ネタバレ注意です。
人(椿輝紅羽)も熊(百合城銀子&百合ヶ咲るる)も、「透明になるか」or「スキを貫くか」、という分岐が描かれておりました。
人サイドの、表面的には友達大事って言いながら透明じゃなきゃいけないっていう紅羽の同級生たちの描写は、使い古された言葉なら「同調化圧力」みたいな感じで、それを受け入れて無個性でいるか、自分の「スキ」を主張して個として自分の志向性を進んでいくか、まずはそういう一話だったような気がします。意外と、「百合」という題材が、個の志向なんだけど、貫こうとするとまだまだマジョリティの同調化圧力が世にはあるという点で、今話で描いていたことにマッチしてる感じ。
で、問題は熊サイドですよ。
自分の志向、個を、スキを出していこう! それぞれが好きなことで頑張れるならラブライブ! みたいなのは最近の作品のメッセージの一つで、世相的にも色々な転換点な時代にマッチしてると思うのですが、この作品、熊サイドは個の志向、「スキ」が人間の捕食なんですね。
つまり、ある個とか集団が「スキ」を貫くと、一方で犠牲も出る、という所まで構造として盛り込んでしまっている。一人のアイドルが「スキ」を貫いて才能を開花させたら、一方で沢山の消費者が搾取されて破産してしまいましたみたいな話ですよ。これは『輪るピングドラム』の、「こどもブロイラー」の構造とかを思い出しましたね。栄える存在がいる影で、アイデンティティさえ与えられずに世界から抹消されてる存在がいる、というのを切り取ってる辺りでした。それに近い感じ。
そんな大変なことになるのなら、「断絶の壁」で人と熊は別れて、お互い無難に暮らしてればイイのかもしれないのだけど、「スキ」という気持ちは止められないし、実際大事なものなのだとしたら、どうするのかっていう。相変わらずめちゃくちゃ面白い幾原邦彦監督作品。
そういうのを抜きにしても、可愛い女の子が全開で百合百合してる画面作りと、相変わらず尖ってる演出とイイ、映像が流れてるだけで眼福っていうか、この深夜にイケないもの放送しちゃってる感。こういう作品を全力で作ってる人たちがいて、世にも出せてるという現状は、色々逆風はある中現時点で良いことだと思ってるので、応援していきたい。
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