毎年恒例、その年に触れた作品などで良かったものを、僕の主観でベスト形式で記載しておこうのコーナー。「漫画部門」に続いて「アニメ部門」となります。

 以下、基本的にはネタバレを含みますので、注意です。
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第10位:『中二病でも恋がしたい!戀』(公式サイト

 うちのブログでは第1期の最終回の感想(こちら)までしか書いておりませんでしたが、第2期も視聴しておりました。

 いきなり丸投げかよという感じですが、『中二病でも恋がしたい!戀』に関しては丁稚さんのこの二つの記事が、僕が知る限り最高過ぎるので、そちらを参照でお願いします(観ていた方は必読!)。↓


「好き」を続けていくために 〜 中二病でも恋がしたい!戀 感想/ねざめ堂織物店

「連関天則」の意味するもの 〜中二病でも恋がしたい!戀 感想


 第1期と同じく、中二的世界の継続と更新に関する物語で、新キャラ七宮智音を通して1期よりもテーマを一歩進めていた本作。

 七宮智音が守ろうとした(というか守るためにアップデートが必要だった)「中二的世界」こそが僕がよく「京都アニメーション」文脈で使う"輝き"であって、そういう意味では『けいおん!(!!)』が高校時代の"輝き"の継続は可能なのか? というテーマに後半入っていくのと同じで、やはり京都アニメーション作品は作品を超えて連続して追ってるテーマのようなものがあると思います。

 そして、「中二的世界」こそが智音の「本懐」であり、何もしないままだと厳しい現実に壊されてしまうそれを、智音が何とか守ろうと葛藤し、戦い、一歩次のステージへ進んでいった物語だと捉えると、その流れは『甘城ブリリアントパーク』へも繋がっていきます。

 智音が放った「パズルのピース」の続きは……、『甘城ブリリアントパーク』の項目に続く!

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第9位:『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』(公式サイト

 感想は英語で第0話分しか書けませんでした(こちら)。ただ、Fateの物語は個人的に原作ゲームをやり込んだ時に堪能しきってるので、僕のFate感想は原作ゲームのプレイ日記で読んで頂けたらと思います。詳しくはTYPE-MOONブログのこちらの記事にまとまっています。

 ただ、例えば『Fate/Zero』からの連続性を意識させるようにブラッシュアップされていたり(セイバーさんがイリヤと始めて遭遇した時に見せる表情など)、オリジナル要素もあったりとで、これ、現在分割二クールの第一クールが終わった所ですが、結末少し変えてくるんじゃないかなと予想していたりします。

 以前からの自説、セイバールートも桜ルートも「誰かの犠牲」が前提なのだけど、凛ルートだけが全員救える結末に辿り着き得る……という辺りの可能性にフォーカスしてくれたりしないかなぁ。

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第8位:『ご注文はうさぎですか?』(公式サイト

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 よく見てると、千夜の台詞など、仲良し五人組共同体的な"輝き"は何らかの形で継続可能なのか? というテーマもあって、それを例えば学校共同体ではなく喫茶店共同体的なもので模索していたりと、芯はちゃんとある作品。

 その上で、女の子がひたすら可愛い、というのが、やっぱりありふれた言葉で言えば「癒し」でした。これ、絶対今年『ごちうさ』で自殺思いとどまった人とかいるでしょ。

 「こころピョンピョン」は今年の流行語的なものにも。心がまいってる友人とかいたらDVD貸したい作品、暫定一位に。

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第7位:『ラブライブ!2期』(公式サイト

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 同じく「女の子可愛い」で何も考えないでボーっと観られるアニメ枠で、何だかんだで今年一番繰り返し観た作品(特にライブシーン)。

 もちろん物語の芯もちゃんとあって、これもそのままだと終わってしまう輝いた時間、輝いた共同体の継続に関する物語です。そのままだと硬直したシステムに負けて輝いた仲間たちとの時間も終焉を迎えてしまうのだけど、だったらその硬直したシステムの方をブチ破ればイイという方に行く、わりと過激な作品。「女の子可愛い」でカモフラージュしながら、随所に盛り込まれる既存のシステムをμ's(ミューズ) がハックするという表現(「証明写真」をハックするなど)がロックで、ラストの制服(システム側の象徴)をμ'sTシャツでハックしたまま踊り狂って、どどーんと、続編やるけど、何か? みたいなのは最高に爽快でありました。

