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 アニメ『ハイスクール・フリート(公式サイト)』第4話「乙女のピンチ!」の感想です。

 ネタバレ注意です。
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 『けいおん!(!!)』〜『たまこまーけっと』〜『ハナヤマタ』ラインの、吉田玲子さんシリーズ構成の「(擬似)共同体」ものテーマの作品と感じる本作。

 晴風という艦のメンバーが「家族」的な擬似共同体として描かれてると思うのですが(第一話から明乃やもえかが「家族」ワードを頻繁に口にしてる)、前回までで、もうこの「家族」にはリソースがほとんど残ってなくていっぱいいっぱいという状況でした。リアル世相も意識されるシチェーションです。学校から分断され、国から分断され、孤立「家族」共同体は物資もなくて破綻寸前。

 そこで、このリソースも残り少ないボロボロの家族共同体はどうすれば良いか問題。今話でとりあえず描かれた解法は、「外部からの補給」。

 それだけだと当たり前なのですが、『けいおん!(!!)』以降の何作かの(テーマ的な)アフター『けいおん!(!!)』的作品でずっと「外部とのリンク」が大事というのを描いてきた吉田玲子さん脚本だと思うとこれしかないという感じです。

 また、今回の補給自体が、宗方家という(こちらは疑似ではなく本当の)「家族」の縁によってもたらされているのですね。ましろの「家族」はもしかして現在は分断された状態なのかなと思っていたのですが、表面的にはバラバラの場所にいるのですけど、大事な部分で助け合える関係として繋がりを保持しているという点で、これまた『けいおん!(!!)』のエンディングチックな関係です。「(表面的には離れていても)同じ空の下にいる」が今作では「(表面的には離れていても)海を往く人はみな家族」になってる感じで。

 だから、これもしかして、第1話は信じてた学校共同体からも撃たれ、国共同体からも分断された……と始まったのですけど、何らかの形でそれらとの繋がりを取り戻していく。あるいは繋がりの形を更新していく感じのストーリーラインになるのかもなと。学校共同体も一枚岩ではなく、少なくともましろのお母さん(校長先生)は晴風との繋がりを保持しようとしてる現状なので。それと同じく、国共同体を象徴する海保も一枚岩ではなく、少なくともましろのお姉さんがいるサイドは晴風に協力的というのも分かってきました。

 今話で遭遇した海保の人達を信じられず、一旦は明乃たちは逃げてしまうのですが、実は彼女らは救いの手を差し伸べてくれる側だったと。外部とのリンクを辿って来てくれた人を、信じられないで攻撃するか、助けに来てくれたそういう人の手を信じて取るか、その分岐みたいなシチェーションです。

 となると、第1話の教官の人とか、アドミラルシュペーの(ミーちゃん以外の)艦員さん達とか、今話の立石さんとか、攻撃・反撃してしまう症状は何なんだろうな。分断や孤立を縫合していく方向性が是っぽい作品なので、その逆。人と人、共同体と共同体をバラバラにしていく、分断していく、孤立させていく側の位置づけの症状だとは思うのですが(実際、今話でも赤目になった立石さんのせいで、せっかく来てくれた「指し伸ばされた助力の手」をフイにしてしまうところだった)。

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→前回:『ハイスクール・フリート』第3話「パジャマでピンチ!」の感想(ネタバレ注意)へ
→次回:『ハイスクール・フリート』第5話「武蔵でピンチ!」の感想へ
『ハイスクール・フリート』感想の目次へ

【関連リンク1:当ブログの吉田玲子さんシリーズ構成・脚本作品の感想】

『けいおん!』と『ハナヤマタ』で重ねられている演出とその意図について
『けいおん!!』最終回の感想はこちら
『SHIROBAKO』(シリーズ構成ではなく同テーマのキー話の脚本)の感想へ
『けいおん!(!!)』シリーズ構成の吉田玲子さん脚本による「バッドエンドけいおん!」を浄化する物語〜無彩限のファントム・ワールド第7話の感想(ネタバレ注意)

【関連リンク2:当ブログの2015年アニメーション作品ベスト10記事】

2015年アニメーション作品ベスト10〜共同体から零れ落ちた人間にも、それまでとは違うカタチなりの祝福を(ネタバレ注意)