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 アニメ『アイドルマスター シンデレラガールズ(公式サイトニコニコチャンネル)』第16話「The light shines in my heart.」の感想です。

 ネタバレ注意です。
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 「これでみんな一緒にいられるね」

 一人ぼっちで閉じたレッスン室にいるだけでは孤独だし何も成せない……という所から始まってる作品なので、みんなで一緒にいる=共同体に所属を続けられる……というのは作品の流れとしては是である台詞なのですが、もう一歩踏み込んで色々描いてると思いました。

 つまり、共同体に所属できるのは良いかもだけどそこで自分の魂(個性)を抑圧しないとならないのだとしたら、苦しい。

 っていう話に踏み込んできてると感じます。

 自分個人の魂、個性というのは、第11話(感想)のみくのネコ耳、李衣菜のロックに象徴されるもの(それ自体がファッションだとしても貫く、というもうちょっと微細な部分が描かれてましたが)。第8話(感想)の蘭子の微細なグラデーションを突いた自分自身の世界観。そして、以前それぞれが自分の世界観を描いていたのをリフレインさせるように、各々の「企画」を考える今話のシーンに象徴されていたりだと思います。

 で、そういう自分の魂(個性)を開花させたままの共同体でいられるか、それを抑圧して体面のために共同体に属するか、というような話です。いわゆる「同調化圧力」に屈するか、抵抗するかです。全員スーツにネクタイで会社という共同体(仮)に所属してれば幸せなのか、自分は自分の着たい服を着る、その上でみんなが自分の服で自分を表現しながらいられる共同体を目指すと抵抗するか、というような話です。

 今話は、安部菜々さんがウサ耳に象徴される自分の魂(個性)を会社に所属し続けるために抑圧するのか? というストーリーラインで引っ張って、みくがきっかけで抵抗運動を開始するまでのエピソード。

 外部からの各々の魂(個性)の抑圧は、アイドルの「キャラ付け」要素で今話では描いているけど、現実を見れば、上述のよく考えれば意味不明の全員スーツ圧力とか、ジェンダー的かくあるべし論とか、趣味嗜好を強制される同調化圧力(みんなが観てるから自分は面白いとも思わないものを観るなど)とか、溢れています。そういうのを、ブっ殺すというのを描いている。今話でも繰り返されていた言葉通りノリとしては「ロック」です。アナスタシア役が上坂すみれさんだったりしますからね。まさに、上坂さんの「革命的ブロードウェイ主義者同盟」のメッセージ。着たい服を着て、求道したい趣味を追う、そういうあり方のまま繋がりは途切れない世界を目指す。

 一夜、アイドルのライブで一体感持って個性って素晴らしいとか言ってても、お前ら、次の日からまた同じスーツ着て、魂を殺して同調化圧力に屈して共同体から排斥されないようにビクビクしてるだけじゃん。っていう、視聴者とかアイマスユーザーに対して厳しいメッセージも感じます。お前には、ウサミン星からの電波、届いてないのか? っていう。

 第一話(感想)に作品全体の全てを詰め込むのが常ですが、高貴な花よりも、卯月の本質はアネモネである……というのはやっぱり作品全体のエッセンスになってるシーンだったのですね。

 閉じたレッスン室に一人は確かにつらい、だけど、そこに甘い罠が迫ってくる。所属する共同体をあげる代わりに、自分の魂(個性・本懐)を殺せと。トップダウン式に提示された鋳型に、魂を無理やり押し込めろと。その罠に屈しないで、あなたがアネモネなのなら、アネモネのままでいられる共同体(=仲間)を探しなさい。求めなさい。という物語だ。

→Blu-ray



→上坂すみれさん



この上坂さんの本の感想

→前回:『アイドルマスター シンデレラガールズ』第15話「When the spell is broken」の感想へ
→次回:『アイドルマスター シンデレラガールズ』第17話「Where does this road lead to?」の感想へ
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