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 アニメ『クロムクロ(公式サイト)』第4話「異国の味に己が境遇を知る」の感想です。

 ネタバレ注意です。
 ◇◇◇

 過去のサムライである剣之介の視点から見えてくる現代の文明の違和……というパート。前回の「空っぽのお城」は、伝統とか文化とか空虚化してしまった世界だ……というがっかりパートの側面が強かったと思うのだけど、今話のショッピングモール(現代文明の中の「お城」ポジションとして描かれている)のパートは、「でも現代の文明にも良い点もある」パート寄りだと感じました。ショッピングモールの風景を観た剣之介から「平安の世」という言葉も出ますしね。

 歴史の流れ的には、ショッピングモールに象徴されるグローバル資本の流入こそが、「空っぽの城」的世界(ローカルの伝統などの形骸化)を招いてしまった……という因果関係があるわけですが、それでも、現代の我々はショッピングモール的なものと共存しながら生きている。


 ローカル伝統―グローバル資本
 ふんどし―パンツ
 空っぽのお城―ショッピングモール


 などが対照関係で描かれているわけですが、この手の伝統文化とグローバル現代消費文明との対照のお話。ついつい、「ローカル伝統VSグローバル資本」という対立関係に持ち込んで語られたりもしてしまうのですが、今話は、「ショッピングモールでふんどしを買う」という落としどころなのですね。うまく、両方を否定しない、別の道に向かっている流れを今話時点で感じたりな部分です。

 そして、この歴史上の「国(サムライ)VS外圧」の構図が、現代編で、「地球VS(地球の外からやってくる鬼という)外圧」という構図と重なってると。ショッピングモールで買ったふんどしを纏って戦うという構図が、地球外の鬼がもたらしたサムライ的ロボで戦うという構図に重なっていると。

 鑑みるに、海外のグローバル資本の力を借りないで生きるなんて不可能な我々現代日本人が、それでもその力を借りながらふんどし的なもの、サムライ的なものを守ろうとしてる……というリアル世相とも重なるし、このアニメ自体が、Netflixという海外資本の力を借りつつ(ハイブリッドな)サムライ的価値観を発信していると、作中の構図と、作外の周辺環境までリンクする勢いだよなと。

 そんな中で、地域伝統サイドとかグローバル資本サイドとか関係なく、いわば「普遍」的に「守らないといけないもの」、姫を失って守るべきものを喪失している剣之介が、そういうものに辿り着いて、それを守るために戦うっていうストーリーラインなのかなと思うのだけど、どういったものをそうした大事なものとして描いていくのか楽しみです。それはある意味で、お姫様(国・地域伝統的な女性より)と由希奈(現代文明の女の子より)で、時間を超えても変わらなかった大事なもの……という位置づけになっていくのかなと思うのですが。

→エンディング曲



→前回:クロムクロ第3話「城跡に時は還らず」の感想へ
→次回:クロムクロ第5話「学び舎に来た男」の感想へ
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【関連リンク:当ブログの2015年アニメーション作品ベスト10記事】

2015年アニメーション作品ベスト10〜共同体から零れ落ちた人間にも、それまでとは違うカタチなりの祝福を(ネタバレ注意)