 「ラブライバー」もこれ社会現象と言っていいんじゃないだろうか。友人にもおりますが、仕事もしなきゃいけない、だが、スクフェスもやらなきゃいけないし(通勤時間とかにやってる)ライブにもいかないといけない、そこがツライところさ(フッ……)、みたいなのはわりと本気でカッコいいと思ってます。

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第6位:『SHIROBAKO』(公式サイト

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 『ごちうさ』辺りは『けいおん!(!!)』的輝いた共同体の「次」に関しては示唆を示しながらも実際に時間軸が進んだりはしなかったのですが、これはもう、ガチで『けいおん!(!!)』アフターというか(脚本にも『けいおん!(!!)』のシリーズ構成の吉田玲子さんが担当してる回があったり)、本当に高校時代の輝いた共同体の時間から時間が進んで、その社会人編が描かれます。

 高校時代の五人はバラバラになってもいるんだけど、だけどまだ「アニメーション」という題材で途切れず繋がってもいる。そういう部分を核心にしながら、広く社会問題的に言われてる「分断」をアニメーションを媒介に繋いでいく様が描かれている作品。

 現実の大人世界は「高校時代の輝いた共同体」みたいにはいかなくて、収入の格差もあるし、仕事大変だし、親も倒れたりもするけれど、それでも、もうどうしようもなくバラバラで競争世界で殺しあうしかない夢も希望もないそれが現実でしょ? とは言いたくないでしょ、俺たち、アニメ観て育って、今でもアニメが好きだからな! という、まあ、うん、毎回泣きながら観るしかないよね……。

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第5位:『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』(公式サイト

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 出ました。「癒し」というか、視聴者をブっ殺しにかかってる作品。やっぱりこういう作品もないと。

 溢れる登場人物のエモーション、二転三転する世界観、安易には済ませないメッセージ、そしてあらゆる意味でガチなストーリー。

 これ、「女の子たくさん」という点だけは共通だけど、たとえば何の耐性もないような外国人視聴者に『ラブライブ!』観せた後に観せたら叫び出して壁に頭打ち付け始めたりするんじゃないかな……っていう。

 福田監督(今回はクリエイティブプロデューサー)が関わってる作品ですが、現在第1 クール終わった所ですが、やー、これは『ガンダムSEED』第34話・第35話級のヤツが後半絶対きますよ。今からでも追うの推奨。

 癒しはもちろん重要で、どっちかというと現在は厳しい現実の中そっちに傾きがちなんですが、人間の原初衝動として作品を生み出すなら、やっぱり世界に何らかの痕跡を残さんとする覚悟とエネルギーが必要だし大事だよなと。そんなことを考えながら観てる作品。第11話の、これ、この後どうなるんだよ感は凄いよ。続きを! もうしばらく生き延びて続きを観ないと!

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第4位『映画ハピネスチャージプリキュア!人形の国のバレリーナ』(公式サイト

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 「世界を救った後に、一人だけ幸せにはなれなかった主人公はどうするのか?」という部分を描いてるTVシリーズの残りも気になりますが、劇場版の完成度が異様に高かったので、劇場版の方をランクイン扱いで。

 ヒーロー(プリキュア)といっても、何でも解決できるわけじゃない、ということを扱った誠実な作品。現実でも、病気とか介護とか、どんなに強いヒーローでも抜本的に解決できない問題は溢れていて、大人の世界は厳しく、苦しい。

 何でも解決できるようなスーパーヒーローにはなれない女の子が、それでも子供の頃に信じた「人を助けたい」っていう気持ちは捨ててしまいたくない、諦めたくない。じゃあ、過酷な現実の大人世界でどうするのかっていうのがクライマックス。子供の頃に信じた純真なあの理想を、この苦しい大人世界でもう一度。

