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 アニメ『クロムクロ(公式サイト)』第9話「岩屋に鬼が嗤う」の感想です。

 ネタバレ注意です。
 ◇◇◇

 前話まで、通信、電話、スマートフォン、ネットの知恵袋的な何か……などなどと、直接的じゃないコミュニケーション方法で「すれ違い」が発生しているというのが、何重にも重ねて描かれておりました。

 で、今話で描かれた解法はストレートに直接対面して話すというもの。山のシーンで、由希奈、剣之介、赤城くんと「すれ違い」の当事者たちが直接話すシーンは迫力ありましたよ。

 今話時点では主に由希奈と剣之介の間の「すれ違い」の解消で、話の焦点は主には「残された者の気持ち」について。

 その点で、潔く死にますという剣之介と、(他人でも)死を忌避する由希奈とで大きく「すれ違って」いたのですが。由希奈はお父さんの件で「残された者の気持ち」を知っている。剣之介が死んだらまた「残された者の気持ち」を経験することになる。そして、実は剣之介も姫様の件で「残された者の気持ち」は知っていたりする。共通項で、「すれ違い」から一種の「共感」にまで至るのは良かった。


 「その代わり、あんたは勝手に死なないこと」


 自爆したエフィドルク、去っていった由希奈のお父さん、お姫様、そういう人たちを遠景に感じられるようにしながら、今、剣之介は死ぬなという、良いシーンです。「残された者」の気持ちとして、死にたくなっちゃうこともあるのだけど、それでもなんやかやと生きていくしかないのだった。ここの二人の会話、餃子の話すら、和尚の時のシーンの「それでも生きていれば腹は減る」的な要素でジンときたよ。

 このシーンで二人の心理的な物語が進んだので、バトル面の二人の課題にも反映。

 一対一でしか戦わなかった剣之介は、ソフィー達の到着に「助太刀感謝する」と伝えるようになり。

 前回ソフィーに「由希奈は必要なのか?」と言われていた由希奈は、地形マニアの特性を発揮して戦いの役にも立つという展開に。

 こういう、心理面のドラマの進展と、バトルパートのステージアップがリンクする脚本はさすがだなーと。

 ラストは、エフィドルクさんが自爆しないで投降してきて、さて、通信を介したコミュニケーションだけだと地球人同士でも「すれ違い」していたわけだけど(剣之介と由希奈を中心に前回までの話)、直接対話となったら、地球人とエフィドルクはどうなるのか? という感じで引き。

 本当、構成が作り込んである感じで、丁寧に提示されていたパーツが、盛り上がる箇所でガチガチはまってくる感覚が気持ち良い作品です。

→主題歌

デストピア
loversoul music & associates
2016-05-11


→Blu-ray



→前回:クロムクロ第8話「黒鷲の城」の感想へ
→次回:クロムクロ第10話「不遜な虜」の感想へ
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【関連リンク:当ブログの2015年アニメーション作品ベスト10記事】

2015年アニメーション作品ベスト10〜共同体から零れ落ちた人間にも、それまでとは違うカタチなりの祝福を(ネタバレ注意)