ブログネタ
ラブライブ!サンシャイン!!感想 に参加中!
 アニメ『ラブライブ!サンシャイン!!(公式サイト)』第1話「輝きたい!!」の感想です。

 ネタバレ注意です。
 ◇◇◇

 放送開始に先だって、こんな記事を書いておりました。↓


AKB48・μ'sが敷いたアイドル「システム」をブチ殺す(え)段階に入る? 10年代後半型アイドル達:『ラブライブ!サンシャイン!!』・『アイカツスターズ!』そしてSCK GIRLS


 で、マジで(まだ描写が少ない)一年生組以外は何らかの「システム」から離脱する話っぽいのではないでしょうか。

 二年生組。

 渡辺曜さん。「水泳」というシステム。これは『Free!』という作品でまんまその部分がテーマ的な題材にされていたりしましたが(参考:Free!/感想/第7話「決戦のスタイルワン!」〜第12話(最終回)「遥かなるフリー!」)、このまま進めば「競争でより速く」という競争「システム」に入っていきます。そこから離脱、というよりは二重所属として、幼馴染の千歌さんとの紐帯を大事だと思ってAqours(アクア)に参加。

 桜内梨子さん。「音楽」というシステム。幼い頃から「音楽」の「システム」に乗って生きてきた梨子さん。四月の海に飛び込みです。もう、「バグ」が生じ始めてます(笑)。こっちも、幼少時からトレーニング初めて、スタンダードには音大行って、その後は競争で……とだいたい「システム」になってる世界です。そこから離脱するのか、折り合いをつけていくのか、そういう部分にまずこの子の物語の焦点はあたりそう。

 三年生組。

 黒澤ダイヤさん。「学校」「生徒会」という「システム」を守る側という感じですが、もう一層奥に、「名家」という「システム」の呪縛も受けてる子っぽい。

 小原鞠莉さん。この人も現時点ではお金持ってるホテルチェーン的な家の「システム」の中にいるっぽい。

 松浦果南さん。物語冒頭では学校「システム」の外にいる人。加えて、何か憂いを抱えているのだけど、そっちは家族「システム」関係だろうか?

 こういう、リアルだと何だか気が付いた時には目の前にあった「システム」に乗って流されて生きていた間に同じスーツ着て就活始めてた……的、漠然と(そんなに自分自身から選び取ったわけでもないのに)乗ってた「システム」から離脱し、それをブチ壊し、そこまでいかなくても折り合いをつけて、主人公高海千歌が見つけた「スクールアイドル」という「システム」(μ's(ミューズ)が整備した)に合流してくるというような流れ。

 特に曜さんなんかの「二重所属」ネタは熱いな。『ハナヤマタ』のラインを思い出します。


●参考:『けいおん!』と『ハナヤマタ』で重ねられている演出とその意図について

(実は、「共同体」テーマで、『ハナヤマタ』をはじめ芳文社系列のアニメと『ラブライブ!』はテーマ的な相性が良いのです。)


 やっぱり、メタに最終的には『ラブライブ!』システム、『スクールアイドル』システム自体から離脱するなり、それをブチ壊すなり、折り合いをつけて少し違う道を行ったりするんだと熱いのですが。

 そして、本作のもう一つのキーワードだと感じたのが「同格」。

 冒頭の、千歌が見上げたスクリーンに映るのはμ's(ミューズ)か? と思わせて、実は自分達Aqours(アクア)だった! という流れでOP突入という演出もそういう意図かと思われますが。

 とかく、上でリンク張った記事のように、「ステージの上」の人達と「ステージの下」の人達との関係性は、非対称(与える者達と見上げる者達的な)ではなく、同格なのが本来だしフェアなんじゃないか? という欲求が高まってるご時世だと感じるわけです。

 そういう意味で、メタに『ラブライブ!』と『ラブライブ!サンシャイン!!』が、μ's(ミューズ)とAqours(アクア)は同格になれるのか? という物語でもあるし、もうちょっとミクロに、人間関係単体同士でも、この「同格」ネタが入っていたと思いました。

 第1話に関して言えば、千歌さんと梨子さん。

 梨子さんは、東京から、音ノ木坂学院から来たという設定ですし、物語冒頭時点ではもろに『ラブライブ!』側に寄ってるキャラクターです。音楽「システム」の中で生きてきたという辺りは、言い換えれば「システム」側のキャラクターと言えるかもしれません。

