い子供二人が戦争が始まった光を流れ星だと勘違いして、世界の平和をお願いする……というシーンは、色々とやるせなさが詰まっていて大変良かったです。

→主題歌

Kalafina
SME Records
2014-08-06


→次回:『アルドノア・ゼロ』第2話「地球の一番長い日」の感想へ
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