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 アニメ『甘城ブリリアントパーク(公式サイト)』第7話「プールが危ない!」の感想です。仙台にて地方遅れ視聴中。

 ネタバレ注意です。
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 元々、「昔は勢いあったけど今やお金がなくなり財政破綻まで期限が見えてるどこかの国」=「甘城ブリリアントパーク」みたいな含意もあるであろう、風刺も効いてる作品なのですが。

 何もかも面白かった。

 例によって、そんな「場」に、黒船襲来の如く、海賊船の収奪者登場。グローバル化って、ようは境界が無効化されるってことなんだから、良いものもやってくるけど、奪いに来る連中もやってくるよ。

 で、そういう連中を手玉にとって、ちゃっかり自分達のリソースに変えちゃうという、理想的というか妄想的な展開が描かれた感じの一話だったわけですが。

 ちゃっかり収奪者側に寝返るティラミィとか(街のリアル店舗書店員やってましたが、やっぱりAmazonに付きます、的な)。

 脳内イメージでは、そういう収奪者とカッコよく戦えてる強い自分なんだけど、現実は容赦なく谷底に落下していくモッフルさんとか。

 繰り返しになるけど、何もかも面白かった。

 ただ、逆転要素として描かれていた、ジョーは客をもてなすのには向いてないけど、回りまわって自分の適性につく……とか、映子さんはアニマル・ビデオキャリアを通訳・翻訳に転換できる、とか、こういうのも、新興勢力に旧来の仕事を奪われる現在の世相において、どうしようかって風刺的描写なのですよね。

 理論だけばりばりの経済学やってる方とか、未だに淘汰された分の旧来産業の仕事は、新しく生まれた新興産業の仕事の需要に吸収されるから大丈夫だ、なんてことを言ってたりするのですが、現実そんな理論通りにはいかないわけです。自動車工場で働いていた人が、自動車産業が終わって、次はロボット産業だ、となった時に、スムーズにロボット産業で働けるようになるかといったら、それは無理なわけで。この、ばんばん淘汰圧だけはかかってくるのに、淘汰された後に、勢いがある新興ジャンルに移動できるかというと、中々できない。というのがジョブレスリカバリーの本質の一つです。

 そういう世相にあたって、理想を描いてる感じで、ジョーはお客さんをおもてなしすることがしたいのだけど、その特性がない(顏が怖いから)。だから、裏方に徹してろと一旦なるわけですが(自分のやりたい仕事なんてできない)、最終的には、その顏が怖いという特性が、鉄ひげを使役できるという特性に裏返って、おもてなしの仕事の統括のポジションに付くと。一種の「仕事の移動」が理想的に決まると。

 映子さんも、アニマル・ビデオの仕事から、テーマパークのキャストにして翻訳者・通訳者という仕事にと、理想的な形で「仕事の移動」を決めると。

 そして、いすずさんはやっぱりお客さん向けの笑顔が要求されるパフォーマーみたいな仕事だと全然力を発揮できないのですが、戦闘になると遠距離から射撃を決めるような超絶スペックを発揮すると(近衛兵だから)。

 そんな、厳しい現実の強い淘汰圧の中で、勝ち側には回れなかった人達。栗栖曰く負け犬たちの集まりが「甘城ブリリアントパーク」な感じなのですが(これは西也からして、前の仕事(俳優)で破綻を経験してるので当てはまる)、負けた側なりに、何とか次の仕事の場所へ移動していく話にもなってるわけですね。

 それは、そういう一旦レールから外れた人たちに対して、寛容な「場」があって、次の場所へ移動していけるような全体の雰囲気があるとイイよね、という、あんまりそういうのがない「昔は勢いあったけど今やお金がなくなり財政破綻まで期限が見えてるどこかの国」に物申してる感じでもあって。

 そんな「場」の再生が、前の場所では失敗した西也といすずのメイン二人の再生とリンクする作品。

 丁稚さんの文章が相変わらずいいのですが。↓


可児江西也と千斗いすずは「バディ」になれるのか 〜『甘城ブリリアントパーク』感想/ねざめ堂織物店


 西也といすずさん。鏡像演出とか目線が一瞬同格になる演出とかはこれで気づきましたね。

 おそらく、このままだと、劣った管理人代行であった千斗いすずは、より優れた管理人代行である可児江西也に代替されました。弱きは消費され強きに代替される……的な栗栖の負け犬と勝ち組の力学の話になってしまうのを、いすずと西也が(何らかの形で)同格になることでブレイクする構造があると。

 その二人の(二つの実存の)物語こそが、今回書いたような一度前の仕事で破綻したらもう次に移動はできないのか問題や、大きくは強大で強いグローバル資本に襲来されたら、旧来の場は淘汰されるしかないのか問題の、解法にかかってくると。

 いすずも西也も、新しくやってきた覆面さんとオークロも、甘城ブリリアントパークと襲来者さんも、果てはあるいは旧来書店とAmazonも、ゼロサムで淘汰し合うのではなくて、何らかの形で「次」の世のステージへ「輝き」を失わないまま進めたらという、願いの物語でもあるのだった。

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→前回:『甘城ブリリアントパーク』第6話「人手が足りない!」の感想へ
→次回:『甘城ブリリアントパーク』第8話「恋心が届かない!」の感想へ
『甘城ブリリアントパーク』の感想目次へ

【関連リンク:これまでの当ブログの京都アニメーション作品感想】

『涼宮ハルヒの憂鬱』最終回の感想はこちら
『けいおん!!』最終回の感想はこちら
『氷果』最終回の感想はこちら
『Free!』(第一期)最終回の感想はこちら

『中二病でも恋がしたい!』(第一期)最終回の感想はこちら
『境界の彼方』最終回の感想はこちら