 そんな子と、今まで何もなかった、「システム」に乗ってずっとトレーニングとかしてきたわけでもない、本当「普通星人」だった千歌が、「同格」の「友達」みたいな関係になれるのか? という物語があります。

 第1話ラストは、千歌視点である意味勝手に「奇跡」だと思って、「同格」だね、一緒に「スクールアイドル」やろうよとサインを送ったんだけど、梨子に「ゴメンなさい」されたというラスト。「システム」の子と、ノン「システム」(野生?!)の子との間の非対称性を解消するのは、中々大変そうなのでした。

 しかし、普通「星」人とか、既に色々仕込んでいるのは上手い。普通(「システム」の外)だけど、星だから輝くのは可能的な仕込みだと思うし、もう、千歌という名前自体が、「システム」の勝者の歌をカラオケで模造するだけじゃなく、千人千色の歌があるよ的な意味っぽいしなぁ。穂乃果の写真と自分を合わせようとするんだけど、なんか「ズレ」るのもたぶん仕込み。穂乃果(&μ's(ミューズ))フォロワーではなく、千歌には千歌の、Aqours(アクア)にはAqours(アクア)の歌がある。

 そういう地点にある「歌」「輝き」を見付けることで、いびつになっていた「システム」側を離脱するなり、壊すなり、折り合いをつけるなりして、「非対称性」を解消する物語なのかと感じました。

 適切な例か分かりませんが、商売始めようとしたら、もう生まれた時からAmazon「システム」が世界を覆っていた、ええい! 俺は俺の店開いて、Amazonと同格になるぜ、的な話かもしれないですし。

 なんか作品を作ろうと思ったら、大資本のスーパーコンテンツに人々の可処分時間は押さえられてる「システム」が生まれた時から横たわっていた、ええい! 私は私の作品作って、その世界に参戦するよ的な話かもしれないですし。

 時代性はすごいあると思います。

 あと、OPは既に十回くらい観ちゃったのですが、富も才能も人気も集まってる側が本気で可愛い女の子作品作ると凄い(怖い!?)。これくらいの作品&プロジェクトになると、もうちょっと小規模でやってるクリエイター側への再分配も担うクラスです。

 派生作品の小さい仕事を請け負うとか、二次創作同人誌を売って少し収入を頂くとか、感想をブログに書いて広告収入を少し受け取るとか、色々な形で、実は大規模作品(とその送り手たち)から、小規模クリエイター達への再分配の形というのが機能してるのが実情だったりします(明示化されてないのが、日本的という感じですが)。僕にも、千歌さんと曜さんのスピンオフ百合小説執筆とかの仕事ください!(キリッ)

 もう、再分配の配当を上げていってほしいので、何とか海外資本の超級作品と打ち合ってほしい。特にね、もう、プラットフォームが海外資本に押さえられて、あっちの価値観で表現に制限をかけられる段階に入ってますので、アイドルで向こうの上部の精神をハックしてほしい(え)。

 海外展開も前作に増して力入れておりますし、国内リソースの全てを二次元の可愛い女の子に変えて全弾乱れ撃ちみたいな昨晩。溜めに溜めていたものをリリースっていう感じだったので、昨夜は個人的に眠れない勢いでしたよ。もう、国が財政破たんしても、海外のギークから同人誌手伝いの仕事入って細々生活していけるくらいの世界を作ってほしい。『助けて、ラブライブ!』。最初に公開された千歌ちゃん一人のティザーイラスト、シャレになってない世情だった(え)。

→Blu-ray



→OP主題歌



→次回:『ラブライブ!サンシャイン!!』第2話「転校生をつかまえろ!」の感想へ
『ラブライブ!サンシャイン!!』感想の目次へ

【関連リンク1:当ブログの『ラブライブ!』前シリーズの感想】

ラブライブ!The School Idol Movie/感想(ネタバレ注意)
『ラブライブ!』(1期&2期)感想目次はこちら

【関連リンク2:当ブログの2015年アニメーション作品ベスト10記事】

2015年アニメーション作品ベスト10〜共同体から零れ落ちた人間にも、それまでとは違うカタチなりの祝福を(ネタバレ注意)