 そのタイミングでカッコいい挿入歌が流れ始めて変身という、さ、さすがヒーロー作品なら東映さんだ……! という盛り上がり方といい、Blu-rayが出たら是非観て頂きたい作品。つむぎさんのラストの一言に叙情と覚悟を感じて現実に帰還したい。

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第3位:『甘城ブリリアントパーク』(公式サイト

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 同じ京都アニメーション作品文脈で、第10位の『中二病でも恋がしたい!戀』の項目から続けば、劇中に沢山出てくるファンタジーな奴ら=中二病を含有し続けてる七宮智音とも受け取れます。中二病とか、ファンタジー要素とか、"輝き"が続けられないんですよ。財政破たん真近とか、この厳しい現実の中では。

 だが……諦めない!

 と、それぞれが本懐として持ち続けてる「代替不可能な」価値と再契約し、そしてそれをパズルのピースを組み合わせるように「調和」に至らせるのを目指すことで、この危機を乗り越えていこうという作品。ユーモアに乗せて描かれる、「個人」と「場」の再生の物語は豊穣にして現代的。「面白い」とか「感動した」作品は多々あれど、「今後の人生の指針になる」作品は珍しい。それくらい、確かに今後の方向性としてはそっちかもな……と思いながら観てました。

 娯楽として気軽に楽しめるエンターテイメントで面白い作品に仕上がりながら、その背後には綿密にっていうか、シナリオレベルでも画面作りの上でも超絶技巧としか言いようがないレベルでの「構築」が施されてるという、



 に、日本の伝統的な「細部までこだわり抜く」もの作り精神は現在はアニメ制作の現場で最前線として生きていると書かれてたけど、やり過ぎだろという。第8話(感想)の構築し切ってやった感じとか凄いよなと。

 感想で書いていた通り、古くは『涼宮ハルヒの憂鬱』を本歌にしてるような表現も随所に見られ、その上で連綿と続いてきた「傷つき、色褪せてしまった虚無的な現在に、"輝き"を取り戻す」的な「京都アニメーション文脈」の2014年時点での最前線を見せてくれた作品でもあります。これ、『ハルヒ』の頃から追い続けてきて良かったな……。

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第2位:『ハナヤマタ』(公式サイト

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 今年、様々な作品に見られた「『共同体』のネクストステージ」というテーマに関して、「至って」いた作品。シリーズ構成も終盤は共同体の継続は可能かという辺りに焦点があたっていった『けいおん!(!!)』のシリーズ構成の吉田玲子さんです。吉田玲子さん仕事し過ぎ。

 結論としては、輝いた共同体の続行、行けるだろって感じなのですが、その源泉が「リンクを通したシームレスな『境界』の移動」っていうのがね。それが出来るかだと。エンディングの、学校の授業を終えて、それぞれがそれぞれには自分の領域は持ってる五人が、シームレスに「放課後」の「よさこい部」共同体に移動していく映像とか、最高にクールですよね。

 というか、ドア、窓、踏切、階段などに象徴性を持たせた映像表現といい、とにかく境界とその移動に関する描き方がクール。この辺りはこちらの記事に超長文で書き切ってるので、是非読んでほしいです(僕は何故にこんな長文を今年書いていたんだ!?)↓


『けいおん!』と『ハナヤマタ』で重ねられている演出とその意図について


 共同体が壊れて「分断」に向かう力学は現代の世界(突き詰めると資本主義と新自由主義の問題に繋がる)で生きる以上避けられないけれど、リンクがホンモノなら、その共同体は何らかのカタチで再生が可能だということ。ラスト、あらゆる「分断」を超えてハナが戻ってきて、一夜の奇跡の共同体『ハナヤマタ』が実現。傘に比喩されたそれぞれの本懐に根差した花咲き乱れ、その「輝き」が世界を変えるっていう。

 これも、今年出会った一生ものの作品でした。

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第1位:『Wake Up, Girls!』(公式サイト

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 地元仙台が舞台のアイドルアニメ&リアルアイドルプロジェクト。

