アニメ『幕末Rock(公式サイトニコニコチャンネル)』第1話「片魂!ロックやるぜよ!」の感想です。

 ネタバレ注意です。
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 ネットが出てきた頃の、個人の自由な表現も縦横無尽に波及して百色百光の世になるんじゃ? という期待感も薄れて世はすっかり保守化。小説・漫画は大手出版社に音楽は大手レーベルにと、既存のエスタブリッシュメント経由でしか世に影響を与え難いよ、みたいなリアル世相も反映してか、表現における体制への反乱勢力がロックするお話。

 で、そういう音楽におけるエスタブリッシュメント(既存の既にできあがってる)的なものと、それに反乱する勢力とを、日本史の連想で、幕府側と維新側とに対応させてネタにしてる感じ。坂本龍馬と高杉新作と桂小五郎がロックで体制に反逆。彼らを導いている外来の思想(ロック)を輸入してるのは吉田松陰だしで、うむ、だいたい合ってる!

 女性向け作品で、荒唐無稽なのは意図してやってる作風かと思いますが、世はお上が認めた「天歌(ヘブンズソング)」しか評価されないようにがっつり仕組みが出来上がっていて、それは民からお金を巻き上げる類の搾取構造。そういう世の仕組みに、一言ロックで言ってやりたいという辺りは時世がら面白かった。前半、抑圧が当たり前になってる体制の構造を描写しておいて、クライマックスでそれに対して坂本龍馬が音楽は自由だとシャウト→ついにロックを歌い出す→発光→高杉新作と桂小五郎が共鳴→みんな半裸にの流れが熱かった。体制への「反逆志向=ロック=全裸欲求」はニアイコールでオッケーだと思ってるので、だいたい合ってた!

 これ、オープニング見ると今は体制側の土方歳三と沖田総司も仲間になる感じなんですかね。第1話の歌い出すシーンが橋の上(境界領域)なのは意図してやってると思うので、体制とか反体制とかどうでもイイから、ロック! アンド、ピース! みたいな感じになっていくのかな……。とりあえず勢いがあって面白かったです。

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谷山紀章
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
2014-08-27


坂本龍馬(CV:谷山紀章)
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
2014-07-24