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 アニメ『Charlotte(シャーロット)(公式サイトニコニコチャンネル)』第八話「邂逅」の感想です。

 本作及び麻枝准氏の他作品のネタバレ注意です。
 ◇◇◇

 「奇跡でもおきたようだな」(サラ・シェーン)

 麻枝准作品的に、「奇跡」ワードは重い。

 『Fate』などTYPE-MOON作品の奈須きのこ氏がKEY作品の「奇跡」と自作の「奇跡」の違いについて語った「輝かしい星が見る夢」というインタビュー記事がありますが(今はもう読めない?)、麻枝准作品の奇跡は(万能性がある)ガチの奇跡。

 僕の見解を付け加えるなら、さらにそのKEY作品的「奇跡」が起きるのには条件があって、それが『CLANNAD』における「光の玉」集めのパートだと思います。ずっと、別ルートで積んだ徳分のようなものが最終的に最終ルートで「奇跡」に繋がるような作品構造で作品を作ってこられた方だと思います。

 で、狂人と化していた奈緒の兄が奈緒を認識するという、『Kanon』のラストであゆが目覚める、『CLANNAD』のラストで渚の命が繋がる……に相当するような「奇跡」シチェーションが今話で描かれたのですが、どこが「光の玉」集めパートだったかと言ったら、今話で代表で有宇が「奈緒のおかげ」と言及していましたが、自分達のバッドエンドの後に奈緒が能力者たちを助けて回っていたこれまでの奈緒の人生及び作品の前半パートなんだと思うのですね。友利兄妹が迎えた結末がいわゆるADVにおける「バッドエンド」として先行していて、奈緒はその後に他人の未来のバッドエンドを回避する手助けをしてる構造がある作品だとは最初の方の感想でも書いていましたが、そのバッドエンド回避の手助け=徳積みのようなものが、今話時点で報われたシチェーションだと。

 今話がもう、『Kanon』や『CLANNAD』の最終回相当なのですが、『Charlotte(シャーロット)』はあと五話あるという。どうなるんだ!?


 有宇と歩未、
 奈緒の兄と奈緒、
 美砂と柚咲、


 が、破綻した兄(姉)と守りたい妹……という構図で重ねられて描かれてきた作品ですが、ここにきて更なる先行者として、「ZHIEND」のヴォーカルのサラが、「破綻した姉」として描かれます(弟がいて、そして家族を守りたかった)。


 「もしそんな時が訪れた日にゃぁ、うまくやれよな」(サラ)


 視力を「神」に差し出して、弟や家族を守ったらしいサラ。自分の欲のために「ズル」をしていたらしいというのも、有宇と同じです。「有宇=その先行者のサラ」。

 前回書いた通り、有宇(兄)にとっての「守りたい妹」が歩未から奈緒に継承されているので(今話で有宇自身は奈緒に問われても言葉にできなかったけれど、奈緒の兄が気になるようになったのは、自分と同じ「破綻した兄」だからだと思われる)、この後、有宇が破綻して(何かを「神」に差し出して?)奈緒を守りたいという状況がくるはず。

 『AIR』とかだと、鴉になって見守ってる往人の存在に、観鈴は直接的には気づいてないんだけど(というか、その「ディスコミュニケーション=孤独」に作品の本質があると思う)、今回は想定視聴母数を広く取ってる向けのアニメーションなんだし、わりとストレートはハッピーエンドも観たいのでした。

 しかし、ラストの電話してるシーンは良かった。兄のことがあるので、奈緒はどこかで自分は普通の人と同じように幸せに過ごしちゃいけないと思ってたと思うんですよ。表面的に、不感症とでもゆうくらい感情を抑制してる、計算高く、理路整然と動くように描かれていたのだけれど、それは破綻を経験した後に身に着けた処世術としてのポーズだった。思いがけず兄の状態が改善して、喜んだり感謝したりしたいんだけど、まとってきた装甲が重すぎて、急に外れてもぎこちなくしか喋れない……みたいな感じがうまく出てた。削りに削って凝縮させたシナリオ(の台詞)も良かったし、佐倉綾音さんの演技も素晴らしかったのでした。

→ZHIEND(しかもサラ・シェーンの役者さんは『Angel Beats!』の岩沢さん(髪の色も似てる)役の沢城みゆきさんで、「ZHIEND」のヴォーカルも「ガルデモ」岩沢さん役でも歌ってたmarinaさんという。 )

Trigger
ZHIEND
アニプレックス
2015-09-09


→Blu-ray



→前回:『Charlotte(シャーロット)』第七話「逃避行の果てに」の感想へ
→次回:『Charlotte(シャーロット)』第九話「ここにない世界」の感想へ
『Charlotte(シャーロット)』感想の目次へ

【関連リンク:これまでの当ブログの麻枝准作品感想】

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