 今年の他のアニメ作品と一線を画しているのは、東日本大震災に正面からコミットして作られた作品である点です。他の作品も、作り手の意識はちゃんと感じていて、みんな震災以降の文脈で作品を作って、それぞれが作品に盛り込んでるメッセージに、当事者としては勇気づけられていました。ただ、劇中で完全に震災を「あったこと」として作品の中心的な要素に盛り込み、物語自体も仙台、宮城、東北への応援(インタビューでの山本寛監督の言葉を使えば「ラブレター」)として描いてくれていたこの作品は、別格でした。第9話の主人公の真夢の過去の傷が癒え始めるのが描かれるエピソードの「場」として、気仙沼を舞台に描く。第9話を観た時は感謝の気持ちしかありませんでした。

 島田真夢という「個人」と、東北という「場」の、二つの破綻。そこから、それら二つがリンクしながら「再生」に向かい始めるまでの物語。

 第0話相当の『劇場版「Wake Up, Girls! 七人のアイドル」』に全てが詰まっていて、拙著電子書籍で恐縮ですが、



 で書いていた、「もう、大きい破綻を経験した場にいる自分は、(例えば小説とか漫画とかアニメとか)文化的な営みなんて言ってる場合じゃないんじゃないか」という葛藤に対して、応援をくれた作品でもありました。

 道路はヒビ割れ、倒壊した建物が散見され、修復のための重機が行きかい、街はどうしようもなく壊れている。劇場版時点では明かされないけれど、七人は七人なりに色々背負っている。状況は逆境で、持ってるリソースはなし。

 それでも、ずっと昔から仙台の街の文化の場として、煌びやかではないながらもありつづけた勾当台公園の野外ステージで、もう一度、震災後を生きてる若人が歌い、踊る。

 8000枚の手書きのライブシーンから、仙台の市景を俯瞰するカットに続いて、そこにはまだ灯り続けてる街明り。東に少し向かえば津波で壊滅的な被害を受けた地域が広がっている。それでも、この場でもう一度歌おう。踊ろう。何故なら、自分にはこれしかないから(「タチアガレ!」の歌詞もよく聴くとそういう、自分の本質はこれしかないからとまた歩み出す内容なのです。)。

 あるメタ的な表現として、劇場版とTVシリーズ第1話では同じライブシーンが「違うコンテクストで」描かれていますが、上記の仙台の市景と街明りにリンクするくだりは劇場版のみなので、やっぱり劇場版から視聴して欲しいところ。

 また、今年はリアルの方の『Wake Up, Girls!』のライブの方にも行ってみたりして、その仙台公演(感想)のラストの演目が、「motto☆派手にね」だったりするのですよ。『かんなぎ』の主題歌です。津波で大規模な被害を受けた七ヶ浜が舞台の。これ聴いた時、すっごい「優しいな」と思いましたね。オリジナルの曲数が増えてきても、折に触れて色んな場所で『ハルヒ』や『らき☆すた』の主題歌で歌い踊るのも、震災以前と以後との文化の連続性を演出してるのだと思っています。

 一年間リアルのWUG!メンバーが怒涛の活躍を見せたこともあり、続編となる『劇場版第二弾(公式サイト)』も決定。何年か後に、起点として、そういえばボロボロだったあの頃、「タチアガレ!」で逆襲を開始したんだったと、振り返られたらイイな。

 そんな、しばらく付き合っていくことになりそうな作品&プロジェクト。

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 と、とりあえず2014年のアニメ部門はこんな感じで。

2014年ランゲージダイアリー的ベスト、「漫画部門」へ

●参考リンク:去年のベスト記事など↓

2013年ランゲージダイアリー的ベスト、「漫画部門」へ
2013年ランゲージダイアリー的ベスト、「アニメ部門」へ
2013年ランゲージダイアリー的ベスト、「小説部門」へ
ランゲージダイアリー的「2012年にふれた作品ベスト10」(この年はまとめの記事でした)
ランゲージダイアリー的2011年ベスト/アニメ編
ランゲージダイアリー的2011年ベスト/小説編